研究課題/領域番号 |
23K21787
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補助金の研究課題番号 |
21H03677 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
平塚 基志 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00649585)
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研究分担者 |
寺内 大左 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10728140)
木村 健一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (20597900)
森 朋也 山口大学, 教育学部, 准教授 (30757638)
山ノ下 麻木乃 公益財団法人地球環境戦略研究機関, その他部局等, ジョイント・プログラムディレクター (50623576)
天野 正博 公益財団法人地球環境戦略研究機関, その他部局等, シニアフェロー (60353562)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | REDD+ / 社会関係資本 / ガバナンス / レジリエンス |
研究開始時の研究の概要 |
パリ協定の下での取組や持続可能な開発目標(SDGs)の下での取組が国レベルで進む中、『中央政府が主導する森林保全』への回帰が進み、『村落レベルでの参加型の森林保全』とコンフリクトが生じつつある。他方、途上国の森林保全には民間企業や非政府組織等の多様な参加・関与が拡大している。そうした中、今後において「住民参加による自律型の森林管理」と森林保全への「多様な主体の参加・関与」を両立させることを目的に、生態系サービスの維持と地域社会の頑強性(レジリエンス)の双方を確保可能な、『地域住民と外部アクターによる協働型』の森林管理ガバナンスの成立条件を解明する。
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研究実績の概要 |
パリ協定の下での取組や持続可能な開発目標(SDGs)の下での取組が国レベルで進む中、『中央政府が主導する森林保全』への回帰が進み、『村落レベルでの参加型の森林保全』との間でコンフリクトが生じつつある。他方、途上国の森林保全には民間企業や非政府組織等の多様な参加・関与が拡大している。そうした中、今後において「住民参加による自律型の森林管理」と森林保全への「多様な主体の参加・関与」を両立させることを目的に、生態系サービスの維持と地域社会の頑強性(レジリエンス)の双方を確保可能な、『地域住民と外部アクターによる協働型』の森林管理ガバナンスの成立条件の解明を進めた。 対象としては、日本とラオスによる二国間合意に基づく枠組(二国間クレジット制度)の下で進められているREDD+プロジェクトの対象地があるラオス北部のルアンプラバン県の村落、日本等からの需要が大きい白炭の持続的生産システム等の課題があるラオス中部のサバナケット県の村落、インドネシアのパプア州、そしてベトナムのダクラク省とした。ラオス北部では2024年1~3月現地調査を行い、土地被覆の変化、生計活動の変化、そしてREDD+プロジェクトによる負の側面の評価(セーフガードの評価)を進めた。ラオス中部では、広くステークホルダーにアンケート調査を行った。インドネシアのパプア州では、先住民と民間企業によるフェアトレードについて調査を進めた。さらに、ベトナムのダクラク省では持続的な農法に係る基礎情報の収集・分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『地域住民と外部アクターによる協働型』の森林管理ガバナンスの成立条件の解明を進めた。対象としては、ラオス北部、ラオス中部、インドネシアのパプア州、そしてベトナムのダクラク省の4つとした。 ラオス北部では、森林保全への取組が持続的に進められていることを、森林被覆の変化、生計活動の改善、及びセーフガードの面から評価した。なお、森林保全への取組を評価するにあたり、村落内での社会関係資本(Bonding)及び村落と中央・県・郡政府間での社会関係資本(Bridging)の面から分析を加えた。 ラオス中部では、白炭会社と取引のある地域住民にアンケート調査を実施した。その結果、地域住民と白炭会社の間には、苗木の提供、取引の契約等はなく、農閑期に原料を伐採して企業に持ち込むだけであり、持続的な森林管理の手法など新しい知識等の提供は地域住民に行われていないことが分かった。白炭会社と地域住民の関係は希薄であるため(社会関係資本が弱い)、地域住民は社会環境の変化に合わせて白炭の原料木からキャッサバ等より換金性の高い作物に土地利用を変化させていることが明らかになった。 インドネシアのパプア州では、先住民の暮らしと熱帯林を守るための民間企業のフェアトレード事業の調査を行った。その民間企業は日本の生活協同組合の一部及びフェアトレードショップに先住民が収穫したカカオ製品を輸出していた。先住民社会、民間企業、生活協同組合の組合員の間には高い社会関係資本(Bridging)が存在することが明らかになった。 ベトナムのダクラク省では、コーヒーの持続的な生産方法の普及に取り組むにあたり、イノベーションシステムの機能に着目した調査を実施した。実施されている農村開発的な農家の技術支援に加え、イノベーションをけん引する可能性のある先進的な農家に対する支援の実施が持続的な農法の普及に貢献する可能性があることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は引き続きラオス北部、ラオス中部、インドネシアのパプア州、そしてベトナムのダクラク省で集約的な現地調査で進める予定とする。ラオス北部の研究対象地は邦人企業が参画するREDD+事業として炭素クレジット(二国間クレジットメカニズムを活用)を発行するための方法論が日本とラオスによって合意され、クレジット発行への手続きが進んでいる。新たなスキームによる森林保全の具体例として、社会関係資本(Linking)を分析する貴重な機会となることから、関係組織と連携して進めることとする。ラオス中部で進めている白炭の持続的な生産システムについては、継続して諸外国からの白炭への需要増加に伴う土地利用の変化とそれに関係する社会関係資本の分析をとりまとめることとした。インドネシアでのパプア州でh、先住民と民間企業の社会関係資本(Bridging)を定量的に評価することとした。そして、ベトナムのダクラク省では、2023年からの研究を継続することとした。なお、ラオス中部では、ラオス国立大学林学部と連携し、ラオス中部で収集したインタビュー調査のデータをもとに、次年度の調査デザインを進めたことから、それを活用しつつ研究を掘り下げることとした。
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