研究課題/領域番号 |
23K21471
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補助金の研究課題番号 |
21H03070 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
小村 和正 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (10789853)
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研究分担者 |
辻川 和丈 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (10207376)
東 治人 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (40231914)
谷口 高平 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70779686)
吉見 昭秀 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (80609016)
松井 佑介 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90761495)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 化学放射線療法 / がん / 耐性 / 腫瘍合成致死 |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題の為、記入しない。
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研究実績の概要 |
固形がんに対する化学放射線療法におけるDSBへの反応性変化と耐性獲得機序として、研究代表者が明らかにしている腫瘍内DNA複製ストレスを利用した合成致死誘導治療法(Synthetic Lethal Approach)の有効性を明らかにするための臨床検体解析基盤創設を実行した。。本学固形がんバイオバンクに登録している化学放射線療法を施行した臨床検体469例のWhole Exome Sequencing(WES)、RNA Sequenceライブラリー調整が既に完了しており、シーケンスを実行予定である。また、化学放射線療法施行後の再発症例でのオミックス解析により、新規にMitotic Checkpoint Complex (MCC)の構成蛋白であるBUB1B/BUBR1の過剰発現がMitotic Entryへの移行促進によるDNA複製ストレス惹起の原因となるだけでなく、Mutagenic Non-Homologous End Joint Repair (NHEJ)によるTumor Mutation Burdenにも寄与していることを明らかにしており、新規治療ターゲットとして有用である可能性をあきらかにしつつある。さらに、この複製ストレスによっておこるDNAダメージ修復の時間を担保するために、ATM mutant腫瘍ではATRシグナルへの依存が、またATM intact腫瘍ではBUB1B/BUBR1発現依存性にATM inhibitor感受性の増加が起こることを明らかにした。臨床治療予後情報を完全にリンクしたデートセットとの包括的解析により、正常細胞には影響を与えずに、がん細胞のみに合成致死効果を誘導するための革新的な新規治療戦略の開発を目指すとともに、臨床応用のためのバイオマーカーを同定することが次年度の目標である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学放射線療法施行後の再発症例でのオミックス解析により、新規にMitotic Checkpoint Complex (MCC)の構成蛋白であるBUB1B/BUBR1の過剰発現がMitotic Entryへの移行促進によるDNA複製ストレス惹起の原因となるだけでなく、Mutagenic Non-Homologous End Joint Repair (NHEJ)によるTumor Mutation Burdenにも寄与していることを明らかにしており、新規治療ターゲットとして有用である可能性をあきらかにしつつある。さらに、この複製ストレスによっておこるDNAダメージ修復の時間を担保するために、ATM mutant腫瘍ではATRシグナルへの依存が、またATM intact腫瘍ではBUB1B/BUBR1発現依存性にATM inhibitor感受性の増加が起こることを明らかにした。実際に申請者らの実験系においてもこれが証明され、これらの細胞は明らかにATR inhibitorであるVE822、ATM inhibitorであるAZD0156の効果が高いことが示された。
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今後の研究の推進方策 |
化学放射線療法施行例での臨床検体の包括的次世代シーケンスデータは散見されるが、臨床治療予後と完全にリンクしたデータセット構築の報告は世界でも報告はない。化学放射線療法施行例でのWES, RNAseqライブラリーの調整を469例で完了している。さらに、研究代表者機関バイオバンクでは食道がん、膵がん、肺がん等でも、化学放射線療法臨床検体のライブラリー調整を進めている。本申請課題では、共同研究契約を締結している筑波大学Precision Medicine CenterのNovaseq6000をもちいてこれらのシーケンスを完了する。WES, RNAseqともにS4フローセルを使用し、WESではx200 depthで10 Gb read/検体を目安とし、RNAseqでは50M read/検体でバリアントコールを最大限に検出するために200cycle kit (100bp ペアエンド)にてシーケンス予定である。シーケンスデータは国立がん研究センター、名古屋大学分担研究グループが主となって解析する。特にDNA Replication Pathwayの上昇と相関する遺伝子変異、Pathway、lncRNA等を網羅的に解析することにより、現在までに明らかにしているATR/ATM inhibitorの感受性が高い症例の予測モデルを構築する。本申請課題では、シーケンス症例で生存例中央値36か月以上の臨床治療予後情報を現在も継続的にモニターしており、化学放射線療法の治療予後情報と腫瘍のWES, Transcriptomeシーケンス情報を完全にリンクしたデータセットを世界で初めて構築する。
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