研究課題/領域番号 |
23K21597
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補助金の研究課題番号 |
21H03318 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
増田 和実 金沢大学, 学校教育系, 教授 (50323283)
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研究分担者 |
芝口 翼 金沢大学, GS教育系, 講師 (40785953)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 筋細胞 / ミトコンドリア / ミオグロビン / 相互作用 / タンパク質輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
健康増進のためには運動や食事を含む健全な生活習慣を通じて、とりわけ骨格筋のミトコンドリア(Mito)の機能の向上が重要である。我々は心筋や骨格筋の細胞にしか存在しないタンパク質:ミオグロビン(Mb)がMito呼吸能力を上昇させることを発見したが、MbがMitoと機能的に相互作用する生理学的機序については全く不明である。本研究では、MbとMitoの単離・精製と細胞生物学的解析やMitoのタンパク質輸送過程の解析を進める。本研究を通じてエネルギー代謝の要であるMitoの機能の維持・増進への新たな制御機構の解明につなげることへ挑戦する。
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研究実績の概要 |
筋のミトコンドリア(Mito)の基質酸化能力の向上は細胞機能の恒常性にとって重要な要素である。R3年度のでは細胞質の酸素結合タンパク質であるミオグロビン(Mb)がMitoに内在して呼吸鎖複合体との相互作用を通じてMito呼吸機能を高めている可能性を見出した。ここで示唆されたTOM複合体のサブユニットであるTom20やTom70とMbとの相互作用がMbの輸送機能を果たしているのか否かを検証するために、C2C12筋芽細胞のMitoのTOM複合体のサブユニットの発現量を操作した。C2C12筋芽細胞にTom20-siRNAとTom70-siRNAの両方、あるいはTom40-siRNAを48時間導入した後、分化誘導をかけた。分化誘導72時間後のC2C12筋管細胞からMitoを単離し、ウェスタンブロット法によってMb等を検出した。腓腹筋深層部およびC2C12筋管細胞のMito画分をTom20とTom70でIPすると、両IPサンプルからMbが検出された。一方、C2C12筋管細胞のTom20とTom70を同時に発現抑制しても、Mito画分のMb発現量は変化しなかった。また、TOM複合体の通過口であるTom40を発現抑制したC2C12筋管細胞においても、Mito画分のMb発現量は変化しなかった。これらの結果から、MbがTOM複合体の受容体と何らかの相互作用はしているものの、それらの相互作用はTOM複合体を介したMito内部へのMb輸送に関与しない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R3年度においてTOM複合体の発現操作が上手くいかなかった点を再度検証しながら、期待するレベルまでにTOM複合体のサブユニットの発現量を抑制することができた。こうした実験条件を整えた上で、Mito内へのMb輸送量(内在量)を検証することができた。結果は予想に反してTOM複合体を介さない可能性が示唆された。このことはMitoへのMb輸送を担うTOM複合体非依存的な新たな分子機序が想定されるが、慎重に検討する必要がある。また、ラットの運動モデルの予備検証も行うことができた。持久性運動を課されたラット骨格筋のMitoにはMbの内在量が増加することや、Mito呼吸活性が上昇する傾向が観察された。次年度はMbのMito輸送経路の候補を検証すると共に、運動モデルのようなMito内のMbを増やす現象とMitoの機能変化に重点を置きながら検証を重ねる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
持久性運動を行った筋のMito内部のMb量が増加する事実(予備検証)は、Mbの輸送経路の存在を示唆するものである。しかしながら、TOM複合体の発現量操作に関わらずMito内のMb内在量が変化しなかった事実は、運動モデルのようなMbとMitoとの間の生理学的現象はTOM複合体に非依存的に生じている可能性がある。今後の検討課題の中で重点的に進めたい点は、MbがMitoへ輸送される際にTOM複合体を通過しているのか、それとも別の輸送経路なのかを明らかにすることである。また、Mito内在型Mbの多寡に応じてMito呼吸機能(O2消費機能)が変化するかを高感度酸素電極を用いて検証する。その機能変化が生じていれば、ミトコンドリアの代謝基質や膜電位などが変化している可能性もあるので、メタボローム解析によってMbの多寡がTCA回路の鍵となるMito内の基質変動に影響を及ぼすか検証する。
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