研究課題/領域番号 |
23K21776
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補助金の研究課題番号 |
21H03654 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
内井 喜美子 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (90469619)
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研究分担者 |
見坂 武彦 摂南大学, 理工学部, 教授 (80397661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 長鎖配列解析 / 環境DNA / 核DNAマーカー / 種内変異 / 長鎖塩基配列解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、個体群遺伝構造・遺伝的多様性を評価する手法としての環境DNA分析の機能拡張を目的とし、核rRNAをマーカーとする個体群遺伝構造・遺伝的多様性解析法の確立を行う。同時に、ナノポアシーケンサーを用いた長鎖塩基配列解析法を環境DNA分析に適用し、従来の環境DNA分析では困難であった遺伝的多様性が低い集団の個体群遺伝構造・遺伝的多様性解析を実現することを目指す。
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研究実績の概要 |
前年度までに、琵琶湖に生息するコイ科魚類を中心として、核DNA上に存在するリボソームRNA (rRNA) 遺伝子の18S rRNAから28S rRNAにまたがる領域のリファレンス配列を取得し、これらの配列データを元に、コイ(Cyprinus carpio)の日本在来遺伝子型と、国外より持ち込まれた外来遺伝子型を区別する核DNAマーカーを開発した。本DNAマーカーを対象とし、次世代シーケンサーを用いた環境DNAメタバーコーディング法の開発を行い、さらに本手法の琵琶湖における野外実践を行った。その結果、琵琶湖の地域個体群間で遺伝構造に差異があることを明らかとした。また本結果が、ミトコンドリアDNAマーカーの在来遺伝子型と外来遺伝子型の出現頻度とよく一致することを確認した。 長鎖塩基配列解析については、塩基読み取り精度の低さの改善が必要であったナノポアシーケンサーを用いた配列解析において、新規試薬を使用したシーケンシングと高精度ベースコーリング法の採用により、約5,000塩基の配列をエラーなく読み取ることに成功した。さらに、本長鎖配列解析法の環境DNA分析への適用性を検討するため、約5,000塩基の中に数個のみの塩基置換または欠失のあるDNA数種を人工的に混合した擬似環境DNA試料を作製した。これを長鎖配列解析に供したところ、各DNA配列(遺伝子型)の頻度は再現できなかったものの、在・不在を高い確率で判定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
核DNAのリボソームRNA遺伝子マーカーの開発とそれを用いた環境DNAメタバーコーディングにより、コイ交雑個体群の遺伝構造を評価する手法を開発し、野外適用を進めた。その結果、従来のミトコンドリアDNAマーカーに比べ、核DNAマーカーは同一環境DNA試料を用いた場合の検出効率が高く、雌雄ともの情報を反映する点からも環境DNA分析で用いる種内多型マーカーとして非常に有用であることを見出した。一方、ナノポアシーケンサーを用いた長鎖配列解析法の環境DNA分析への適用においては、技術的制約であった塩基読み取り精度の低さを新規試薬と高精度ベースコーリング法の適用により克服した。擬似環境DNA試料を用いた検証からは、頻度の再現は実現できなかったものの、各遺伝子型の在・不在の再現に成功しており、野外実践への見込みが広がった。
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今後の研究の推進方策 |
核DNAマーカーによる環境DNAメタバーコーディング解析による交雑個体群の遺伝構造解析は、手法開発と野外実践を既に実施し、学会での発表も完了したため、今後は論文執筆を進める。長鎖配列解析においては、2023年度までの実験条件および解析法の検討により、ナノポアシーケンサーの読み取り精度の低さを解決した。さらに擬似環境DNA試料を用いた検証により、数塩基程度の変異しかない遺伝子型の在・不在を再現することに成功したた。したがって今後は野外環境DNA試料を用いた検証を進める。
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