研究課題/領域番号 |
23K21434
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補助金の研究課題番号 |
21H02916 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
的場 哲哉 九州大学, 大学病院, 講師 (20448426)
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研究分担者 |
仲野 泰啓 九州大学, 大学病院, 助教 (30752133)
香月 俊輔 九州大学, 大学病院, 助教 (60641016)
古賀 純一郎 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (10746142)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | Inflammation / Oxidative stress / Macrophage / 冠動脈疾患 / 酸化ステロール / 炎症 / マクロファージ / 心筋梗塞 / 酸化ストレス / 動脈硬化 / 心不全 / コレステロール吸収 / 急性心筋梗塞 / コレステロール / 再灌流傷害 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化ステロールはコレステロールが保存や調理による加熱、さらに体内での酸化ストレスによって変性した物質で、心臓や血管に炎症を起こし、動脈硬化や心不全の原因となることが徐々に明らかになってきています。この研究は、臨床研究において、心筋梗塞などの冠動脈疾患患者の血液中の酸化ステロール量と病状の関わりを解明するとともに、基礎研究において、酸化ステロールが心血管病を起こすメカニズムを明らかにし、治療法開発のターゲットを検討しています。
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研究実績の概要 |
動脈硬化性疾患治療においては、LDLコレステロール低値ながら冠動脈疾患リスクの高い「残余リスク」の病態解明が求められている。本研究では、生体内・外での酸化ストレスおよび生体内でのコレステロール異化の過程で生成するコレステロール酸化物である酸化ステロールが、「残余炎症リスク」の原因分子であるという仮説の下、(1)臨床研究においてヒト生体内で同定される複数の酸化ステロールと冠動脈疾患病態との関係を明らかにし、(2)連携した基礎研究において酸化ステロールが炎症を惹起する分子機序と治療標的を明らかにし、(3)疾患モデルとして心筋虚血再灌流傷害、心筋梗塞後リモデリングにおける酸化ステロールの役割を明らかにすることを目的とした。 2022年度までに、臨床研究における血清酸化ステロールデータと冠動脈イメージング所見の解析を行ない、プラーク退縮と27-hydroxycholesterolが相関することを見出し、論文を公表した(Nakano, Matoba, et al. Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. 2022;29. DOI:10.5551/jat.63507)。同論文にはEditorial commentによる成果の強調がなされた。コレステロール代謝に関する臨床研究は多施設研究へ展開し、成果発表を予定している。 基礎研究においては、マウス心筋虚血再灌流モデルにおいて、7-ketocholesterolの摂取が心筋梗塞サイズを増悪させることを示し、炎症惹起のメカニズムを解析し成果を公表した(Uchikawa, Matoba, et al. Scientific Reports. 2022;12:14902. DOI:10.1038/s41598-022-19065-z)。マウスモデルにおける治療介入を含めた研究へ展開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度実績においては、臨床研究、基礎研究とも当初仮説に合致する成果が得られ、公表できた。 1)ヒト生体内で同定される複数の酸化ステロールと危険因子、病態との関係の解明 申請者らが実施したCuVIC Trial臨床試験において測定した血清酸化ステロールデータと冠動脈イメージング所見の解析を行ない、プラーク退縮と27-hydroxycholesterolが相関することを見出し、論文を公表し(Nakano, Matoba, et al. J Atheroscler Thromb. 2022;29.)、同論文はEditorial commentによる成果の強調がなされた。 2)CuVIC Trialデータにおいて、血清酸化ステロールと、臨床背景因子、コレステロール合成・吸収マーカー、炎症マーカー、酸化ストレスマーカーの多変量の共分散構造分析(Covariance Structure Analysis)を行い、コレステロール腸管吸収と酸化ステロールの関係を解析し、論文投稿準備中である。 3)酸化ステロールの急性心筋梗塞病態における役割と治療標的の解明 マウス心筋虚血再灌流モデルにおいて、7-ketocholesterolの摂取が心筋梗塞サイズを増悪させ、これらが炎症性マクロファージの心臓組織への誘導によって生じることを示した。7-keto-cholesterolがマクロファージの主要な炎症性サイトカインであるTNF-αおよびケモカインMCP-1の発現を誘導する機序をRNA sequenceプロファイルを多次元尺度構成およびクラスター解析により検討し、7-ketocholesterolが主にERストレス反応を介して炎症を誘導することを示し、論文を公表した(Uchikawa, Matoba, et al. Scientific Reports. 2022;12:14902.)。
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今後の研究の推進方策 |
1)臨床研究において冠動脈プラーク退縮と27-hydroxycholesterolが相関することを論文公表し(Nakano, Matoba, et al. J Atheroscler Thromb. 2022;29.)、同論文はEditorial commentによる成果の強調がなされるなど、注目されたため、コレステロール代謝マーカーを集積した多施設臨床研究に参画する方針とした。コレステロール吸収と心血管病(冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患)の関連を解析しており、論文化予定である。 2)基礎研究においては、マウス心筋梗塞モデルにおいて7-ketocholesterolが主にERストレス反応を介して炎症を誘導することを示し、論文を公表した(Uchikawa, Matoba, et al. Scientific Reports. 2022;12:14902.)。その成果を元に、治療標的分子の検討に入っており、酸化ステロール摂取による心筋梗塞慢性期の心臓リモデリング増悪をモデルとして、治療介入効果に関する基礎的成果を得たい。
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