研究課題/領域番号 |
23K21396
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補助金の研究課題番号 |
21H02810 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西田 教行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40333520)
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研究分担者 |
中垣 岳大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80722917)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | プリオン病 / ミクログリア / FK506 / 神経変性 |
研究開始時の研究の概要 |
プリオン病は異常型プリオンタンパク(PrPSc)の蓄積とミクログリア、アストロサイトの活性化によって神経細胞死が誘導される。 ミクログリアとアストロサイトは、互いに影響しあって、病態の進展に関与している。免疫抑制剤FK506をヒトプリオン感染マウスの発症時から投与を開始したところ、グリア細胞(特にミクログリア)の増殖が抑えられ、生存期間が有意に延長した。 本研究ではプリオン病におけるミクログリア活性化モデルを培養細胞を用いて確立する。さらに、このモデルを用いてFK506がプリオン病におけるグリア細胞を介した神経細胞死を抑制する機序に迫る。
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研究実績の概要 |
マウス神経芽細胞種由来のNW10細胞にプリオン(Fukuoka-1株)を感染させたNW10/FK-1細胞の培養上清をミクログリア培養細胞(MG6)に添加して、MG6細胞のmRNAを回収して遺伝子発現の変化を検証した。対照群(非感染NW10細胞の培養上清を加えたMG6細胞)と比較して、添加6時間後にIL6が約3倍に、24時間後には約8倍に増加していた。このことから、ミクログリアの炎症反応を惹起する物質が、プリオン感染神経細胞から放出されていると考えられる。 続いてこの実験モデルにおいてMG6細胞にFK506を添加して炎症反応が阻害されるか検証した。NW10/FK-1細胞の培養上清をMG6培養上清に添加して17時間後にFK506(10μM)を6時間添加して、MG6細胞の遺伝子変化を検証したところ、予想に反してIL6やTNF-αがそれぞれ30-50倍に上昇していた。 そこで、FK506の濃度と作用期間によるMG6細胞に与える影響を検証した。高濃度(10μM)のFK506を加えたMG6細胞では、24時間以内にIL6やTNF-αの著しい上昇が認められるが、48時間後にはそれらは対照群と同程度になり、IL10が上昇していた。また、低濃度(1.0μM)のFK506を加えた群では24時間、48時間ともにIL6やTNF-αの上昇は認められず、IL10は1.5倍程度ではあるが上昇していた。この結果から、FK506投与によるIL6やTNF-αの上昇は一時的なものであり、MG6に対する細胞毒性によるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想外の炎症反応が認められ、実験条件を見直したため、当初計画していたほど、ミクログリアの解析が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果を踏まえて、プリオン感染およびFK506投与とIL10の発現量の関係について、プリオン感染マウスや培養細胞を用いて経時的に検証する。さらに神経細胞とミクログリアの両培養細胞の共培養による神経細胞死モデルを確立して、FK506やIL10の神経細胞死抑制の機序を検証する。
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