研究課題/領域番号 |
23K21735
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補助金の研究課題番号 |
21H03568 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
吉光 喜太郎 東京女子医科大学, 医学部, 特任講師 (00551326)
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研究分担者 |
齋藤 太一 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40457247)
山口 智子 神戸大学, 未来医工学研究開発センター, 特命講師 (40879970)
山田 和彦 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医長 (70401081)
石川 達也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70408467)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 医用工学 / 外科手術 / 学習支援 / パフォーマンス評価 / 手術工程解析 / 手術支援 / 業務効率化 / 同線解析 / 脳神経外科 / 血管内治療 / データ計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではカラオケ採点システムのように臨床チームのパフォーマンスを手術終了時に即時的にスコア化し、技術や業務効率向上を実現する手法を確立する。都度改善すべきポイント、伸ばすべきポイントを繰り返しフィードバックすることで、効率的に能力向上を支援する「スパイラル成長支援」を開発・実装する。 本提案では人と人とを比較して優劣をつけるのではなく、スタッフ個々、およびチーム単位のパフォーマンスを症例毎に比較し、個々の特性に見合ったラーニングカーブの最適化を実現する。一般的に手術室業務は経験と数をこなすことで熟練化すると言われるが、本研究によって無駄なく効率的に熟達するための能力向上支援の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は昨年度構築した外科手術スパイラル成長支援システムを用いて医療従事者の術中動線を計測するために学内の臨床研究倫理審査委員会で臨床研究として承認を取得し、速やかにデータ集約作業に取り掛かることができた。
スマート治療室(SCOT A室)に構築した脳神経外科血管内治療・および検査中にいつ、だれが、なにをしているかを計測するシステムを使用し、手術中の医療従事者の動線データを約50症例取得した。蓄積した動線データを解析し、本システムの有用性を検証するために、まずは取得―解析―結果提示を一周走らせシステムの基礎的評価を実施することができ、医療従事者の特定区域への滞在時間、およびタスク内容、動線データを基にした移動距離、タスクの傾向など数値データとして可視化表現することができた。システム運用開始時は手術室内の遮蔽版、点滴棒、およびその他の上背のある医療機器などが人物として誤検知されることや、ドア付近での誤検知などが認められたため、精確な人物捕捉が可能なように検知エリアの設定や、計測しない区域などの厳密に定めるなど、システム調整を繰り返しながら症例計測を実施した。
また、本年度は計測した結果をスコア化するためのアルゴリズムを検討するために、その第一段階として血管内治療症例においてスコアリングに大きく影響する可能性の高い評価パラメータの検討を実施した。その結果、目標となる手術計画との時間的差分、視線の移動量、医師がオーダーを出すタイミングと対応時間、タスク実施時間が重要パラメータと定義し、これらを用いて血管内治療症例における手術の理想形(あるべき姿)を設定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外科手術スパイラル成長支援システムの構築は、昨年度構築した人流捕捉システムにより、取得した動線データ利活用のためのユーティリティが充実していることを条件に理想的なシステムが構築できてきている。昨年度に引き続き当初予定していたスケジュール感よりも四半期程度早く終えられ、手術室でのデータ取得フェーズに移行できた。しかしながら手術室で使用する医療機器との誤検知が課題として挙げられており、解決策を都度検討、システム反映を繰り返しながらデータ計測を継続している。安定して高精度なデータ取得ができるようになるとより多くの症例データを取得できることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、構築したシステムを活用し高精度な人流データを継続的に捕捉できるシステムとして完成形を構築し、血管内治療術でのデータ蓄積を加速する。目標症例数は80症例を予定している。 また、計測した動線結果をスコア化するためのアルゴリズムを検討するために検討した、血管内治療症例におけるスコアリングに大きく影響する可能性の高い評価パラメータについて、担当医師でもあり分担研究者の石川と検討を深め、目標となる手術計画との時間的差分、移動量、医師がオーダーを出すタイミングと対応時間、タスク実施時間をスコア化するための評価関数について検討する。 本データ取得システムは手術室内における様々な事象を定量的に表現できることが医療従事者とのディスカッションで明らかになってきた。麻酔科の医療安全対策、産婦人科分娩室における感染対策、放射線科における業務効率化の指標に用いるなど、当初予期していなかった利活用法が各分野から提案されてきており、本研究の深みが感じ取れている。他分野への応用も視野に入れつつ、手術室人流解析システムで取得されたデータは、倫理委員会への申請・承認内容に基づき幅広く提供していく予定である。
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