研究課題/領域番号 |
23K21530
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補助金の研究課題番号 |
21H03221 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 大阪大学 (2023-2024) 金沢大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
岡本 成史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50311759)
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研究分担者 |
須釜 淳子 藤田医科大学, 社会実装看護創成研究センター, 教授 (00203307)
小倉 康平 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00586612)
向井 加奈恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (30755335)
大貝 和裕 石川県立看護大学, 看護学部, 特任教授 (40706983)
中島 由加里 金沢大学, 保健学系, 助教 (40846680)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | リンパ浮腫 / 蜂窩織炎 / 皮膚細菌叢 / ディスバイオーシス / レンサ球菌 / マウスモデル / モデルマウス / マウス / 化膿レンサ球菌 |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ浮腫患者の患部皮膚は蜂窩織炎の発症ならびにその再発のリスクが高いとされ,リンパ浮腫患者の最大の健康障害となっている.本研究では,未だ確立されていないリンパ浮腫患者における化膿レンサ球菌による蜂窩織炎に対する科学的根拠に基づく発症予防対策の策定を目的とする.そのために我々が作成したマウスの鼠径・膝窩・腸骨リンパ節を遮断することで下肢リンパ浮腫を発症するマウスモデルを基盤に,ヒトでの重症リンパ浮腫の症状を再現できるリンパ浮腫モデルマウスを作製し,同マウスを用いてリンパ浮腫への化膿レンサ球菌感染による蜂窩織炎の発症亢進の原因を明らかにする.
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研究実績の概要 |
研究初年度においてリンパ浮腫発症マウスの作製を申請書に記載の計画書の通り進めてきたが、リンパ浮腫を一定期間発症させることができなかった。そのため、研究2年目の令和4年度では、作製方法自体の改良に時間を費やした。そして、マウスの鼠経リンパ節と膝窩リンパ節を結紮してリンパ節のうっ滞させ、その後X線照射させることで、数週間リンパ浮腫を発症し持続させることに成功した。研究3年目の今年度は、そのリンパ浮腫マウスを用いてリンパ浮腫を起こした部分とコントロールの健側部分の皮膚細菌叢を採取し、その相違について比較検討を行う予定である。 一方、研究2年目において、ヒトの再発性褥瘡の原因にブドウ球菌属細菌のドミナントな存在比率の上昇があり、その原因を検討したところ、一部のブドウ球菌種(Staphylococcus aureusとStaphylococcus caprae)の存在比率の突出が皮膚感染による皮膚傷害を増強させることを明らかにした。 我々は、この研究成果を参考にし、蜂窩織炎発症の原因としてリンパ浮腫による一部の細菌のドミナントな増殖が関与するのではないかと考えており、リンパ浮腫による細菌叢のα多様性の縮小と一部侵襲性細菌の増殖が蜂窩織炎を惹起させているのではないかと考えている。そこで、マウスリンパ浮腫発症部位の皮膚細菌叢の構成変化について、α多様性の減少とStaphylococcus 属細菌の存在比率の上昇の有無、さらには存在比率上昇に関与する皮膚の生理学的変化について綿密に観察を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度にうまくできなかったリンパ浮腫発症モデルマウスの作製が昨年度無事に成功し、このモデルを用いてリンパ浮腫における皮膚細菌叢の構成変化と、蜂窩織炎発症リスクの上昇に関わる原因究明にとりかかることが可能となった。研究の進捗状況は当初の予定より少し遅れているものの、リンパ浮腫発症モデルマウスの作製がこの研究遂行における律速段階であると想定していたこともあり、その作製が研究2年目に目途がついたことで、今後の研究が順調に遂行されることが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1.改良型リンパ浮腫発症マウスにおけるマウス皮膚の性状変化:鼠径・膝窩・腸骨・腋窩リンパ節を閉鎖することで四肢に重症のリンパ浮腫を発症する改良型リンパ浮腫発症マウスと健常なマウスを用いて,リンパ浮腫の有無による以下の変化について比較検討する. ・解剖学・病理学的変化:皮膚表層の乾燥,発赤,腫脹,潰瘍など有無を実体顕微鏡などで観察する.さらに皮膚組織標本を作製し,各種染色により表皮ならびに皮下組織における病理組織学的変化を観察する.以上より,リンパ浮腫により角質層,皮下組織の構造的な乱れが生じ,バリア機能の脆弱性を示す変化を示すか否かを検討する.・生理学的変化:皮膚表層の水分量,皮脂量,経表皮水分蒸散量,表皮のpHについて各種測定機器を用いて測定し,リンパ浮腫により皮膚にどのような変化が生じ,その変化が皮膚組織にどのような影響を与えると考えられるのかを検討する.・生化学・免疫学的変化:皮膚部分を採取して,そこからDNA, RNAを抽出し,マイクロアレイにより,サンプル中の炎症蛋白質,サイトカイン,ケモカイン,その他ケミカルメディエーターをコードする遺伝子発現の変化を観察する. ・生物学的変化:皮膚表層には細菌叢が存在する.その細菌叢がリンパ浮腫によってどのような変化を示すかをマイクロバイオーム解析によって検討する. 2.ヒトと改良型リンパ浮腫発症マウスにおけるリンパ浮腫部分での皮膚性状の比較検討 重症のリンパ浮腫患者ならびにリンパ浮腫に罹患していない健常者について,リンパ浮腫発症部分の皮膚性状の比較検討を行う.方法は1.の記載内容に準ずるが,ヒトでの測定が不可能な皮膚の病理組織検査は,超音波エコー検査に置換えて行う.1.2.の研究結果より,改良型リンパ浮腫発症マウスのリンパ浮腫部分の皮膚とヒトでのリンパ浮腫の皮膚の性状を比較する.
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