研究課題/領域番号 |
23K21519
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補助金の研究課題番号 |
21H03198 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西浦 博 京都大学, 医学研究科, 教授 (70432987)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 感染症 / 疫学 / 数理モデル / 予防医学 / 不顕性感染 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、COVID-19流行の観察データを使用して伝播の異質性や不顕性感染者が生み出す2次感染者数、および、ヒトの移動に伴う流行リスクを明示的に推定し、それを感染症対策の評価に役立てる数理モデリングプロジェクトである。倫理的理由から、隔離や接触者追跡調査をランダムに割り付けするができないため、観察研究成果を利用して後ろ向きに疫学データを分析し、そのデータに統計モデルを適用することで推定する。伝播ネットワークの再構築と分析に必要な分岐過程や多変量再生産方程式などのモデルで明らかにできることを体系的に整理し、モデル構造とモデル化に必要な想定を明らかにしつつ、基礎的方法論を確立する。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行で数理モデルを活用した分析を行ってきたが、評価の細部技術において様々な科学的問題が浮き彫りになった。本研究の目的は、リアルタイムの感染症流行評価のための数理モデルを活用した定量化方法を構築することである。交付期間内に次の3つの研究項目に取り組む: 特に令和3年度繰越では、(1) 職種別の実効再生産数推定(伝播ネットワークを利用した世界初の推定モデルの実装)、(2) 不顕性感染者の2次感染リスク推定手法の開発とクラスター対策の妥当性評価、(3) ヒト移動データとゲノム情報を駆使した移動に伴う流行リスクの定量化に取り組んだ。 異質性(感染者が同等にふるまわない性質)は流行対策を考案する上で鍵となる情報である。例えば、接待を伴う飲食業や居酒屋などで2次感染が多く、その他に大きな発声や頻回の呼吸回数を伴うライブハウスやフィットネスクラブ、医療機関や福祉施設などで患者の集団発生(クラスター)が頻発したのは2次感染の異質性と深く関与したものである。これまでの流行では、ある時刻に1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値を意味する実効再生産数の推定を通じて現状分析を行ってきたが、それは人口全体での平均値を推定するに留まってきた。例えば、職業別(接待飲食業、飲食業、医療・福祉、その他、のような区分)で行列を作り、同一職種内と異職種間のそれぞれで1人の特定種の感染者1人あたりが生み出す同/異職種の2次感染者数の平均値が時刻毎に十分に定量化されていれば、人口全体で接触の削減をせずに、限定的な職種や空間などで営業自粛や時間短縮などを行うことに繋がり、よりきめ細やかな流行対策をリアルタイムで実現することが可能となる。本研究では同分析の基盤づくりに取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
繰越の上で予定していた研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ヒトの移動を十分に取り入れた感染リスクの空間的拡大やその人口レベルでの影響に関する定量化に取り組む。感染症対策と経済活動の両立を目的としてGoToトラベルキャンペーンが実施された。その影響を定量化する観察研究が必要であることはもちろんだが、基礎的研究手法としてヒト移動の疫学的インパクトを未然に推定する方法が必要であった。加えて、海外とのヒトの往来を通じたリスクや関連したデータを利用することによるリスク評価は、その政策判断前に十分に検討されてこなかった。他方、国内で流行が拡大したウイルスのゲノム情報は既に一部公開されており、移入リスクや国別リスクの推定等は既に実装可能な状態にある。この定量化を実現すれば、予想される感染リスクに基づいた出入国の政策判断が可能となるだろう。
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