研究課題/領域番号 |
23K21422
|
補助金の研究課題番号 |
21H02864 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
酒井 真理 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (70727338)
|
研究分担者 |
大野 達也 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10344061)
村田 勲 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30273600)
PARAJULI RAJ・KUM 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 技術員 (80784719)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
|
キーワード | コンプトンカメラ / 粒子線治療 / BNCT / 重粒子線治療 / 即発γ線 / BNCT / 中性子補足療法 / 中性子 / 放射線 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はコンプトンカメラを用いたBNCT線量のリアルタイム測定手法を開発してきた。本研究では、断熱材の換装等によってコンプトンカメラの性能を向上させると共に、粒子線BNCTへの応用に向けた開発を行う。コンプトンカメラのBNCT線量計としての性能を低下させている真空断熱材を、新規に開発した断熱材に換装する。続いて、重粒子線治療装置によって粒子線BNCTが行えることを測定・検証する。
|
研究実績の概要 |
今年度はBNCT反応によって生じる即発γ線を本学で所有するコンプトンカメラによってイメージングできるかを検証した。まずモンテカルロシミュレーションを用いてセットアップを検討した。アクリルブロックによって重粒子線を停止させ、そこで発生する高エネルギー中性子をポリエチレン等で減速させ、熱化した中性子に炭化ホウ素と反応させることがBNCT反応に伴う即発γ線を発生させることとした。また、昨年の予備測定では中性子フラックスが十分に高かったことから、熱中性子フラックスの減少を許容しつつ高エネルギー中性子やγ線の混入比率を下げるために実験体系を調整した。具体的には減速剤の一部に炭素を用いたり、高エネルギー中性子を遮蔽するために鉄板を設置したりした。また、散乱体を増加させることにより、熱中性子の集中性を高めた。 AmBe中性子源を用いた先行研究では、3時間程度の測定が必要であった。この先行研究を参考に、シミュレーションから得られた中性子フラックスや混入するγ線の比率などから測定に必要な測定時間を算出したところ、2時間程度の測定でイメージングできることが予測された。 この体系を重粒子線治療室に構築し、実測した結果、2時間のイメージングによって、ホウ素ターゲット設置位置に高信号領域を認める画像を取得することができた。このイメージングでは、炭化ホウ素の位置を変えると、高信号領域も同様に移動した。しかし、バックグラウンドノイズとの違いが明確とは言えないことから、3時間測定によってより明瞭な画像を得ることとした。 また、今後の研究において空間分解能を評価するため、高密度炭化ホウ素(焼結体)の板を様々な大きさで作成した。この炭化ホウ素板でイメージングが可能な事も確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では2023年度末に計測を開始するとしていたが、既にいくつかの条件で計測が行えており、イメージング研究は順調に進呈している。一方で、高エネルギー中性子のスペクトル計測は容易に行えないことが明確になり、測定準備に時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、粒子線BNCTに対するコンプトンカメラの空間分解能を評価するための実験を行う。昨年度に構築した実験体系の内部に、5×50×100 mm^3の炭化ホウ素板を2枚設置し、その間の距離を変えながら測定を行う。本学のコンプトンカメラでは角度分解能が6度程度であることから、本研究の実験体系では1cm程度の空間分解能が期待される。そのため、その前後の条件で測定を行い、想定通りの空間分解能が得られるか検証を行う。 一方、昨年度の実験では様々な方向から入射するγ線や中性子線がノイズとなり、測定の妨げになっていることが核にされた。中性子遮蔽のためにGd板を設置したところ、Gdから発生する即発γ線の影響でノイズが増加した。そのため、リチウム等を用いた遮蔽を検討している。リチウム含有板での中性子遮蔽や鉛板との組み合わせにより、ノイズを低下させる手法についても検討を行う。
|