研究課題/領域番号 |
23K21475
|
補助金の研究課題番号 |
21H03079 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
千代田 達幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40445367)
|
研究分担者 |
角田 達彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10273468)
鎌谷 高志 東京医科歯科大学, M&Dデータ科学センター, 講師 (90645764)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 卵巣癌 / オルガノイド / ゲノム / トランスクリプトーム / マルチオミクス / オミクス / 薬剤スクリーニング |
研究開始時の研究の概要 |
Homologous recombination deficiency(HRD)のない卵巣癌および明細胞癌は化学療法の効果が低く、また効果的な分子標的薬は存在しない。本研究はこれらの難治性卵巣癌に対する革新的な治療薬開発と再発を防ぐ革新的な治療戦略を、卵巣癌オルガノイドバンクを用いて実現する。難治性卵巣癌から作成したオルガノイドを用いて薬剤スクリーニングを行い、薬剤感受性とゲノム、トランスクリプトームを階層的に統合解析し新規バイオマーカーに基づく薬剤を開発する。さらにはMinimal residual disease (MRD)における変化を明らかにし、MRDを根絶する革新的治療法を考案する。
|
研究実績の概要 |
前年度までにボルテゾミブを含むプロテアソーム阻害薬が明細胞癌(CCC)オルガノイドに効果的な薬剤であることがわかった。1つのみプロテアソーム阻害薬に耐性なCCCオルガノイドがあり、他の8つのCCCオルガノイドとトランスクリプトームを比較したところ、unfolded protein responseに関与する遺伝子としてAGR2が抽出された。プロテアソーム阻害薬耐性株ではAGR2の発現が低く、他のCCCオルガノイドではAGR2の発現が高かった。CCCオルガノイドを用いてAGR2 CRISPRノックアウトを行ったところ細胞増殖が有意に抑制され、またプラチナ抵抗性であったCCCオルガノイドがプラチナ感受性となった。免疫染色をおこなったところ明細胞癌では高異型度漿液性癌に比較して有意にAGR2の発現が高かった。AGR2ノックアウトではUPRがさらに増大していることが電子顕微鏡による観察などで明らかとなった。AGR2の発現がもともと低いCCCオルガノイドにおいてはAGR2のノックアウトにより同様の細胞増殖への影響、プラチナ感受性への影響は認められなかった。これよりAGR2の発現が高いCCCにおいてはAGR2に依存性があると考えられた。これらの結果よりAGR2は明細胞癌において治療標的となりうると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画どおりオルガノイドの高スループットスクリーニング技術を開発し、明細胞癌に有効な薬剤を同定することができ、オミクス解析とあわせて治療標的も抽出できた。論文投稿を近日中に予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
AGR2が明細胞癌の治療標的となることがわかったので、臨床的にAGR2をどう阻害していくべきか探索する。また、プロテアソーム阻害薬が明細胞癌に有効であることがわかったため、医師主導治験に関して立案していきたい。
|