研究課題/領域番号 |
23K21775
|
補助金の研究課題番号 |
21H03653 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中島 啓裕 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80722420)
|
研究分担者 |
飯島 勇人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30526702)
上野 将敬 近畿大学, 総合社会学部, 講師 (30737432)
相澤 宏旭 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (30910301)
東出 大志 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (60634871)
安藤 正規 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (80526880)
寺田 和憲 岐阜大学, 工学部, 教授 (30345798)
加藤 邦人 岐阜大学, 工学部, 教授 (70283281)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
|
キーワード | 密度・個体数推定 / 個体識別 / 野生動物 / 自動撮影カメラ / 個体判別 / 空間明示型捕獲再捕獲法 / 密度推定 / 野生動物管理 / 個体数推定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的を達成するために,サル,カモシカ,ツキノワグマ,シカに関して,①十分な質・量の学習データの取得と個体識別モデルの開発,②自動 識別に適した画像を取得するためのフィールド技法の確立,③種の特性に応じた統計モデルの構築を行う.深層学習による個体識別は,ディープ・メトリックラーニングを応用する.動物園で飼育されている個体の撮影と,野外での自動撮影カメラによる既知の個体の撮影を行い,学習データを取得する.また,この過程で個体識別に適した撮影手法を確立する.さらに,個体識別の不確実性を組み込んだ空間明示型捕獲再捕獲法を構築する.
|
研究実績の概要 |
今年度も、前年度に引き続き学習用の動物画像を追加取得するとともに、個体の自動判別を行うための機械学習モデルの構築を行った。ツキノワグマに関しては、熊本のくまもとドリームパークにおいて飼育されている20個体の撮影を行った。これまでに集めたデータと合わせて計113個体分のデータが集まった。これらを用いてメトリック学習を行ったところ、85.1%のテストデータで正しく個体判別ができた。目視による個体の判別には膨大な時間を要することから、本モデルの適用により大幅な省力化ができると考えられる。ニホンザルに関しては、すでに個体判別のモデルが構築されているので、サルとヒトの顔の多様性に関わる発展的な研究に着手した。ニホンジカとカモシカに関しては、学習データが膨大な分、その整理とアノテーション作業に時間を要している。しかし、シカに関してはほぼ作業を完了しており、速やかな判別モデルの作成ができる見通しである。カモシカについても引き続き作業を進める予定である。これらと並行して、空間明示標識再捕獲法に基づく密度推定手法の改良に取り組んだ。具体的には、個体識別に不確実性が伴う場合、従来のモデルがどのような推定結果をもたらすのかをシミュレーションベースで検討した。その結果、予想された通り、従来のモデルでは大きな偏りが生じることが確かめられた。このシミュレーション結果を受けて、不確実性を考慮したモデリングに取り組んだ。現時点では、パラメータ推定の収束が悪く、さらなる検討を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では、対象種によって、予想以上に進展している種と若干の遅れが生じている種が存在する。ツキノワグマに関しては、飼育されている個体の数も少なく、撮影許可が得られるかも不透明であったため、申請段階の目標は、可能な限り多くの個体から学習データを集めることが目標であった。しかし、国内で飼育されている個体のかなりの割合を撮影できたことで、深層学習モデルの構築に速やかに進むことができた。現時点でも高い精度での判別が可能になっており、野外データへの適用の道も開かれつつある。ニホンザルに関しても、本プロジェクト開始前から研究を開始していたこともあり、さらに発展的な研究へと前進できている。一方、ニホンジカとカモシカに関しては、データの処理やアノテーション作業に思いのほか時間を要している。一方で、学習データの多さは、より高精度な深層学習モデルの構築につながるため、今後のプロセスは順調に進むことが期待できる。当初の予定通り、すでに判別の不確実性を組み込んだ空間明示型捕獲再捕獲モデルの構築に取り組めており、この点でも予定通りの進捗状況といえる。これらのことから、全体としてはおおむね順調に進展していると考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度を迎えるにあたり,若干の遅れが認められるニホンジカとカモシカのアノテーション作業を速やかに終了させ,深層学習モデルの構築を行う。また,予想以上の進捗状況にあるツキノワグマに関しても,秋田県北秋田市で飼育されている個体の撮影をさらに行う。これらの個体を無事に撮影できれば,現在国内で飼育されている個体の大半を撮影できたことになり,極めて貴重な資料となる。また,全種に関して,実際の自動撮影カメラ映像に構築したモデルを適用する。野外データに関しては,これまでの調査によって十分なデータが集められている。深層学習モデルによる自動判別結果が,目視による判別結果と一致するかを確かめる。一致しない場合は,どのような状況で不一致が生じるのかを詳細に確認し,追加の学習を行う.さらに,個体判別の不確実性を組み込んだ空間明示型標識再捕獲法による密度推定モデルを確立する。これらの作業と並行して,これまでに得られている成果を速やかに論文としてまとめる。一部の結果に関しては,すでに執筆を開始しているが,これらに関しては,可能な限り早い段階で受理されるよう努める。
|