研究課題/領域番号 |
23K21717
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補助金の研究課題番号 |
21H03542 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西野 美都子 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30510440)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 多剤耐性菌 / 機械学習 / 画像解析 / 深層学習 / 画像判別 / 電子顕微鏡 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
複数の抗菌薬が効かなくなる病原細菌(多剤耐性菌)の出現が世界的な問題となっている。本研究は多剤耐性菌から遺伝子的、形態学的、耐性因子などの様々な情報を取得し、バイオインフォマティクス解析を行い、耐性菌が出現するメカニズムについて明らかにする。そして、人工知能(AI)による情報の融合とモデル化を行い、多剤耐性菌を自動で判別する技術基盤の構築を目指す。多剤耐性菌出現の予測や自動判別、創薬へのターゲット探索等、耐性菌問題の克服に役立つ情報を提供する。
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研究実績の概要 |
多剤耐性菌の出現は世界的な問題であり、感染症を克服することは、今日も医学的重要課題の一つである。耐性菌が出現するメカニズムを理解し、それらを抑制する手法を開発することは急務であり、病院検査室等において簡便かつ迅速な多剤耐性菌検出法の開発が求められている。本研究では多剤耐性菌について耐性化過程で生じる遺伝子的、形態学的変化を網羅的に解析しオミクス情報を取得し、機械学習によるこれらの情報の融合とモデル化を行い、人工知能(AI)による薬剤耐性能自動判別技術基盤を構築する。進化実験により獲得された様々な薬剤耐性株をモデル株としてマルチオミクスデータを取得し、深層学習を用いた判別アルゴリズムの構築を行っている。電子顕微鏡画像により一部の薬剤耐性菌について高精度に判別することに成功した。電子顕微鏡は、細菌内部の詳細な形態情報を高分解能で得ることができるものの、試料作成や画像取得に高度な技術と時間を要してしまい、ハイスループット解析に課題がある。一方で、薬剤耐性菌が光学顕微鏡レベルで形態変化しているのであれば、将来的に迅速な画像判別につながる手法が構築できる可能性がある。今回、様々な薬剤耐性株を用いて光学顕微鏡画像を取得した。シングルセル領域のセグメンテーションを行い、複数種類の形態項目を計測した。数千個の細胞計測データを用い、ヒストグラム交差法により非耐性株と耐性株の類似性について比較した結果、薬剤耐性株の中でもキノロン耐性株が特に親株との類似度が低く、細胞の円形化が生ていことことが明らかとなった。次に、遺伝子共発現ネットワーク解析により形態特徴データ高い相関を持つ遺伝子を探索した。その結果、細胞の円形化に関わる項目と高い相関を持つグループに含まれる遺伝子群において、細菌の多剤耐性に重要な複数の薬剤排出ポンプおよび、薬剤耐性化に関与するストレス応答遺伝子が含まれていることが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
深層学習は昨今発展が目覚ましい機械学習法の一つであり、コンピュータ上のAIで画像認識や識別を行い、多量のデータから統計的に共通する特徴を高精度に抽出することが可能になってきている。近年、医学分野の画像診断にもAI技術が取り入れられ始めている。しかしながら、病原細菌のような2マイクロメータ前後の非常に小さな対象物を画像で高精度に判別する方法は未だ開発途上にある。我々は、電子顕微鏡を用いた多剤耐性菌の画像判別を世界で初めて成功させた。さらに、光学顕微鏡画像解析により薬剤剤耐性菌は細胞内部構造のみならず概形でも非耐性細菌から変化していることが分かり、その概形特徴に多剤耐性に関わる遺伝子が寄与していることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者はこれまでの解析により、様々な薬剤耐性株の多くが、耐性を持たない非感受性株と比較して形態学的に異なる特徴を有していることを見出した。親株と比較して形状が丸くなったものや、外膜構造が変化しているものがあった。今後、様々な薬剤耐性菌株について、電子顕微鏡や電子線トモグラフィーを用いた内部構造の詳細な画像データと光学顕微鏡画像レベルでの形態データを網羅的に取得し、深層学習による判別と特徴抽出を行う。それぞれの手法で抽出された画像特徴量とトランスクリプトームデータとの相関を計算し、薬剤耐性菌の画像特徴に寄与する遺伝子を明らかにする。特に、光学顕微鏡による画像判別に成功すれば、臨床の現場で簡便かつ迅速な耐性菌の検出に役立つことが期待できる。
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