研究課題/領域番号 |
23K21467
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補助金の研究課題番号 |
21H03060 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松尾 光一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40229422)
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研究分担者 |
河合 克宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00553653)
黒田 有希子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70455343)
神崎 晶 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 室長 (50286556)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 骨格 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 細胞キラリティ / トランスペアリング / 左右対称 / 左右相称 / X線顕微鏡 / 左右対称性 / 骨細胞 / 皮質骨 / 頭蓋骨 / X線CTイメージング / 坐骨神経切除 / 皮質骨内管腔 / 筋骨格 / メカニカルストレス |
研究開始時の研究の概要 |
動物の骨格の左右対称性は、歩行や走行、遊泳、飛行の基盤となる。「骨格パターン形成の段階」では、骨芽細胞の細胞キラリティ(互いに鏡像の左手型や右手型細胞のこと)と左右対称性形態形成の関係を解明する。次に「骨の変容成長の段階」では、皮質骨が周囲の臓器の変化に応じて吸収され、対面の皮質骨が形成される「内形成性トランスペアリング」が起きるメカニズムを解明し、鏡像的な骨周囲環境で骨格が左右対称になることを示す。
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研究実績の概要 |
「骨が左右対称に形作られる形態形成の細胞機構は何か」を理解するために、左右対称の軟骨原基が骨化する「骨格パターン形成の段階」と、生後に骨化した骨が筋肉などの骨周囲の臓器・組織と一体となって成長しながらその形を改変していく「骨の変容成長の段階」に分けて解析した。すなわち、「細胞キラリティ仮説」によって左右対称性の骨格パターン形成を説明できるかと、「トランスペアリング仮説」によってパターン形成後の骨の左右対称性の変容成長を説明できるかを検証した。 【細胞キラリティ仮説】 新生仔マウスの頭蓋冠から初代骨芽細胞を単離した。次に、細胞培養レベルで右手型や左手型という細胞キラリティを検出する手法を改良し、フィブロネクチンを600x300ミクロンの長方形状に塗布し、その上で骨芽細胞を培養した。長方形のマイクロパターンに骨芽細胞が接着して整列するのを待ち、細胞集団として時計回りに傾いて配列するもの(右手型と呼ぶ)と半時計周りに傾くもの(左手型と呼ぶ)を定量的に解析した。細胞のキラリティと、頭蓋骨の骨梁構造との対応関係の解析を進めた。 【トランスペアリング仮説】マウス腓骨の皮質骨において、骨外膜の骨芽細胞と骨内膜の破骨細胞が皮質骨を挟んで対になっている「骨外膜側形成性トランスペアリング」と、骨外膜の破骨細胞と骨内膜の骨芽細胞が対になっている「骨内膜側形成性トランスペアリング」とを区別し、骨の外からの圧迫(左右対称に起こると考えられる)に応答して骨を変形させる骨内膜側形成性トランスペアリングのメカニズムを解析した。皮質骨を高解像度に撮像し、皮質骨を貫通する血管腔の可視化や、その直径や密度などの定量を行った。坐骨神経切除術を行うと、内向きトランスペアリングと皮質骨管腔も全周性に広がった。これらの結果を論文にまとめて投稿し、改訂を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
骨内膜形成性トランスペアリングの現象だけでなく、細胞メカニズムがわかってきたこと。すなわち、皮質骨を貫通する管腔構造が、骨外膜に存在する骨芽細胞前駆細胞を通過させて骨内膜形成に骨芽細胞を供給するというメカニズムである。これは、これまでにない視点であり、細胞系譜を経時的にトレースして、細胞の移動の直接的な実験データを強化する必要は残っている。細胞キラリティの方は「ホモキラリティ」という概念に到達し、マウスという種を越えて、頭蓋骨の骨梁構造の「左右非対称性」があることが認識されている。微細構造レベルの「非対称」の解明こそ、対称性の理解の前提となると思われた(考え方のパラダイムが変わった)。
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今後の研究の推進方策 |
細胞キラリティと骨の微細構造の関係を明らかにする。細胞ホモキラリティ(右手型が左手型よりも圧倒的に多い)は、培養系で解析しているものの、生体内の状況は不明である。そこでin vivoにおける細胞ホモキラリティの直接的な証拠を示すとともに、微細構造の「非対称」が生み出されていることを示す。非対称性を正確に把握したうえで、それでも大まかには左右対称になるメカニズムを考察する。トランスペアリングは四肢の長管骨だけでなく、肋骨などの骨に一般化できるかどうかを解析する。また、細胞系譜を経時的にトレースして、細胞の移動の直接的な実験データを強化することによって、骨内膜形成性トランスペアリングの概念を強化していく。
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