研究課題/領域番号 |
23K21803
|
補助金の研究課題番号 |
21H03699 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 雪野 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40226014)
|
研究分担者 |
石川 真作 東北学院大学, 地域総合学部, 教授 (20298748)
寺本 成彦 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (30252555)
大河原 知樹 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60374980)
藤田 恭子 東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (80241561)
辻 英史 法政大学, 人間環境学部, 教授 (80422369)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 難民 / 移民 / 社会統合 / EU / 多文化共生 / 統合 / ムスリム / ネットワーク / NPO / 旧東独 / 旧社会主義国 / 外国人労働者 |
研究開始時の研究の概要 |
旧東独地域の移民・難民の社会統合を目指す諸施策の現状と課題、課題克服の模索を冷戦終結後の同地域の社会背景を踏まえ、特にザクセン=アンハルト州ハレに注目して検証する。 旧東独地域は、旧西独地域と難民・移民との関わり方に違いがあり、反移民・難民政党や極右運動への支持も高いが、旧東独の自治体では、統一後の人口減も踏まえ、移民・難民の社会統合を独自に模索している。日本同様に少子高齢化社会のドイツが、2012年に人口増に転じた要因の一つが移民・難民の存在で、彼らに対する政策が、自治体の人口動態にも影響している。コロナ禍やウクライナ戦争を経験したドイツの難民・移民政策の解明は日本への大きな示唆となろう。
|
研究実績の概要 |
2022年11月に研究代表者佐藤雪野が、欧州学フォーラムにて、「ウクライナ移民・難民とチェコ」と題して、プロジェクトの比較対象国であるチェコの移民・難民政策についてウクライナ戦争を踏まえた報告を行い、翌年にはスロヴァキアの状況も報告した。 2022年12月に、本科研プロジェクトとしては初めて、前科研プロジェクトから数えると3年ぶりにハレ市を中心とした現地調査を行い、定点観測及びコロナ禍やウクライナ戦争の難民・移民政策への影響を確認した。翌年も研究打ち合わせを含む現地調査を行った。 2023年2月に、ハレ市移民統合専門官R.シェーンロック氏による「地方自治体の移民統合ネットワーク活動― その回復力(レジリエンス) 」 と題するオンライン講演会を実施した。2023年10月に国際シンポジウム「多文化社会ドイツにおける移民難民統合の課題と展望―教育の視点から」を対面形式で開催し、ハレ市議会議員でカスタニエン大通り共同体学校教諭のM.ランフト氏に「難民児童生徒の教育―教員とハレ市議会議員を兼務する中で積み重ねた経験」、バンベルク大学(元ハレ大学)のS.クノスト氏に「移民・学校・学問―難民のドイツ教育システム統合におけるハレ大学の役割、直近10年間について」という題目で講演いただき、研究分担者の辻英史がコメンテーターとなり、参加者からの質疑応答も活発で、ハレにおける難民・移民政策の現状を分かりやすく、学界や一般に伝えることができた。オンライン講演会と国際シンポジウムは、元は2023年2月に同時に実施する予定だったが、講演者の都合により、対面の国際シンポジウムが次年度開催となったものである。また、来日の際、ランフト氏には、日本の子供たちの放課後の居場所づくりの現場なども視察していただき、ドイツに日本の情報も還元する機会ともなった。 期間を通じて、各自の文献等調査を続行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍後初の現地調査を実施することができたが、加えてウクライナ戦争という予想外の難民・移民政策に大きく影響を及ぼす要因が生じたため、研究内容に新たな視点を加える必要性と、ウクライナ避難民という新たな研究対象が生じた。 研究代表者・研究分担者がそれぞれ自分に割り当てられた調査領域での、インターネットや文献調査は順調で、相互の情報交換も行えた。 公開講演会や国際シンポジウムも開催できたが、報告者の都合で、国際シンポジウムは翌年度開催にずれることとなった。シンポジウム自体は好評で、対面で直接情報を伝え、意見交換する意義を十分感じさせるものであった。 成果公表に関しては、日本語のみならず、英語による成果出版の準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで同様の調査項目についてインターネット及び文献調査を継続すると同時に、コロナ禍やウクライナ情勢を注視しつつ、ハレ大学との協力関係を更に深め、同項目に関するハレでの現地調査を実施する。その際、アラビア語を用いた調査も行う。 現地調査においては、行政機関、公教育・生涯教育などの教育機関、宗教団体、政治団体、統合支援NGO、それらを繋ぐ社会統合ネットワークに注目し、統合の担い手と統合される側(将来的には担い手側にもなる)双方に目を向ける。 比較対象として、旧東独地域で右派政党「ドイツのための選択肢」支持率の高いザクセン州各自治体や旧西独地域で同党支持率の高いデュースブルク、低いハンブルク、ドイツと異なる政策を打ち出している周辺諸国(チェコ、フランスなど)の現地調査や文献調査を行う。 以上のインターネット・文献調査及び現地調査においては、コロナ禍による難民・移民政策への影響、難民・移民の生活への影響、及びロシアのウクライナ侵攻による難民・移民政策への影響、難民・移民の生活への影響にも配慮する。本研究プロジェクトでは、これまで中東からの難民・移民に注目することが多かったが、必要に応じて、ウクライナからの避難者にも目を向ける。 ウクライナ情勢を受け、日本の「難民」受け入れ政策も変化してきているようだが、上記調査を、日本の今後の難民・移民政策への提言の足掛かりとしたい。そのためのシンポジウム、公開研究会、公開講演会(以上はオンライン開催も含む)、報告集の刊行(オンライン出版も含む)、論文執筆や学会発表も継続する。
|