研究課題/領域番号 |
23K21768
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補助金の研究課題番号 |
21H03639 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
山田 美和 岩手大学, 農学部, 教授 (90586398)
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研究分担者 |
杉森 大助 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (40272695)
芝崎 祐二 岩手大学, 理工学部, 准教授 (90323790)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | エチレングリコール / グリコール酸 / ポリヒドロキシアルカン酸 / バイオプラスチック |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、多様な物性の発現や生分解性の制御を可能とする非天然のグリコール酸(GA)モノマーを高分率で取り込んだGAポリマーの微生物生合成を目指す。本研究ではGA分率を高める戦略として、細胞内部でGAを高濃度に生産し、ポリマー鎖内へのGA取込み効率を上げるための新規代謝経路を構築する。原料はエチレングリコール (産業廃棄物の主成分)とし、細胞内に流入すると同時にGAに変換され、GA高分率の共重合コポリマーが合成されるデザインである。本系を用いて合成される多様なGA高分率ポリマーの物性解析を行い、最終的に一貫した集約型バイオプロセスを確立する。
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研究実績の概要 |
[1] グリコール酸(GA)合成酵素(FucO, AldA)高活性変異体の作成:昨年度得られた組換え大腸菌に置いてGA合成量が向上する大腸菌由来ラクトアルデヒドレダクターゼ (FucO)変異体の変異点の解析を行った結果、fucO遺伝子への一部のサイレント変異が、同オペロンの下流で発現させているラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ (aldA)遺伝子発現量を向上させ、最終的に組換え大腸菌におけるGA合成量が、従来の1.3倍向上することを見出した。本成果は、目的のGA高分率ポリマーの微生物合成のみでなく、現在国際的に実用化が始まりつつあるエチレングリコールを原料としたバイオ法によるGA合成にも役立つ成果となる可能性がある。 [2] 組換え大腸菌細胞内におけるGAの分析・検出系の構築:昨年度までに組換え大腸菌におけるGAポリマー合成経路を構築したが、培養条件をいくつか検討したものの、GAポリマー中のGA分率が非常に低く、向上しなかった。そこで、本年度は本成果を受け、細胞内におけるGAの含有量の分析系構築を検討し、構築した。分析の結果、細胞内で合成されたGAはポリマーに取り込まれる前に速やかに菌体外へ排出されていることが示唆されたため、現在同時並行している大腸菌におけるGA輸送に関わる遺伝子の特定が重要であることが明らかとなった。 [3] 複数の大腸菌のミニスケールにおける同時形質転換法の構築:本研究では、大腸菌のKeioコレクションを用いて、GA輸送に関わる遺伝子の特定を行うことを計画しているがそのためには、複数の大腸菌株にfucOとaldA遺伝子を導入し、を同時に形質転換する必要がある。昨年度構築した96ウェルプレートを用いた同時形質転換法を改良し、形質転換効率が高く再現性の高い方法を確立した。本方法を用いて、GA高分率ポリマー合成に適した大腸菌宿主の探索に着手し始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GAポリマー中のGA分率を向上させる多様な戦略に向けて、一部は当初の想定とは異なる結果や原因が見出されたものの、学術的に重要な発見に加え、今後のアプローチに向けて重要な分析系や基盤技術を確立・構築することに成功したため、概ね当初の計画通りと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
GA合成酵素高活性変異体の作成については、これまでFucO反応が大腸菌におけるGA合成のボトルネックであると考えていたものの、本年度の成果より、実はAldA反応が一側である可能性が示唆された。よって、来年度からは、AldAに着目し、GA合成量の向上に貢献するAldA変異体酵素の作成を試みる。さらに、本年度から着手し始めたGA高分率ポリマー合成に適した大腸菌宿主の探索についても本格的に探索を進める。また、本年度、組換え大腸菌細胞内におけるGAの検出系を立ち上げることができたため、本分析を駆使することで、GAモノマー供給に直接的に影響すると考えられる細胞内GAをモニタリングしつつGA高分率ポリマー合成へ向けた新たなアプローチについて検討する。
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