研究課題/領域番号 |
23K21577
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補助金の研究課題番号 |
21H03278 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 四日市看護医療大学 (2023-2024) 修文大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
前川 厚子 四日市看護医療大学, 地域研究機構 看護医療交流センター, 研究員 (20314023)
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研究分担者 |
本田 育美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30273204)
吉田 和枝 四日市看護医療大学, 看護医療学部, 教授 (40364301)
中井 滋 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (20345896)
稲熊 大城 藤田医科大学, 医学部, 教授 (60791069)
榎本 喜彦 四日市看護医療大学, 看護医療学部, 講師 (00387713)
伊藤 康宏 四日市看護医療大学, 看護医療学部, 教授 (40176368)
松原 宏紀 修文大学, 医療科学部, 講師 (10885908)
神谷 幸宏 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (10361742)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 排便機能 / 慢性透析患者 / 腸電位測定 / 排便困難症 / 緩下剤 / 排便機能障害 / 下痢 / 慢性便秘 / 腸電位 / 透析治療 / 透析患者 / 排泄機能障害 / 便秘 / ポータブル腸電位計 / 腸蠕動運動 / 排便予測指標 |
研究開始時の研究の概要 |
2021年から4年間のプロジェクト研究で愛知県下の慢性透析治療患者を対象にした排便機能状況に関する課題をポータブル腸電位計を用いて明らかにしていく。透析患者特有の腸電位パターンを抽出し、排便リズムの特徴を検討する。これまでの調査では、22%の患者が緩下剤を常時服用して排便していることが明らかになった。 2024年度は機縁法により複数の研究協力者を募り、ご自宅で腸電位を測定し、データ収集・解析を行う。便秘を主訴とする透析患者の具体的な排便リズムや透析日との関係性を把握し、腸電位データから“便意”と“排便時”の波形パターンを抽出し、慢性透析患者特有の腸電図パターンを可視化、公表する計画である。
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研究実績の概要 |
過去3年間のCOVID-19蔓延は透析患者を対象にした研究に打撃になった。透析医療施設では、現在も感染リスクが高く、バスキュラーアクセスと長時間同一室内で治療を受けるという特殊性から透析患者の腸電位測定における研究協力者をリクルートすることが大変難しい状況にある。当初計画で内諾が得られていた3か所において、COVID-19とインフルエンザが同時期に発生したために研究者の受け入れと腸電位測定が不可能となった。リクルート方法を変更して透析患者の腸電位を収集し、健常者と比較していく事とした。 1)対象者を限定して医療機関以外の介護施設で機縁法により研究協力者を得て、シングルスタディ法で経時的なデータを収集中である。データは定例プロジェクト会議で検討し、透析患者と健康被験者の食後の排便リズムや緩下剤服用後の比較を行い、基礎資料を蓄積している。腸電位データ解析の結果「排便の前触れ」「排便時のピーク波形」「便意が消失していく過程」「安静時」が弁別できた。 2)2023年、東海ストーマ・排泄リハ学会で「愛知県における慢性透析患者の排便管理に関する実態調査」を発表した。対象者は18,032人で男性が67%、平均年齢は69.7歳、平均透析歴は7.8年であった。排便困難症患者の定期処方として緩下剤は22%、整腸剤は10.3%に確認された。透析患者は多疾患併存”Complex Multimorbidity”状態で、長期間にわたり多剤併用しているため薬剤の悪影響を受けやすく、心不全だけでなく大腸がん、腸閉塞や消化管出血のハイリスク管理群であることを報告した。 3)2024年2月22日に「世界発のポータブル腸電位計の発明」による大腸蠕動運動の波形解析がNHKテレビ「トリセツショー・便秘」で放映された。排便前後波形の探索的証明は前川が行った。便秘改善に対する健康教育の媒体になったことが成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
透析患者の感染対策から腸電位測定における研究協力者をリクルートすることが大変難しい状況にある。当初計画で内諾が得られていた透析医療機関において、COVID-19とインフルエンザが蔓延したために研究者の受け入れと研究実施が不可能となった。 透析患者はバスキュラーアクセス・ハイリスクであり虚弱な高齢者が多いために医療機関以外の介護施設で機縁法により、研究協力者を得てシングルスタディ法で経時的なデータを収集中である。得られたデータは定例プロジェクト会議で検討し、透析患者と健康被験者の食後の排便リズムや緩下剤服用後の比較を行い、基礎資料を蓄積している。腸電位データ解析の結果「排便の前触れとなる特徴的なサイン」「排便時のピーク波形」「便意が消失していく過程の波形」「安静時波形」が弁別できた。 分析方法の工夫については、エクセルデータのFFT(高速フーリエ変換)からカラーマッピングする方法とPythonを用いたデータの可視化について検討している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
ポータブル腸電位計を用いた透析患者の排泄リズムの可視化研究は2024年度が最終年度となる。腸電位計で収集できるデータは、腹部エコーとの相関が得られ、一定の信頼性を確認でき、再現性や追試も可能であることが明らかになっている。さらに、解析方法とデータ可視化の技術もプロジェクトで最適な方法を選定中である。 透析医療を受けている患者のデータ収集は、10から20件の研究協力者のリクルートを予定しており、腸電位測定により血圧変動や心拍変動のリスクが高まるのかどうか透析と腸管リズムの関連性を観察していく。 研究成果の公表では2024年10月にスコットランド、グラスゴーで開催される世界ストーマ・排泄リハ学会や2025年2月の日本ストーマ排泄リハ学会でプレゼンテーションし、腸電位計の非侵襲的な測定器としての優越性やハンディなツールであることをアピールする計画である。つまり、腸電位という新しい生体情報がもたらす体内のバイタルサインをどのように看護科学の樹立に役立たせるのかという理論構築と新技術開発を目指した取り組みを絶え間なく、持続的に実施して成果をまとめる予定である。
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