研究課題/領域番号 |
23K21416
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補助金の研究課題番号 |
21H02856 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
本多 真 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, プロジェクトリーダー (50370979)
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研究分担者 |
伊東 若子 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (10775828)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 過眠症 / ADHD / ASD / PSG / メラトニン / 過眠 / MSLT / バイオマーカー / 神経発達症 / biomarker / 脳波定量解析 / 客観的指標 |
研究開始時の研究の概要 |
ADHD・ASDは不注意・衝動性や社会コミュニケーション障害を中核症状とし、行動学的に定義される発達障害である。発達障害と睡眠障害は合併率が高く、共通した病態基盤の存在が示唆される。本研究では異種性をもつ発達障害について客観的な睡眠バイオマーカー (睡眠microstructure/定量解析、概日リズム指標、自律神経指標)を見出すことを第一の目的とする。さらに確立された睡眠バイオマーカーに基づき、異種性をもつ発達障害の下位分類を新たに行うことを第二の目的とする。
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研究実績の概要 |
神経発達症は行動学的症状で定義され客観的診断指標は未確立である。本研究では、発達障害(特に過眠症状併存群)における睡眠変数や関連指標の包括的評価を行い、発達障害の病態基盤を反映する睡眠バイオマーカーを見出し、さらに同定された指標の検証を通じ、発達障害の下位分類を試みることを目的とする。 2023年度も101症例に研究同意を受け、そのうち過眠症は74例、神経発達症は43例が確定診断された。研究開始後3年間総計で318例同意、過眠症は230例、神経発達症は111例となり、稀少なASDも含め症例集積は順調である。尿中メラトニン代謝物(MLT6s)定量も追加しQCを通過した268例(m/f 124/144)を対象に関連因子の解析を行った。交絡因子調整後、MLT分泌量と関連するのは身体的QOL(正の関連)および睡眠中央時刻(クロノタイプ;負の関連)であり、当初想定していた加齢やASD症例での低下は確認できなかった。また深睡眠(N3)ではなくREM睡眠との関連が見出され、PSGでのREM潜時やREM睡眠量と正の関連が示された。仮説との不一致は、対象が眠気を訴え睡眠検査を受ける成人症例で夜型例が多いことなどでbiasが生じている可能性が考えられた。今後検証を行う。 心拍変動(HRV)を用いてMSLT中の自律神経活動変化を検討した予備検討でADHD合併NT1症例の中に交感神経指標が高い症例が見出された。今後多数例で自律神経指標の診断特性を明らかにする。本研究と平行して酸化ストレス指標(赤血球中の還元型グルタチオンGSH割合)の病態関連検討を進めている。GSH割合は年齢・性別と関連し、さらに入眠時レム睡眠期(SOREMP)出現有無との関連が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は101症例が追加され、睡眠診断ではNT1 3例、NT2 12例、特発性過眠症(IH) 59例で、神経発達症有無が確定したのは定型発達群を含め52例であった。必要な心理検査や専門医診察ができず発達診断は難しく律速段階となっており当初計画より時間はかかっているものの、過去3年で318例集積された症例のうち神経発達症の有無は222例で確定診断できた(定型発達83例と診断閾値未満28例、ADHD69例、ADHD+ASD24例、ASD18例(神経発達症計111例)。 夜間MLT分泌は加齢で低下し深睡眠量増加をもたらし、小児ASD例で低下するとされ追試を試みたが、服薬例やPSG夜不眠例を除いた268例(m/f =124/144, NT1 24 NT2 46 IH 135,その他63例)、神経発達症確定診断192例(定型発達105例、ADHD56例、ASDまたはASD+ADHD31例)を対象とした解析では当初仮説は確認できなかった。MLT分泌量は、身体的QOL (SF8-PCS)と正の関連、睡眠中央時刻と強い負の関連があり、さらにPSGでのREM潜時およびREM睡眠量と正の関連があった。ADHDのマーカーとされる覚醒時脳波のtheta beta 比増加も我々のデータでは確認できなかった。成人ASDが小児ASDと睡眠指標が異なる可能性が考えられた。これはクロノタイプとの強い関連のため発達診断特異的変化がマスクされる可能性も考えられる。 MSLT中の心拍変動(HRV)を13症例(定型発達6例ADHD7例、NT1/2 6例 IH5例 非過眠2例)を対象に予備的解析を行った。NT1合併ADHDでLFやLF/HF(交感神経指標)が眠ったあとも高止まりする症例が存在し、今後多数例で自律神経指標の診断特性を明らかにする準備を整えた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も症例追加に努め、過眠症診断を290例以上、神経発達症確定診断を140例以上確定して、交絡因子を調整した上で神経発達症特異的な睡眠指標の探索を行う。律速段階である神経発達症の確定診断を円滑に進めるために、専門医の資料となる情報収集を研究同意面接にも含める。 夜間MLT分泌量と強い負の関連を示した睡眠中央時刻についての層別解析をすすめ、クロノタイプを調整した上で夜間MLT分泌量と関連する因子(REM潜時やREM睡眠量などREM関連睡眠変数や神経発達症診断)の探索同定を進める。小児ASDと成人ASDでMLT分泌量が本当に異なるか否かを明らかにする。日中覚醒時の脳波測定に基づくパワー値算出も進め、ADHDの判別指標とされるθ/βパワー値比(TBR)上昇についても小児例と成人例での相違を明らかにする。 予備的検討で神経発達症を併存する過眠症に、特異的自律神経変動がある可能性が見出されたため、30例以上を追加し多数症例での検証を行う。別研究では酸化ストレス指標(細胞内抗酸化酵素であるグルタチオンの還元型割合)と関連する因子として、年齢・性別と入眠時レム睡眠期(SOREMP)出現有無が同定されており、ADHD合併NT2の病態基盤となるか否かを検討し、酸化ストレス指標による層別化でADHDの下位分類が可能か検証するため臨床応用を試みる。
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