研究課題/領域番号 |
23K21500
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補助金の研究課題番号 |
21H03153 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
山本 龍生 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20252984)
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研究分担者 |
相田 潤 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80463777)
井手 一茂 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (40900410)
近藤 克則 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20298558)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | オーラルフレイル / 認知度 / 地域差 / 高齢者 / 環境要因 / 口腔機能 / 口腔機能低下 / ソーシャルキャピタル |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会となった日本において、高齢者の口腔機能低下への対応が歯科保健医療における喫緊の課題となっている。口腔機能低下を国民に周知するために「オーラルフレイル」が提唱されたが、認知度や該当者の分布は不明である。そこで本研究は、オーラルフレイルの認知度を向上し、国民が自らオーラルフレイルを予防できる環境を整えるための地域環境要因を明らかにすることを目的とする。具体的には、日本老年学的評価研究が実施する高齢者へ質問紙調査の一部にオーラルフレイルの認知および該当に関する質問を追加して調査を行い、オーラルフレイルの認知や該当に関連する地域環境要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、オーラルフレイル(OF)を国民に周知し、予防・改善のために介入できる地域環境要因を特定することである。2023年度は以下を実施した。 2022年度に収集した某市のデータを用いてOFの認知に関連する地域の環境要因を検討する予定であったが利用ができなくなった。そこで、某市を除く70自治体で行った同様の調査データを用いて分析することとした。70自治体におけるOF対策に関する事業について郵送による調査を行った。 日本老年学的評価研究(JAGES)が保有しているJAGES2010-2011年-2013-2014年-2016-2017年の3時点パネルデータを用いて、地域の環境要因が、OF該当の変化に与える影響を検討した。2010-2011年の歯数の質問方法が他の時期の調査と異なるため2013-2014年と2016-2017年の2時点を用いて、ベースライン時にOF非該当の者を対象として、2016-2017年時点でOF該当になったか否かを検討した。人単位と自治体単位の2レベルマルチレベルポアソン回帰分析のNullモデルにおいて、自治体間の有意差はなかった。 JAGESの2019年と2022年のデータからパネルデータを作成した。 JAGESの実施した4時点繰り返し横断データを用いて、某市におけるOF該当の地域差の変化とOF該当に関連する地域の環境要因を検討する予定であった。しかし某市の協力が得られなくなり実施を見送った。 2020年に実施した神奈川県民歯科保健実態調査データを二次利用して、20歳以上におけるOFの認知度、OFリスク等の地域差や関連する要因について検討した。5,051名による分析の結果、OFの認知度は29.6%であり、OFハイリスク者は28.1%であった。年齢、性別、生活習慣等を調整すると認知度には二次医療圏における有意な地域差が存在したが、ハイリスクにおける地域差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
某市のデータを利用できなくなり、行政区を単位とした場合のオーラルフレイルの認知度の地域差に関する分析ができなくなった。しかし、その他の70自治体の認知度に関するデータが得られたことから、自治体単位の認知度に関する分析を行う計画に変更した。この変更は、行政区の違いから自治体の違いによる検討となり、政策的にはより有益な情報が得られる可能性がある。また、当初の予定通り、2019年と2022年のパネルデータが作成された。これらの結果から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
オーラルフレイルの認知度に関しては、某市のデータが利用できなくなり、行政区単位の分析が実施できなくなった代わりに、同様の調査を行った某市以外の70自治体のデータを利用し、自治体を単位とした生態学的研究と個人データを含めたマルチレベル分析を行うこととした。 ①オーラルフレイルの認知度に関する生態学的研究:2022年度に実施した日本老年学的評価研究(JAGES)対象70自治体のなかで、オーラルフレイル対策に関する事業等の調査に未回答であった自治体に対して再調査を行うとともに、自治体のウェブサイトの閲覧によって情報を入手する。70自治体の認知度とオーラルフレイル対策、都市度などとの関連を検討する。 ②オーラルフレイル認知度に関するマルチレベル分析:2022年度に実施したJAGES対象70自治体の調査対象者の中で、オーラルフレイル認知度を含む調査票に回答した者を対象として、目的変数をオーラルフレイルの認知の有無、説明変数を個人要因及びオーラルフレイル対策などの地域環境要因として、マルチレベル分析によってオーラルフレイルの認知に関連する個人及び地域環境要因を明らかにする。 ③オーラルフレイルの該当の変化に関する研究:2023年度に作成した、JAGES 2019年データとJAGES 2022年データのパネルデータを用いて、オーラルフレイル該当の変化に関連する個人及び地域環境要因をマルチレベル分析によって検討する。 ④まとめ:最後に、研究者全員によって、本研究で特定した地域環境要因への介入によるオーラルフレイルの予防および改善の効果についてディスカッションを行う。
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