研究課題/領域番号 |
23K21736
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補助金の研究課題番号 |
21H03569 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2022-2024) 筑波大学 (2021) |
研究代表者 |
大澤 博隆 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (10589641)
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研究分担者 |
森田 純哉 静岡大学, 情報学部, 教授 (40397443)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Hanabi / ゲーム / ACT-R / 社会的知能 / コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、人間同士のインタラクションを支える知能のうち、特に他者の意図を読む社会的知能、心の理論の研究に着目し、人間同士のインタラクションの解析とその実装を行う。他者の意図を読み取る能力は、汎用化が難しい人間の知的能力であり、いわゆる人工知能研究、たとえば汎用人工知能の研究においても、最も達成が難しい項目の一つである。本研究では、Hanabiの人間同士のプレイを分析し、それを元に、言語、非言語情報を含めたコーパスを作成する。作成したコーパスを用いた分析によって、心を読む能力に必要となる行動を発見し、それを人間に実装する。
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研究実績の概要 |
本研究では、他者との協力が相互意図推定から共有シグナルとなるまでのプロセスを解明する。ヴィゴツキアン知性仮説によれば、環境中の協力的な他者を想定できることが人間の知能の一つの特徴であったと考えられる。他者との協力は、他者の意図を双方が推定し、最終的にお互いのモデルを構築した上で、共有したシグナルを交換し合うことで達成される。こうした協力のプロセスの解明として、人工知能技術を使った手法が盛んに行われているが、こうした手法ではエージェントの内部モデルを精密に制御できないため、評価が難しい。本研究では協力行動達成までのプロセス解明の課題として、協力ゲームHanabiを使用する。Hanabiゲームを繰り返すプレイヤーは、お互いの行動をシグナルとして共有し、プレイヤー同士は相互に得点を得やすくなる。こうしたHanabiゲームの性質は、協力行動を調べる上で優れた課題とされている。協力行動の基礎的な要因の評価、対人実験による共有シグナルの発生過程分析、ACT-Rを用いた人工エージェントとの対戦比較を通じて、相互意図推定から協力シグナルに至る過程を分析する。 本年度はHanabiゲームにおけるリスク傾向や内発的動機、思考時間の影響を調べた。ゲーム中にコミュニケーションが成功した際、自他の行為を事例として蓄積し、それを利用することで他者の行為の意図を推定する認知モデルを構築した。2 体のモデルが対戦するシミュレーションの結果,試行の進行に伴う事例の蓄積・利用、およびゲーム得点の上昇が確認された。また、リスクのある行動を持つことは、Hanabiゲームにおいて特典を向上させるための学習効率を阻害することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は協力行動の基礎的な要因の検討として、Hanabiゲームにおけるリスク傾向や内発的動機、思考時間の影響を調べる研究の分析結果を引き続き行った。Hanabiゲームにおけるリスク傾向や内発的動機、思考時間の影響を調べた結果、ゲーム中にコミュニケーションが成功した際、自他の行為を事例として蓄積し、それを利用することで他者の行為の意図を推定する認知モデルを構築した。2 体のモデルが対戦するシミュレーションの結果,試行の進行に伴う事例の蓄積・利用、およびゲーム得点の上昇が確認された。また、リスクのある行動を持つことは、Hanabiゲームにおいて特典を向上させるための学習効率を阻害することが示唆された。対人実験による共有シグナル形成の検証については、Hanabiプレイヤーのオフラインの観察実験が新型コロナウイルス影響下で引き続き難しいことを考慮し、次年度以降に実施することとした。以上の成果を日本認知科学会年次大会および人工知能学会全国大会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は新型コロナウイルス禍のため、リスク傾向や内発的動機、思考時間など、協力行動をACT-Rでモデル化した対人実験を3月5日から11日に行い、3月下旬に、作成したACT-Rモデルのデータ整理と評価を行うことを計画していた。このため、参加者謝金および実験後のデータ整理雇用の計画を立てていた。しかしながら、オミクロン株等の継続要因により、予定していた実験を参加者を呼んで筑波大で期限内に安全に実施することが難しくなったことが3月4日に判明した。これに伴い、3月5日から11日への参加者謝金の支払いおよび、3月14日から18日にかけてデータ整理要員の雇用費の支払いが難しくなった。2023年度はこれらの結果を踏まえ、対人実験による共有シグナル形成の検証を行う。
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