研究課題/領域番号 |
23K21323
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補助金の研究課題番号 |
21H02528 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
坂井 貴臣 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (50322730)
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研究分担者 |
武尾 里美 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (10642100)
上野 耕平 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 副参事研究員 (40332556)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 長期記憶維持 / ショウジョウバエ / 細胞回収 / 長期記憶 / 記憶維持 / CREB / 光 |
研究開始時の研究の概要 |
記憶中枢のCREB発現細胞の中から、光によりCREB活性が上昇するニューロン、つまり長期記憶を維持していると考えられる細胞のみを回収する方法を確立し、それらのニューロンで発現する長期記憶維持に必須な遺伝子を同定する。これにより、長期記憶維持の分子細胞基盤を明らかにする。
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研究実績の概要 |
我々は近年、ショウジョウバエ(以下ハエ)が光を利用して長期記憶を維持しているという興味深い事実を見出した。さらに、ハエ記憶中枢(キノコ体)における転写因子CREBの活性化が記憶維持に必須であり、キノコ体のCREB転写活性も光依存的であることを見出した(Inami et al., 2020)。そこで本研究は、「光による長期記憶の維持」という現象を最大限に活用し、精度の高い遺伝子発現プロファイリングを通して「長期記憶の維持システム」を分子・細胞レベルで明らかにすることを目的とした。 精度の高い遺伝子発現プロファイリングを実現するには、記憶維持に利用されているニューロンのみからRNA抽出することが理想的である。ハエ記憶中枢においてCREBが発現するニューロンは多数存在する。しかし、光によりCREB活性が上昇するニューロンはその一部である。本研究では、光によりCREB活性が上昇するニューロン、つまり記憶維持に機能している細胞に膜局在型mcd8::GFPを発現させ、それらの脳を細胞ごとに分離してmcd8特異的に結合する磁気ビーズを用いてmcd8::GFP陽性細胞のみを回収し、それらのニューロンにおいて光依存的に発現が上昇する遺伝子を網羅的に探索する実験系の確立を目指した。2022年度までに、憶中枢特異的にCREB転写活性の上昇に伴い転写因子LexAが発現し、最終的にmcd8::GFPが発現する形質転換バエを作製した。2023年度に詳細な動作確認を行ったところ、記憶中枢でのmCD8::GFPの発現が確認できたものの、その発現量が極めて少ないことが分かった。この問題点を克服すべく、転写因子GAL4を用いた遺伝子発現システムを利用してCREB活性が上昇するニューロンにmcd8::GFPを発現させるシステムの構築を目指した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
準備した形質転換系統は以下の3系統である:①12xCRE-GAL4系統、②MB-FLP系統、③UAS-FRT-stop-FRT-mcd8::GFP系統。これら3つを組み合わせた系統では、記憶中枢特異的、かつ、CREB活性特異的にmcd8::GFPが発現するはずである。②MB-FLP系統に関しては、2022年度までに複数系統を作製していたため、記憶中枢以外のニューロンでの発現誘導が最も少ない系統を選別することにした。さまざまな組み合合わせの形質転換系統を検証して動作確認を行ったところ、記憶中枢特異的にmcd8::GFPが発現する系統を得ることができた。また、2022年度に作製した転写因子LexAを用いたハエよりもGAL4を用いたハエの方がmcd8::GFPの発現が強くなることが分かった。 次に、磁気ビーズを用いた細胞回収技術を確立すべく、ハエの頭部をホモジェナイザーで粉砕して磁気ビーズによりmcd8::GFP陽性細胞を回収し、RNAを回収する実験の条件検討を行った。その結果、40匹の頭部粉砕後のRT-PCRによりGFPや記憶中枢特異的な遺伝子の発現を確認することができたことから、GFP陽性細胞を効率よく回収できることが分かった。現在、記憶中枢で発現していない遺伝子の発現が検出されないことを確認する実験を進めると同時に、頭部から脳だけを外科的に摘出して脳のみを粉砕する方法を試行している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、細胞回収技術の確立のための条件検討は、記憶中枢にGAL4が発現する形質転換バエを用いて行っている。今年度に着手した細胞回収条件をさらに改良し、今後は記憶中枢のニューロンに対する特異性が高い回収技術の確立を目指す。さらに、本年度作製した形質転換バエを用いてCREB活性が上昇する記憶維持ニューロンを効率よく回収する実験系を確立し、記憶維持に必須な遺伝子群の同定を目指す。
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