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モルビリウイルスの宿主域決定機構

研究課題

研究課題/領域番号 23K21381
補助金の研究課題番号 21H02744 (2021-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2021-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分49060:ウイルス学関連
研究機関東京大学 (2022-2024)
国立感染症研究所 (2021)

研究代表者

竹田 誠  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (40311401)

研究分担者 關 文緒  国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (20443111)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
キーワードウイルス / 適応 / 受容体 / 自然免疫 / 感染症 / 種間伝播 / モルビリウイルス / SLAM / 馴化 / 進化 / 麻疹ウイルス / 宿主域
研究開始時の研究の概要

本来の宿主動物である鯨偶蹄目ならびにネコ目動物のSLAMとは異なり、ヒトSLAMは、モルビリウイルスにとって利用困難な受容体である。①麻疹ウイルスによるヒトSLAM利用能の獲得に関与したアミノ酸変異を確定する。
動物種毎の自然免疫応答分子の違いがモルビリウイルスの宿主域を一部規定していることが示されている。②各種モルビリウイルスの宿主動物細胞の違いによる自然免疫応答の違いと、宿主域拡大に関与するウイルス側の変異を明らかにする。
近年、イヌジステンパーウイルスによるサルの致死的アウトブレイクが確認されている。③各種動物モルビリウイルスのヒトへの適応リスクを受容体利用の観点から明らかにする。

研究実績の概要

様々な哺乳動物(ヒト、イヌ、アザラシ、イルカ、コウモリ、ネコ、ブタなど)に感染するモルビルウイルスが知られている。一部のモルビルウイルスは、感染宿主に対して致命的な疾患を引き起こすことがあり、その影響は個体や集団レベルで大きな問題となることがある。そのためモルビリウイルスは、現在の生物学や医学において重要な研究対象となっている。
近年では、特に注目すべき事例として、イヌジステンパーウイルスによるサルの致死的なアウトブレイクが報告されている。このような事例は、モルビルウイルスが様々な種にわたって拡散し、新たな宿主に適応する可能性を示唆している。モルビルウイルスは、共通して免疫細胞上の分子SLAMを受容体として利用することが知られている。そこでわれわれは、このようなモルビルウイルスの種間伝播のリスクを評価するために、まずは、各種モルビルイルスの様々な動物SLAMの利用能力を詳細に解析した。
実験の結果、麻疹ウイルスを含む多くのモルビルウイルスが、多様な動物種のSLAMを利用できることが明らかになった。これは、モルビルウイルスが種を超えて広範囲な宿主に感染する基盤となっていると考えられる。一方、ヒトSLAMを利用できるのは麻疹ウイルスだけであることが確認された。しかしながら、モルビルウイルスが他の動物種のSLAMを利用できる能力を獲得することは、比較的少数のアミノ酸変異で生じることが示された。
この研究結果は、受容体であるSLAM利用能の観点からは、モルビルウイルスが様々な動物種間で容易に伝播し、新たな宿主に適応する可能性があることを示唆しており、新たな種間伝播や流行のリスクになっていると考えられる。したがって、モルビルウイルスの動物間伝播のメカニズムや宿主適応の詳細な解明が、重要であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

受容体利用能に関する解析は計画通り順調に進展している。一方、動物種毎の宿主免疫応答の違いがモルビリウイルスの宿主域の決定にどのように関与しているかに関する実験に関しては期待通りには進展できなかった。

今後の研究の推進方策

細胞はウイルス感染を感知するためのRNAセンサー分子を持ち、それによって自然免疫応答を惹起してウイルス感染と対抗する。モルビリウイルスの感染を感知するセンサーとしてRIG-IやMDA-5が知られているが、モルビリウイルスは、ウイルスがコードしているVタンパクやCタンパクなどのアクセサリータンパク質によって、これらの自然免疫応答に対応する。この自然免疫応答とそれに対抗するウイルスタンパク(Vタンパク、Cタンパク)の種間の差が、モルビリウイルスの宿主域決定にどのように関与するかを明らかにするための実験を計画する。各種モルビリウイルスのVタンパクを、ヒト、イヌ、コウモリ、イルカの細胞に導入し、poly I:Cなどで刺激することでVタンパクによる自然免疫応答阻害活性が、宿主細胞の動物種の違いによってどのように変化するのかを明らかにする。また、組換えウイルス技術を用いてVタンパクの発現を欠いた各種モルビリウイルスを作製し、どのモルビリウイルスのVタンパクが、どの動物種の自然免疫応答を抑制し、いずれのV欠損モルビリウイルスの増殖をサポートできるのかを明らかにする。

報告書

(3件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Novel and classical morbilliviruses: Current knowledge of three divergent morbillivirus groups2022

    • 著者名/発表者名
      Fumio Seki, Makoto Takeda
    • 雑誌名

      Microbiology and Immunology

      巻: 66 号: 12 ページ: 552-563

    • DOI

      10.1111/1348-0421.13030

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Computational Analysis Reveals a Critical Point Mutation in the N-Terminal Region of the Signaling Lymphocytic Activation Molecule Responsible for the Cross-Species Infection with Canine Distemper Virus.2021

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Y, Nakano S, Seki F, Shigeta Y, Ito S, Tokiwa H, Takeda M
    • 雑誌名

      Molecules

      巻: 26 号: 5 ページ: 1262-1262

    • DOI

      10.3390/molecules26051262

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Fitness selection of hyperfusogenic measles virus F proteins associated with neuropathogenic phenotypes2021

    • 著者名/発表者名
      Ikegame Satoshi、Hashiguchi Takao、Hung Chuan-Tien、Dobrindt Kristina、Brennand Kristen J.、Takeda Makoto、Lee Benhur
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 118 号: 18

    • DOI

      10.1073/pnas.2026027118

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [備考] パラミクソウイルスの増殖ならびに病原性発現機構

    • URL

      https://microbiology.labby.jp/research/detail/294

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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