研究課題/領域番号 |
23K21630
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補助金の研究課題番号 |
21H03377 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
林 久由 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40238118)
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研究分担者 |
笠原 尚哉 自治医科大学, 医学部, 助教 (50382891)
寺谷 工 自治医科大学, 医学部, 講師 (70373404)
石塚 典子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30440283)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 細胞系譜 / オルガノイド / 絶食 / 摂食 / 上部小腸 / グルコース吸収 / クローディン / SGLT1 / 栄養素シグナル / 小腸 / 栄養素吸収 / ケトン体 / グルコース代謝 / 腸幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
上部小腸の栄養素吸収機構は摂食時には働いておらず、絶食時に機能することを見出した。上部小腸は、生体内のエネルギー状態を感知し、栄養素の吸収亢進をオンにすると考えられ、この機構は下部の小腸にはないことが示唆された。本研究ではこれら、上部小腸のエネルギー感知スイッチ機構の生理的意義並び、その分子機序を解明することを目的とする。このために、タイト結合タンパク質欠損動物、小腸オルガノイドなどを用いる。本研究のこれら機能が解明できれば摂食のリズムなど、食生活の科学的根拠に基づいた指針を示すことができるなど新たな食事療法への応用などが期待される。
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研究実績の概要 |
絶食は、さまざまな臓器の機能や糖代謝機構を変化させ、健康状態の改善や老化の進行を遅らせることが知られている。しかし、絶食や摂食が小腸におけるグルコース吸収機能にどのような影響を及ぼすかは明らかにされていない。マウスを絶食させ、グルコース誘発短絡電流上昇(ΔIsc)に及ぼす摂食の影響を、Ussingチャンバー法を用いてin vitroで検討した。摂食マウスではグルコース誘発ΔIscは回腸で観察されたが、空腸ではほとんど観察されなかった。しかし、24-48時間絶食させたマウスでは、回腸に加えて空腸でも経時的にグルコース誘発ΔIscが観察された。刷子縁膜を単離し、SGLT1発現量をウェスタンブロッティング法で解析したところ、48時間の絶食に比べ、摂食条件下では空腸で有意に低下していた。さらに、マウスに60%高グルコース食を3日間与えたところ、グルコース誘発ΔIscの増加は回腸でのみ観察された。また絶食マウスの空腸では、上皮細胞間のNa+透過性の増加が同時に観察された。代謝されないグルコース類似体である14C-メチルα-d-グルコピラノシドグルコース(MGP)を用いて経上皮グルコースフラックスを評価した。摂食・絶食にかかわらず、グルコース拡散機構は観察されなかった。絶食は空腸におけるSGLT1を介したMGPフラックスを増加させた。以上、絶食時および摂食時の部位依存的なアップレギュレーションおよびダウンレギュレーション機構は、絶食後の効率的なグルコース吸収に重要であることが示唆された。さらに、これらの機序は、小腸がグルコース吸収を自己調節する能力において重要な役割を果たし、大量のグルコースを摂取した際の急性高血糖を防止している可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小腸のグルコース吸収機構は部位特異的に食餌により調節されていることを明らかにすることができた。またこの結果をまとめ、国際誌に発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
生体は通常の摂食時では下部小腸の機能活性で栄養素吸収に対応しており、飢餓時には、小腸は体内のエネルギー状態の低下を感知し、次回に栄養素吸収が可能になった際に速やかに、かつ効率的に栄養素を吸収できるように、栄養素吸収活性を亢進させるようなスイッチがオンになる可能性があることが今年度まで研究で示すことができた。このエネルギー感知システムのスイッチ機構は、陰窩にあるタイト結合により構成される微小環境の関与が必要である可能性がある。本年度は主に、タイト結合部欠損動物から単離した幹細胞より、小腸オルガノイドを作成し、エネルギー感知システム検討を行う。
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