研究課題/領域番号 |
23K21751
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補助金の研究課題番号 |
21H03598 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
菅澤 薫 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 教授 (70202124)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | ヌクレオチド除去修復 / DNA損傷認識 / 紫外線 / 色素性乾皮症 / クロマチン |
研究開始時の研究の概要 |
ヌクレオチド除去修復(NER)は多様な環境要因が引き起こすゲノム損傷ストレスに対する生体防御機構として中心的な役割を担っており、その律速段階であるDNA損傷認識の制御機構の理解は、基礎・応用を問わず幅広い研究領域に波及する重要な意義を持つ。本研究は、修復開始因子XPCと損傷部位との相互作用に先立って損傷の存在を「認識」してクロマチン構造を変換する新奇な分子機構を解明し、ヒストン修飾と損傷修復効率との時空間的相関関係を明らかにすることを目的とする。本研究の成果は、クロマチン作動原理に関する新たな概念の創出に加え、環境由来のゲノム損傷ストレスに対する防護法の開発にも裨益することが期待できる。
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研究実績の概要 |
1.損傷部位にリクルートされるヒストン修飾酵素の解析: ヒストン脱アセチル化酵素HDAC1/2のDNA損傷部位へのリクルートが、転写コリプレッサー複合体のATPaseサブユニットに依存することを前年度までに見出した。このATPaseサブユニットの様々な欠失変異体を細胞で発現させたところ、転写コリプレッサー複合体の集合に関わるC末端領域は当該サブユニットの損傷部位へのリクルートに必須ではないことがわかった。以上のことから、ATPaseサブユニット自身が損傷部位の認識において本質的な役割を担うことが強く示唆された。 2.クロマチンとの相互作用を介したXPCの局在・動態制御機構の解析: ヒストン修飾を介したXPCタンパク質のクロマチン局在制御機構を理解するため、XPC中央部の天然変性領域(XPC-M)とヒストンH3テールの相互作用を、精製した組換えタンパク質を用いて詳細に解析した。ヒストンテールのリシン残基を様々な組み合わせでアセチル化ミミックであるグルタミンに置換したところ、特定のリシン残基のアセチル化ではなく、ヒストンテールの全体的な電荷状態がXPC-Mとの相互作用に重要である可能性が示唆された。 3.XPCのゲノムワイドな局在制御と損傷修復効率の相関: 前年度に引き続き、XPC及びヒストン修飾を標的とするクロマチン免疫沈降シーケンス(ChIP-seq)解析のためのサンプル調製及びデータ取得を行った。さらに、紫外線照射した細胞からヌクレオチド除去修復によって切り出された損傷オリゴヌクレオチドを回収し、次世代シーケンス解析に供するためのシステム構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.損傷部位にリクルートされるヒストン修飾酵素の解析: 転写コリプレッサー複合体のATPaseサブユニットが、他のサブユニットとは独立して損傷部位にリクルートされうることが示された。このATPaseサブユニット自身、もしくは当該サブユニットの未知の相互作用因子が損傷部位の認識において本質的な機能を持つ可能性が示されたことは重要な知見であり、この部分の研究は順調に進展している。 2.クロマチンとの相互作用を介したXPCの局在・動態制御機構の解析: タンパク質の天然変性領域間の相互作用が電荷状態によって制御されることが一般に提唱されており、XPC-Mとヒストンテールの相互作用も同様の原理によって制御されている可能性が考えられる。アセチル化と異なり、メチル化はリシン残基の電荷を保持することから、EHMT1によるXPCの損傷部位への呼び込みは、ヒストンのメチル化そのものよりも、アセチル化がブロックされた効果を反映している可能性も考えられる。XPCの細胞内局在制御の理解を進める重要な発見であり、この部分の研究は順調に進展していると判断される。 3.XPCのゲノムワイドな局在制御と損傷修復効率の相関: 次世代シーケンス解析に供するDNAサンプルの調製において、主に特異性の問題から使用する細胞やタグの組み合わせを慎重に検討し、XPCのChIP-seq解析及びヌクレオチド除去修復のゲノムワイド解析を並行して進めている。一方、クロマチン構造を取らせた損傷DNA基質を用いた無細胞ヌクレオチド除去修復反応系がほぼ確立できており、生化学的な検証も進められる状況にある。この部分の研究の進捗は概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.損傷部位にリクルートされるヒストン修飾酵素の解析: 転写コリプレッサー複合体のATPaseサブユニットの変異体解析を進め、当該サブユニットの損傷部位へのリクルートに必要な領域を絞り込む。当該サブユニットの全長タンパク質、もしくは損傷部位へのリクルートに必要な最小領域を組換えタンパク質として発現・精製し、損傷を含む裸のDNA、もしくはクロマチンとの相互作用を生化学的に解析する。また、最小領域と相互作用する新規相互作用因子を質量分析により探索し、そのヌクレオチド除去修復への関与を検証する。 2.クロマチンとの相互作用を介したXPCの局在・動態制御機構の解析: XPC-Mとヒストンテール、それぞれの電荷状態と相互作用との関連を明らかにするため、ヒストンテールのリシン残基を他の塩基性アミノ酸や電荷を持たないアラニンに置換、あるいはXPC-Mの電荷ブロックの欠失を行ってその影響を調べる。また、XPCの損傷部位へのリクルート促進におけるヒストンの脱アセチル化とメチル化の相互関係を明らかにするため、局所紫外線刺激やLaoO-LacRテザリング系を利用して、HDACやEHMT1の阻害剤もしくはsiRNAを組み合わせた解析を行う。 3.XPCのゲノムワイドな局在制御と損傷修復効率の相関: XPCとヒストン修飾のゲノムワイドな分布、及びDNA損傷修復の時空間的相関関係を明らかにするため、引き続き次世代シーケンス解析を進める。XPCが局在しやすい領域が紫外線照射時に優先的に修復されるかどうかをイメージングにより調べるほか、無細胞系を用いた生化学的検証を並行して進める。
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