研究課題/領域番号 |
23K21400
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補助金の研究課題番号 |
21H02821 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
若月 修二 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第五部, 室長 (00378887)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / シナプス形成 / 細胞内pH / オートファジー / 神経発達障害 / 蛋白質分解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、脳内pHホメオスタシスの変容と神経発達障害の発病との因果関係を明確にする。その手がかりとして、神経細胞の膜小胞内pHを調節するNHE5の生理機能に着目する。具体的には、NHE5遺伝子欠損マウスを含む動物モデルの性状解析と、これらのモデル動物への介入実験による症状改善効果を、細胞生物学、神経科学、行動生理学の観点から総合的に評価・検討し、神経発達障害の新しい治療法の分子基盤の確立を目指す。本研究の成果は、神経発達障害の新しい創薬標的の提示、発症抑制や病態緩和の実現など、従来にない治療法の開発の新たな分子基盤整備に貢献すると確信している。
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研究実績の概要 |
ナトリウム・プロトン交換輸送体NHE5は神経細胞に偏在するpH調節分子であり、脳を始めとする神経組織のpHホメオスタシスに深く関与する。これまでの研究で、NHE5遺伝子欠損マウス(NHE5 KO)が社会性・コミュニケーション障害、知的障害など、特徴的な自閉スペクトラム症(ASD, Autism spectrum disorder)様の行動フェノタイプを示すことを見出している。本研究ではこれらを手がかりに、脳内pHホメオスタシスの変容とASDを始めとする神経発達障害の発病との因果関係を明確にするため、具体的には、NHE5 KOおよび複数の動物モデルの性状解析と、これらのモデル動物への介入実験による症状改善効果を、細胞生物学、神経科学、行動生理学の観点から総合的に評価・検討し、その成果に基づいた疾患の新しい治療法の分子基盤の確立を目指して開始された。 昨年度に引き続き本年度は、NHE5 KOの行動フェノタイプを規定する神経ネットワークの活動変化を調べるため、海馬スライスを用いた電気生理学的解析を行い、ASD様の行動フェノタイプを支持する結果を得た。また、NHE5蛋白の分解制御メカニズムについて詳しく調べ、NHE5蛋白を基質とするE3リガーゼを特定するなど、プロテアソームによる分解制御メカニズムを明らかにした。また、妊娠時の母体ストレスが胎仔脳のpH環境に影響し、自閉症様の行動フェノタイプを呈するモデルマウスを確立した。今後は同モデルにおけるフェノタイプ発現とNHE5活性の低下との関連付ける研究を進める
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画した実験のほとんどを滞りなく進めることができた。また、妊娠時の母体環境が胎仔の脳の発達に影響することにより、自閉症様の行動フェノタイプを呈するモデルマウスを確立し、NHE5活性の低下との関連付ける研究に着手できた。 これらの理由から、上記の進捗状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
NHEは細胞膜や細胞小器官膜を通過するナトリウムとプロトンの逆方向への輸送を触媒し、細胞のpHホメオスタシスを調節する。これまでに、NHEファミリーのひとつであるNHE5が膜小胞内腔のpH調節を介して神経細胞のオートファジー活性を制御することを見出している。NHE5遺伝子欠損マウス(NHE5 KO)由来の大脳皮質神経細胞では膜小胞内腔がアルカリ化してオートファジー活性が低下して、シナプス構成蛋白のターンオーバーが低下し、脳では幼若な構造を持つシナプス数が増加する。このような形態的な変化に呼応して、NHE5KOは社会性やコミュニケーションの質的な障害、知的障害など、特徴的なASD様行動フェノタイプを示す。これらの結果から、脳内pHホメオスタシスの変容は神経発達障害のフェノタイプ発現と密接に関連するのではないか、と考えられる。本研究では、神経細胞のオートファジー活性調節におけるNHE5の生理的役割を背景に、神経発達障害の新たな発病メカニズムを明らかにすることを目指す。 上記の目的を達成するため、1) NHE5蛋白の分解制御メカニズムの解明, 2) 膜小胞内腔pHホメオスタシスにおけるNHE5の機能的役割, 3) 興奮性・抑制性シナプスの免疫染色・電子顕微鏡観察による定量的解析, 4) 臨界期: NHE5欠損が神経ネットワークに与える影響の限界の探索、これらの実験を計画する。 上記の個別の研究を通じ、脳内pHホメオスタシスの変容と神経機能の破綻とを結ぶ新たな分子基盤を解明することで、神経発達障害の新しい創薬標的の提示、発症抑制や病態緩和の実現など、従来にない治療法の開発につなげる。また、妊娠時の母体ストレスが胎仔脳のpH環境に影響し、自閉症様の行動フェノタイプを呈するモデルマウスを確立した。今後は同モデルにおけるフェノタイプ発現とNHE5活性の低下との関連付ける研究を進めていく。
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