研究課題/領域番号 |
23K21364
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補助金の研究課題番号 |
21H02637 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
津田 正史 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (10261322)
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研究分担者 |
鈴木 健之 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10262924)
不破 春彦 中央大学, 理工学部, 教授 (90359638)
津田 雅之 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (90406182)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 有用二次代謝産物 / 渦鞭毛藻 / 構造解析 / 全合成 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らはこれまでに、海洋産のアンフィジニウム属渦鞭毛藻の培養藻体より、培養腫瘍細胞に対して顕著な細胞毒性や細胞増殖活性化作用を示すマクロリドや直鎖ポリケチドを数多く単離し、それらの化学構造を解析してきた。本研究では、アンフィジニウム属渦鞭毛藻が産生する医薬シード探索と開発の一環として、新規有用生物活性物質の探索とそれらの構造解析、 「代謝産物産生能の減衰」を回避する方法論の開発、 「難解な立体配座」のデータ集積と構造解析への活用法の検討するとともに、二次代謝産物の結晶化の積極的な検討、立体化学を推定した活性化合物の全合成研究を展開する。
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研究実績の概要 |
新しいタイプの抗がん剤リードや再生医療に有用な分子の創成を目的として、アンフィジニウム属渦鞭毛藻が産生する有用二次代謝産物に関して、(A)生物活性を示す新規二次代謝産物の探索、(B)「代謝産物産生能の減衰」を回避する方法論の開発、(C)「難解な立体配座」のデータ集積と構造解析への活用法、(D)ポリケチド結晶化の検討、(E)Iriomoteolide-1a推定構造の全合成研究、といった5つの課題について展開することで、新たな医薬シード分子の創出を目指す。 (A)では新規二次代謝産物の探索として、沖縄県西表島南風見田海岸の潮溜まりの砂泥より分離したアンフィジニウム属渦鞭毛藻IHA-1株の抽出物について、化学成分の探索を行なった結果、未知ポリヒドロキシ化合物を見出した。(C) 新規19員環マクロリドIriomoteolide-7aについて、昨年に引き続きマクロラクトン環内の7個の不斉炭素の可能な立体異性体32種について、配座探索プログラムSpartan 20を用いて、安定配座を算出し、続く密度汎関数法計算に基づいたNMR計算値の算出を行った。NMRの計算値と天然物の測定値を比較し、結合定数と水素間距離を算出し、天然物のスペクトルデータと比較を行うことで、相同性の高い計算値を示す異性体を見出すことができた。(E) 昨年度までにイリオモテオリド-1aのマクロ環部について、NMR解析、分子力場計算およびモデル合成により立体配置の帰属に成功していたことを受け、今年度は本天然物の側鎖に含まれる21位および22位の不斉中心について、GIAO NMR計算とDP4+解析により立体配置を推定した。さらに、DP4+解析で支持された構造式を全合成することで、イリオモテオリド-1aの全立体配置を決定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題内の5個の研究テーマのうち、生物材料の収集の影響が少ない(C)と(E)の研究は、当初の計画どおりあるいはそれ以上に進展しているものと判断される。しかしながら、生物採取では実績のある西表島にて生物試料の採集を行ったが、イリオモテオリド類などの有用代謝産物を産生する渦鞭毛藻株を新たに発見できていない。(D)について実施ができていない現状である。(B)についても採取時期の問題か気象天候の影響か不明であるが、渦鞭毛藻の宿主生物を十分に収集できず、研究が遅れている状況である。(A)については、ポリヒドロキシ化合物を産生する渦鞭毛藻を用いた成分探索研究を展開してきた。(C)と(E)については最終年度内に目的の成果が達成できると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
(A)と(C)の研究については引き続き実績のある西表島でのサンプル採取で目的の渦鞭毛藻と宿主生物を捕獲することを最大限努力する。(C)についてはイリオモテオリド-7aの立体化学の解析についてはデータの検証を行い立体化学の推定を行う。(A)では既存のアンフィジニウム属渦鞭毛藻の抽出物から新規物質の探索を進めている。さらに他のグループとの共同研究によりアンフィジニウム代謝産物の活性評価を進めることとなっている。
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