研究課題/領域番号 |
23K21846
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補助金の研究課題番号 |
21H03776 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
川口 洋 帝塚山大学, 文学部, 教授 (80224749)
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研究分担者 |
黒須 里美 麗澤大学, 国際学部, 教授 (20225296)
市野 美夏 統計数理研究所, 学際統計数理研究系, 特任助教 (40376968)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 古文書画像データベース / 多変量解析 / 歴史GIS / 死亡危機 / 凶作 / 冷害 / 穀物価格 / 古天気 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、多産多死社会から少産少死社会への移行過程を説明する人口転換論を再構築するために、古文書史料を蓄積して時空間分析する「江戸時代における人口分析システム(DANJURO)」の開発を進めている。本研究では、研究代表者が発見した天気、作況、穀物価格、死亡を記録した史料にもとづき、「江戸時代の東北地方における死亡危機の要因分析システム」を構築して、DANJUROに統合する。本システムを用いて全天日射量などの気候要素を復原して、気候、作況、穀物価格が死亡指標に与えた影響を多変量解析によって評価する。本研究により、江戸時代後期の東北地方における人口減少要因を冷害・凶作に求める通説を再検討する。
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研究実績の概要 |
18・19世紀の東北地方では、宝暦・天明・天保期の冷害に伴う凶作以外にも、多数の死者が犠牲となる死亡危機が頻発したことが報告されている。しかし、死亡危機の要因は、十分解明されていない。本研究では、陸奥国会津郡金井沢村における毎日の天気と農作業を記録した「農業日記」、1坪の水田から収穫した籾収量を記録した「作毛位付帳」、若松における穀物価格を記録した「相場書帳」、および金井沢村周辺の死亡者を供養した寺院「過去帳」にもとづいて、古天気分析システム、「稲の作況史料」分析システム、穀物価格分析システム、および寺院「過去帳」分析システムから構成される「江戸時代の東北地方における死亡危機の要因分析システム」を構築して、気候、稲の作況、穀物価格が死亡指標に与えた影響を多変量解析によって評価する。 令和5年度には、「稲の作況史料」古文書画像データベースから、明治8(1875)年の地租改正時に1坪が6尺3寸四方から6尺1分四方に統一された面積を補正した1坪から収穫された籾容積と米の反当収量の時系列変化を分析するプログラムを開発した。 つぎに、会津郡塩ノ岐村CC寺の「過去帳」を寺院「過去帳」古文書画像データベースに追加登録した。 さらに、会津若松における穀物・銭価格を10日ごとに町奉行に報告した「相場書帳」(貞享5(1688)年から文政8(1825)年)をデータ入力した。また、守山藩郡奉行所御用留に記録されている安永4(1775)年から慶応3(1867)年に至る期間の陸奥国田村郡守山における毎日の天気を史料入力した。両史料を用いて、次年度に「穀物・銭相場史料」古文書画像データベースと古天気データベースを構築する計画である。 研究成果は、人文地理学会大会で報告するとともに、日本文化史研究、第55号に「相場書帳」の享保7(1722)年から宝暦2(1753)年までを史料紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度に計画していた「稲の作況史料」分析プログラムの開発、会津郡塩ノ岐村CC寺「過去帳」の寺院「過去帳」古文書画像データベースへの追加登録、「相場書帳」の史料入力、陸奥国田村郡守山における古天気情報の史料入力、および研究成果の中間報告は、予定通り進展した。 一方、陸奥国会津郡若松における穀物・銭相場を10日ごとに町奉行に報告した「相場書帳(貞享5(1686)年)から文政8(1825)年」を史料入力したところ、数度にわたる貨幣改鋳に加えて、寛政期(1790年代)から価格が記録されている項目が急増することが、新たに確認された。そのため、140年間にわたる穀物・銭相場の記録をどのようにDB設計するか、模索中である。令和5年度に計画していた「相場書帳」を入力史料とする「穀物・銭相場史料」古文書画像データベースの試作は、令和6年度に延期した。 写真撮影を予定していた陸奥国会津郡金井沢村における天気や農作業を記録した90冊を超える「農業日記」は、コロナ禍のため、南会津町立奥会津博物館に出張できず、撮影が遅れている。史料の写真撮影は、令和6年度に実施する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、以下の4点について研究開発を行う。 1.昨年度入力した守山藩郡奉行所御用留に記録されている安永4(1775)年から慶応3(1867)年に至る期間の陸奥国田村郡守山における毎日の天気をもとに、古天気データベースを試作する。本データベースにもとづいて、18・19世紀の全天日射量を含む気候要素を復原する。さらに、全天日射量が稲の作況に与えた影響を評価する多変量モデルを構築する。 2.享保7(1722)年から文政8(1825)年の陸奥国会津郡若松における米、大麦、小麦、大豆、小豆、銭相場を10日ごとに記録した「相場書帳」(福島県立博物館架蔵)をもとに、「穀物・銭相場史料」古文書画像データベースと穀物・銭価格の時系列変化や季節変化などを分析する「穀物・銭相場史料」分析プログラムを試作する。両者を統合して穀物価格分析システムとする。昨年度に続き、「相場書帳(宝暦3(1753)年から寛政元(1790)年)」の史料紹介を日本文化史研究、第56号に投稿する。 3. 既開発の寺院「過去帳」分析システムと「稲の作況史料」分析システム、および開発中の古天気データベースと穀物価格分析システムを統合して、「江戸時代における人口分析システム(DANJURO、http://www.danjuro.jp)」上に「江戸時代の東北地方における死亡危機の要因分析システム」を構築・試験公開する。全天日射量、稲の作況、穀物価格が死亡指標に与えた影響を多変量解析によって評価する。 4.陸奥国会津郡古町村DD寺の寺院「過去帳」を写真撮影・史料入力する。さらに、明和9(1772)年から大正9(1920)年の陸奥国会津郡金井沢村における天気や農作業を記録した「農業日記」(奥会津博物館所蔵)を写真撮影する。本史料は、次年度以降に、古天気データベースに追加登録して、天気の分布を地図表示する歴史GISに発展させる。
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