研究課題/領域番号 |
23K21786
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補助金の研究課題番号 |
21H03676 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鷲津 明由 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60222874)
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研究分担者 |
板 明果 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (70544831)
中野 諭 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (80458950)
吉田 彬 早稲田大学, スマート社会技術融合研究機構, 次席研究員(研究院講師) (90707887)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | スマート社会 / 食料・農業システム / 地域循環共生圏 / 再生可能エネルギー / カーボンクレジット / 産業連関分析 / サスティナビリティ・トランジション / カーボンフットプリント / スマート社会技術 / 環境家計簿 / カーボンニュートラル / トランジション・マネジメント / 産業連関表 / エネルギーマネジメント / スマートフード / 家計 / コンビニエンスフード / 食のスマート化 / ライフスタイル |
研究開始時の研究の概要 |
人々の生活のQOLを損ねることなく,家計消費が社会全体に引き起こすCO2排出を抑制するには,進化したエネルギーマネジメント技術を用いて,再生可能エネルギーの最大利用を可能にしたスマート社会の構築が不可欠である。その分析手法として2020年エネルギー社会技術分析用産業連関表(ESTR-IO)を作成する。また,エネルギー自立の可能性が都市地域よりも高い,農村でのスマート化とカーボンニュートラル化を促進するための方法論を,生活者の視点に立ち,トランジション・マネジメントの考え方に基づいて提案する。
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研究実績の概要 |
環境家計簿研究を,以下の3つの論文に取りまとめ,投稿または投稿準備を行った:(1)日本の家庭におけるカーボンフットプリントの長期(1990年から2020年)の変化を,産業連関分析の手法を用いて試算した。その結果,ライフスタイルの変化が,家庭における排出量削減をもたらしたが,食料支出によるカーボンフットプリントは減少傾向を示していないことが分かった。(2)スマート食生活への移行と豊かな食生活の追求が,食生活が引き起こす環境負荷にもたらす効果をアンケート調査に基づいて検証した。その結果,現状では,社会環境のスマート性は,食に伴う環境負荷の指標を引き上げてしまうが,社会環境のスマート性に,意識のスマート性が伴うと,食品廃棄物が削減できることが分かった。(3)社会背景のスマート性,または,意識および行為のスマート性が,convenience foodの利用を通じて調理担当者のcooking effortsの指標に与える影響を,家庭内生産関数を応用した理論モデルに従って実証分析した。その結果,もし調理担当者が,より良いconvenience food存在を知らずに,環境負荷を下げようとするとeffortsが大きくなること,食生活のスマート化は調理担当者のwell-beingの向上と矛盾しないことが確認された。 食料の環境負荷を下げるための方策として,スマート農業が重要と考え,スマート農業への都道府県の移行状況について調査して,論文にまとめた:スマート農業への取組をニッチ・イノベーションと位置づけ,各都道府県における取組の進捗状況をサスティナビリティ・トランジションの理論に基づいて定性的に評価した結果,スマート農業への取組が進んでいる県では,同理論の手順に合致した推進施策が採られていた。推進計画を作成していなくても長期的見通しを持って,先進的で視野の広い見通しがたてられている県があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題におけるこれまでの研究成果を4本の論文としてとりまとめ,投稿に至った(うち1本は採択が決定)ことは大きな成果であった。引き続きすべての論文の採択,出版を目指す。これに加えて次の新しい研究への仕掛けもすることができた。すなわち,スマート農業がさらに地域のエネルギー自立の取り組みにつながることについての研究,2020年版の再生可能エネルギー部門を取り入れたオリジナルの産業連関表の作成についての研究である。
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今後の研究の推進方策 |
カーボンニュートラル社会の実現には,各地域がそれぞれのエネルギー特性に応じて低炭素社会へ移行していくことが望ましい。その際,環境問題やエネルギー問題への取り組みは,地域の経済および社会的課題を同時に解決するような社会的文脈に位置付けられる必要がある。地域の脱炭素化プロジェクトは,まず,推進主体が中心となり,目標に向けたニッチ・イノベーションとして推進される。そして事業の継続的な拡大・継続のためには、事業の成果について適切な中間評価を行い,事業の推進主体に対して適切な助言を行うことが効果的と考えられる。しかし現行の農村地域における再生可能エネルギー推進政策においては,プロジェクトの進捗状況を適切に評価し、適切なアドバイスをフィードバックする仕組みが不足していることが分かったので,残りの研究期間では,このような仕組みの在り方を,成功事例の研究に基づいて考察し,新たな「低炭素社会移行論」を確立する。同時にそのような社会を分析するためのツールとして,2020年版エネルギー社会技術分析用産業連関表(Energy-Socio-Tech-Rich Input-Output table; ESTR-IO)の開発と作成を目指す。2020年版ESTR-IOは,2020年について総務省が公表する産業連関表に,再生可能エネルギー部門を付け加えた表である。これは,これまでの次世代エネルギーシステム分析用産業連関表(IONGES)の後継データベースであるが,再エネを取り巻く環境の変化に合わせて,表章形式や部門分類をアップデートする。2020年ESTR-IOでは,送配電部門(=エネルギーマネジメント部門)のエネルギーマネジメント機能の生産を内生部門で評価し,その経済効果の分析を明確化する。また。競争電源と地域活用電源の特徴のちがいをよく反映できるように,再エネ部門分類を決定する。
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