研究課題/領域番号 |
23K21436
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補助金の研究課題番号 |
21H02934 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
斎藤 亮彦 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (80293207)
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研究分担者 |
細島 康宏 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (50464003)
後藤 佐和子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (10832884)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | メガリン / 慢性腎臓病 / 急性腎障害 / 創薬 / 糖尿病性腎臓病 |
研究開始時の研究の概要 |
メガリンは近位尿細管細胞のエンドサイトーシス受容体であり,腎毒性のタンパク質や薬剤等の「入り口」分子として腎臓病の発症・進展に関わる。私たちはメガリンの構造・機能解析を深化させ,腎臓病の病態解明と診断・治療における「メガリン創薬」を推進した。具体的には,(A)メガリンの立体構造やリガンド結合の物理化学的相互作用の解析によって腎毒性リガンドとメガリンの結合を阻害するメガリン拮抗薬の開発を進めた。(B)メガリンの細胞内ドメインの構造解析を通して慢性腎臓病の病態を解析し,メガリン機能抑制薬による治療理念を明らかにした。(C)尿中メガリンの排泄機序を解析することで尿中メガリン検査薬の意義付けを深めた。
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研究実績の概要 |
メガリンは近位尿細管上皮細胞に発現するエンドサイトーシス受容体で、糸球体を濾過する生理的リガンドの他、腎毒性のタンパク質や薬剤等の「入り口」分子として様々な腎臓病の発症・進展に関わる。本研究の目的は,我々が進めてきたメガリンの構造・機能解析を深化させ、腎臓病の病態解明と診断・治療における「メガリン創薬」を推進することである。具体的には、(A)メガリンの精密な立体構造解析やリガンド結合の物理化学的相互作用解析によって腎毒性リガンドとメガリンの結合様式を解明し、「メガリン拮抗薬」の開発を進める。(B)質量分析法等によるメガリンの構造解析を通して糖尿病性腎臓病の病態を解析し、「メガリン機能抑制薬」による治療理念を提唱する。(C)メガリンの細胞外ドメインの切断・尿中逸脱機序を明らかにすることで「尿中メガリン検査薬」の意義付けを深める。まず、(A) ラット腎から近位尿細管刷子縁膜を抽出・可溶化後、抗メガリンモノクローナル抗体によるアフィニティークロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーによりメガリンを精製し、クライオ電子顕微鏡を用いて立体構造を明らかにした。その構造の詳細な解析により、メガリンが多様なリガンドと結合するメカニズムを解明した。また、インシリコ解析により、メガリン拮抗薬であるシラスタチンがメガリンを阻害するメカニズムを解析した。また、表面プラズモン共鳴法を利用して、新規メガリン拮抗薬をスクリーニングするための評価系の構築を行った。(B) マウス・ラット腎近位尿細管の細胞膜(微絨毛)および細胞内におけるメガリンの構造の違いによる分布性を、生化学的および免疫組織化学的に検証した。さらに、質量分析法等によるメガリンの構造解析の基礎検討を行った。また、(C) 2型糖尿病モデルdb/dbマウスにおいて、尿中細胞外ドメイン切断型メガリンの排泄機序の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(A) ラット腎から近位尿細管刷子縁膜を抽出・可溶化し、抗メガリンモノクローナル抗体によるアフィニティークロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーによりメガリンを精製した。創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS) (東京大学) のクライオ電子顕微鏡を用いてメガリンの立体構造を決定した。その構造の詳細な解析により、メガリンが多様なリガンドと結合するメカニズムを解明した。また、インシリコ解析により、メガリン拮抗薬であるシラスタチンがメガリンを阻害するメカニズムを解析した。また、BINDS (東京大学) の表面プラズモン共鳴法を利用して、新規メガリン拮抗薬をスクリーニングするための評価系の構築を行った。(B) マウス腎の細胞膜成分 (細胞内ドメイン短縮型メガリンが存在) をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (PAGE) にて展開した。クマシー染色後、メガリン相当バンドをトリプシン処理し、質量分析法を用いてメガリン由来ペプチドの解析を行って、短縮型細胞内ドメインの断端配列の解析を進めた。(C) マウス尿 (超遠心上清) をSDS-PAGEにて展開し、メガリン相当バンドから上記と同様の質量分析法を用いて細胞外ドメイン切断型メガリンの断端配列を解析した。また、2型糖尿病モデルdb/dbマウスにおいて、尿中細胞外ドメイン切断型メガリンの排泄機序の検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
(A) メガリンの精密な立体構造解析やリガンド結合の物理化学的相互作用解析によって腎毒性リガンドとメガリンの結合様式を解明する。それによってメガリン拮抗薬のインシリコ創薬を進める。さらに、表面プラズモン共鳴法を利用して、新規メガリン拮抗薬のスクリーニングを行う。(B) 高脂肪食負荷マウス腎において低分子デキストランの取り込み(メガリンを介するfluid-phase endocytosis)が亢進するか、それがSGLT2阻害薬の投与によって抑制されるか、生化学的・組織化学的な検証を行い、SGLT2阻害薬の腎保護機序を明らかにする。(C) 尿中細胞外ドメイン切断型メガリンの断端配列を決定し、その切断酵素の同定を含め、切断機序を明らかにする。その知見を臨床研究に反映させる。
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