研究課題/領域番号 |
23K21483
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補助金の研究課題番号 |
21H03105 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90221936)
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研究分担者 |
服部 高子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00228488)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10432650)
高江洲 かずみ (河田かずみ) 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10457228)
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (20112063)
西田 崇 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (30322233)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | CCN2 / lncRNA / UCA1 / skeletogenesis / anti-sense RNA / skeletal development / chondrocyte |
研究開始時の研究の概要 |
Cellular communication network factor 2 (CCN2) は脊椎動物の骨格を造り上げるのに必須なタンパク質であり、それがいつ、どこで、どれだけ産生されるかは骨の形や大きさに強く影響する。最近代表者はヒトが持つ多数の長鎖非コードRNA (lncRNA) のひとつ、UCA1がCCN2産生を制御し、ヒトの骨格形成で重要な役割を演じていることを発見した。これを基盤に本研究では、今まで知られていなかったlncRNA群によるCCN2発現制御メカニズムと骨格形成における役割を解明する。またlncRNAの種間多様性が、歯を含めた骨格の種間多様性を生む一因であるかも検証する。
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研究実績の概要 |
1. ACURの機能解析:ACURはCCN2 mRNAの3'非翻訳領域に相補的なアンチセンスRNAであり、その発現が予想に反してCCN2 mRNAの発現量と相関する。本年度は昨年度から取り組んでいる、GapmeRを用いたACUR特異的サイレンシング実験を繰り返し、ACURサイレンシングによりCCN2 mRNAの発現が有意に低下すること、さらに軟骨細胞分化のマスター転写因子であるSOX9の発現も同様に抑制されることを明らかにした。この効果はCCN2に対してより強くみられるため、ACURはCCN2の遺伝子発現促進を通じて軟骨細胞分化に貢献している可能性が高くなった。 2. ACURによるCCN2発現制御メカニズムの解析:ACURのCCN2制御機構を明らかにするため、CCN2 3'-UTRを蛍ルシフェラーゼ遺伝子下流に接続したレポーターベクターを軟骨細胞様HCS-2/8細胞に、ACUR強制発現ベクターとともに導入してルシフェラーゼ活性を評価したが、ACUR発現による変化はみられなかった。よってCCN2 3'-UTRを標的とするmiRNAなどのアクセスを遮断してCCN2発現を増強するという可能性は低くなった。そこで次にACURがCCN2遺伝子座周辺の微細環境の形成に貢献していることを想定し、予備実験を開始した。 3. UCA1の作用メカニズムの解明:昨年度の研究でUCA1の作用が軟骨細胞特異的であることが明らかになったが、本年度はヒト線維芽細胞にUCA1を強制発現させ、RNA-sequencingを行ったデータを公共データベースからダウンロードし再解析した。その結果、線維芽細胞でUCA1はCCN2発現に影響を与えないという結果が得られた。したがってUCA1によるCCN2発現制御は軟骨細胞形質の変化に伴う間接的な現象と考えられる。 4. CCN2遺伝子座から出力される新たなRNA分子の発見:CCN2 pre-mRNAから生成しうる環状RNA (circRNA)を探索したところ、ヒトとマウスにおいて今までに報告のないcircRNAが複数出力されていることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題ではCCN2遺伝子にトランスに作用するUCA1、およびシスに作用するACURの2つのlncRNAを標的と見定め、研究を計画・遂行してきた。このうちACURについてはすでに第3年度に予定されていた段階に着手し、当初の計画を超えた進展を見せている。これに対してUCA1については、CCN2に対する作用が状況依存的、間接的であることが明らかになり、当初の計画通りの研究では期待したような成果に至らない公算が高くなった。そのため研究計画の再考が必要である。ところがその間、CCN2を制御する可能性のあるRNA分子が新たに見つかり、より大きな研究課題に発展する可能性も出てきた。以上を総合的に考えると、研究は順調に進展しているものの計画通りとは言い難いため上記のような自己評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた研究計画のうち、ACURに関するものは概ねそのまま続行する方針で研究に臨む。しかしUCA1および、新たに研究対象として加わったRNAに関する研究については、より広い視点から大幅に研究計画を組み直す必要がある。具体的には、CCN2への作用機序を解明する上でも、ゲノムワイドな背景を考慮した解析を取り入れること、また軟骨細胞だけでなく他の骨格形成関連細胞にまで研究対象を拡げ、UCA1や新候補RNAの骨格形成における機能を解明することで十分な成果が期待できると考えている。
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