研究課題/領域番号 |
23K21628
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補助金の研究課題番号 |
21H03374 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
並河 徹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特任教授 (50180534)
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研究分担者 |
横田 茂文 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50294369)
須山 幹太 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70452365)
加藤 規弘 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 部長 (80293934)
硲 哲崇 朝日大学, 歯学部, 教授 (90243154)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 食塩嗜好性 / SHR / 遺伝解析 / epithelial Na Channel / QTL解析 / 関連分析 / 高血圧 / epithelial Na channel / 味覚 / 減塩 / 遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目標は、SHRの食塩嗜好性遺伝子を同定し、塩味が好ましいと感じる遺伝的メカニズムを明らかにすること、その知見を活かして新たな発想にもとづく減塩法の開発につなげることである。本研究では、次世代シークエンス技術を応用した新たなSNPタイピング法を用いることで、従来の10倍の精度での解析を可能にし、候補遺伝子の迅速な同定を達成する。同時に、神経科学的な方法論を用いて、SHRとWKYの塩味に対する反応性の違いを詳細に分析し、得られた遺伝子情報を加味することで、食塩嗜好性の生理メカニズムを明らかにする。得られた情報はヒトでの遺伝解析に応用する。
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研究実績の概要 |
高血圧などの心血管系疾患を予防するためには減塩の実現が不可欠である。高血圧の遺伝的モデルラットSHRが対照ラットWKYに比べて高濃度の食塩水を好んで飲むことが明らかとなり、食塩嗜好性に関与する遺伝子の存在が示唆された。そこで、本研究の目標は、SHRの食塩嗜好性遺伝子を同定し、塩味が好ましいと感じる遺伝的メカニズムをあきらかにすること、その知見を活かして新たな発想にもとづく減塩戦略の開発につなげることである。 今年度は以下の検討を行った。 1)約300匹のF2ラットデータとターゲットキャプチャーシークエンス法を用いた遺伝解析を終了し、染色体3番に食塩嗜好性にかかわる遺伝子が存在することが確認できた。この結果に基づき、SHRとWKYの間で作成されたコンジェニックラットの凍結精子から染色体3番をターゲットとする2つのコンジェニック系統の起ち上げを行った。 2)ナトリウム摂取にかかわると報告されている脳神経核において、SHR, WKYをナトリウム欠乏状態にしたときの神経活性化を比較したところ、両系統間で有意な差があることが判明した。もともとの神経細胞数にも差がある印象であった。 3)苦味受容体遺伝子であるTAS2R38には多型があり、遺伝子型の違いが苦味の感受性に影響していることが知られている。一方マウスの研究で、苦味受容体が高濃度塩味への忌避反応に関わることが報告された。そこで、ヒトのサンプルを用いて、TAS2R38遺伝子多型と食塩摂取量に関連がないかの検討を開始しSNP typingを約2400名分のtypingを終了した。 4)舌からの味覚信号を伝達する鼓室神経を切断し、食塩嗜好性に与える影響について検討した。ENaC阻害薬を使用したときと同様に、SHRの食塩嗜好性が遮断されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を分担している一部の研究者の健康上の理由、動物施設の改修工事などの避けがたい事情により、当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)コンジェニックラット2系統を確立し、これを用いて食塩嗜好性遺伝子が第3染色体上の特定の位置にあることを確認する。その領域に有望な候補遺伝子が存在すれば、それについて、変異の有無、発現部位、発現レベルの系統差などの解析を行う。2)脳神経核での神経活性化について、WKY, SHR2系統間での違いについて、データを増やして確定する。コンジェニックラットについてもできる限り検討を行う。3)ヒト疫学データを用いて、食塩摂取量と苦味受容体遺伝子多型との関連を検討する。4)これらのデータを総合して、論文作成、投稿を行う。
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