研究課題/領域番号 |
23K21380
|
補助金の研究課題番号 |
21H02743 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
村上 耕介 国立感染症研究所, 感染症危機管理研究センター, 室長 (60586973)
|
研究分担者 |
片山 和彦 北里大学, 感染制御科学府, 教授 (60342903)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | ノロウイルス / オルガノイド / 感染メカニズム / 腸管オルガノイド |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトに感染するノロウイルス(human norovirus: HuNoV)は大規模な食中毒を引き起こす。申請者はヒト腸管オルガノイド(human intestinal organoid: HIO)を用いたHuNoVを確立した。さらに、一部のHuNoVが胆汁による細胞内活動の変化を利用して細胞へ侵入することを示したが、in vitroのみの系では感染メカニズム全容の解明は難しいと考えた。本研究では「HIO移植マウスを用いたHuNoV感染モデルの確立」および「消化管内因子によるHuNoVの感染性活性化に焦点を当てた解析」を行い、「HuNoV生活環も加味した感染メカニズム全体の解明」を目指す。
|
研究実績の概要 |
ヒトノロウイルス(human norovirus: HuNoV)は培養系が長らく未確立であったため、感染メカニズムに不明な点が多い。本研究代表者らは、幹細胞由来腸管オルガノイド(human intestinal organoid: HIO)を用いた培養系を確立し、さらにHuNoV感染における胆汁酸の関与を明らかにした。申請者らは、HuNoV感染には胆汁酸以外にも様々な消化管内因子が関与しているとの仮説を立てたが、HIOだけを用いた解析では、消化管における生体反応も関連付けたHuNoV感染メカニズムの全容を解明できないことが予想された。そこで本研究では、【1】HIO移植マウスを用いたHuNoVモデル動物の確立、【2】消化管内因子によるHuNoVの感染促進メカニズムを解析することを目的とした。 【1】HIO移植マウスを用いたHuNoVモデル動物の確立 感染に用いるHIO移植マウスの作製に成功した。個体によってHIO定着の程度が異なっていたことから、感染の程度に差が出ることが予測された。今後は、HIO定着率と感染実験結果を合わせて考察しながら考察を進める。 【2】消化管内因子によるHuNoVの感染促進メカニズムの解析 胆汁酸は脂質を乳化してミセルを形成し、腸管上皮細胞への吸収を促す。そこで脂質もHuNoV感染に関与している可能性を考え、HIOへのHuNoV感染時に脂質を添加して感染への影響を解析した。脂質としてグリセリド、脂溶性ビタミン、脂肪酸を試験に供した。その結果、グリセリドおよび脂溶性ビタミンによるHuNoV感染への影響は認められなかったが、脂肪酸の一部がHuNoV感染を促進した。興味深いことに脂肪酸によるHuNoV感染への影響は遺伝子型により異なる傾向にあったことから、HuNoV感染には胆汁酸だけでなく脂肪酸も関与するが、その作用メカニズムは遺伝子型に異なることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
消化管内因子に関する研究は想定以上に進んでいるが、コロナ禍の余波を受けてHIO移植マウスに関する研究が大幅に遅れているため、総じて「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
HIO移植マウスの作製に成功したことから、今後はin vivoでの感染実験を集中的に推進する。またHuNoV感染における脂肪酸の関与について作用メカニズムを詳細に解析する。
|