研究課題/領域番号 |
23K21762
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補助金の研究課題番号 |
21H03620 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 祥広 宮崎大学, 工学部, 教授 (90264366)
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研究分担者 |
小椋 義俊 久留米大学, 医学部, 教授 (40363585)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 病原大腸菌 / 薬剤耐性 / 拡散分布 / 全ゲノム解析 / 汚染源 / 環境基準 / 糞便性指標細菌 / 病原遺伝子 / 基準超過 / 薬剤耐性病原大腸菌 / 河川水 / 多剤耐性 / 薬剤耐性大腸菌 / 検出定量 / 発現・汚染機構 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,微生物の泡沫への濃縮作用を利用して,表流水から大腸菌を泡沫液に超高濃度に分離・回収し,その泡沫濃縮液から①薬剤耐性病原大腸菌を超高感度に検出・単離する方法を開発する。そして,上流から下流・河口に至る表流域全体の実態調査を実施し,②薬剤耐性病原大腸菌の拡散分布数と検出率を定量的に評価する。さらに,単離・回収した③薬剤耐性病原大腸菌の全ゲノムを分析し,薬剤耐性遺伝子や宿主遺伝子の情報から大腸菌の履歴を推察する。本研究の最終的なゴールは,薬剤耐性病原大腸菌の発現機構と汚染源の解明である。
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研究実績の概要 |
【目的】 2023年(令和4年)4月1日より,環境省の環境項目環境基準の糞便性指標細菌が大腸菌群から大腸菌へと変更された。この変更に伴い,より正確な糞便汚染の定量的な評価が実施されている。ところが,宮崎県を流下する大淀川上流域の国交省定点観測地点においては,大腸菌数環境基準B類型の菌数(1,000 CFU/100 mL以下)を大幅に超過するような地点が連続的に観測されている。このことから,大淀川上流域表流水中における病原性大腸菌の存在が疑われる。病原性大腸菌は,病原特性から6種類に分類されるが,重篤な症状を引き起こすことから最も問題視されている病原性大腸菌として,志賀毒素産生大腸菌(STEC)が挙げられる。そこで本研究では,大淀川上流域の糞便汚染によるSTECの実態把握を目的として調査を実施した。 【得られた成果】 (1) 大淀川上流域の大腸菌数を計数した結果、B類型(1,000 CFU/100 mL以下)を超過する大腸菌数が検出された。(2) STEC陽性大腸菌株から、STECが保有する遺伝子であるstx1とstx2が検出された。これらの株は、stx2のみを保有する株がほとんどであった。(3) 大腸菌数に対するSTECの検出率は,0.1-1.8%(1-4 CFU/100 mL)であった。調査において継続的にSTECが検出されたことから,菌数は低いもののSTECが常在していると推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した通年の流域モニタリング調査を計画通りに実施し,大腸菌数の流域での分布や基準値超過の重要情報を獲得した。また,単離した大腸菌から病原大腸菌STECの菌数も定量化し,STECの標的遺伝子も検出することができた。河川の大腸菌数に対するSTEC数の割合を示した成果は,国内外において初めての情報であると評価できる。したがって。計画通りに研究が遂行したと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,本研究課題の最終年度となる。これまでに得られた通年モニタリング調査の結果の解析とわかりやすいデータ整理が重要である。また,単離して得られたSTEC株について,薬剤耐性の獲得の有無の判定ため,薬剤耐性試験を実施する。さらに,STEC株のゲノム解析を行い,河川に流入するまでの履歴にについて考察する。 追加テーマとして,大腸菌数の基準値を超過した地点を基点とし,大腸菌数の汚染源の追跡も計画している。
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