研究課題/領域番号 |
23K21402
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補助金の研究課題番号 |
21H02823 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
西村 基 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80400969)
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研究分担者 |
糸賀 栄 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, グループ長 (00554271)
石毛 崇之 千葉大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (30757315)
村田 正太 千葉大学, 医学部附属病院, 副臨床検査技師長 (30888144)
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
川崎 健治 千葉大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師長 (50842902)
宮部 安規子 千葉大学, 医学部附属病院, 主任臨床検査技師 (60888147)
松下 一之 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (90344994)
土田 祥央 日本大学, 医学部, 助手 (90410422)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 臨床検査医学 / 遺伝子検査学 / 臨床微生物学 / 臨床検査 / 細菌検査 / メタゲノム / DNAメチル化解析 / 新型コロナウイルス感染症 / COVID-19 / SARS-CoV-2 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、2018年度科研費研究課題を実施する中で、市販化もされているMDA(Multiple Displacement Amplification)法において反応条件を中性(Neutral)にすることで、1本鎖DNAの選択的増幅が可能なことを示した(以下N-MDA法)。N-MDA法を用いることによって、16S rRNAをコードする遺伝子(以下、16S rDNA)解析にDNAメチル化解析を組み合わせてメタゲノム的に解析すること(「菌叢16S rDNAメチル化解析」)が可能となった。このことから、申請者らは従来の細菌臨床検査(16S rDNA解析)の大幅な改良を本研究では行う。
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研究実績の概要 |
これまでの研究代表者らの検討において、市販化もされているMDA(Multiple Displacement Amplification)法において反応条件を中性(Neutral)にすることで、1本鎖DNAの選択的増幅が可能であったことから(以下N-MDA法)、その細菌叢16S rDNA解析における応用をBioRxivに報告し(https://doi.org/10.1101/2022.02.15.480630)英文査読付き雑誌に投稿中である。 この報告の中では、N-MDA法により従来の細菌叢16S rDNA解析にDNAメチル化解析を同時並行的に組みこむことができることを示し、16S metaepigenetics解析と呼称した。そして、ある日和見感染菌(モルガネラ菌)に、それが示すことはこれまで知られていなかったDNAメチル化モチーフと新規DNAメチル化酵素を見出し、それが薬剤耐性に寄与する可能性を論じることができた。そして腸内細菌について細菌叢解析によって、単一の菌で構成されているように見えても、そのDNAメチル化には多様性がみられること、その原因として、菌株が混合している可能性も有り得ることなどを示すことができている。 またN-MDA法の一つの特性として、核酸増幅法としてCOVID PCRの増感に用いることが可能なだけではなく、断片的ではなく長鎖構造を保ったままの増感が可能であるという大きな特性がある。単なるPCRの増感法としては既に多くの方法が発表されているが、ほぼ断片的手法であり、COVID検査に求められる重要要素の一つであるタイピング(型判別)とは相性が悪く、N-MDA法をCOVID検査に組み込むことで増感とタイピングとの双方が両立できないか検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べた通り、従来の細菌叢16S rDNA解析にDNAメチル化解析を同時並行的に組みこむことができることを示している。 この16S metaepigenetics解析による細菌叢の分析によって、腸内細菌が同一菌種であっても多彩なDNAメチル化パターンを示すことも判明した。これは同一菌株でもDNAメチル化の程度がばらつく事があるため、それを反映しているのか、あるいは菌株によるDNAメチル化のパターンの違いを反映しているのか、いずれの可能性も示唆する。研究代表者の所属する大学病院検査部及びバイオバンク株を解析することで後者の可能性、つまり多彩なDNAメチル化パターンは多彩な菌株構成によって示されている可能性を示した。 そしてモルガネラ菌において見出した新規DNAメチル化酵素が薬剤耐性に寄与的である結果も得られている。これはDNAメチル化単独で菌が薬剤耐性化するというほど強い因子ではないが、ごく近年において別グループからも、異なる既知DNAメチル化酵素が、同様に薬剤耐性に寄与的であるという報告がなされている。病原性を持つ菌においてのDNAメチル化と臨床的な表現型の関連性の検討は、まさにこれからの分野であり、その端緒の一つとなる進捗であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況で述べた通り、細菌叢ないし菌株における16S metaepigenetics解析による病原性を持つ菌においてのDNAメチル化と臨床的な表現型の関連性の検討は、まさにこれからの分野であり、今後の研究で取り組む。解析手法自体もDNAメチル化検出の感度を上げるため、N-MDA法の長鎖増幅という特性を生かした、16Sの狭い領域ではなく、周辺を含めたより広い領域を解析対象とできないか考える。 この長鎖増幅というN-MDA法の特性は、「概要」で述べたN-MDA法の組み込みによるCOVID検査における増感とタイピングとの双方の両立においても要となる特性であり、同時並行的に解析手法を、より改良したいと考える。
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