研究課題/領域番号 |
23K21853
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補助金の研究課題番号 |
21H03809 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
笹川 清隆 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (50392725)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | イメージセンサ / 蛍光観察 / 生体埋植デバイス / フロントライト / 脳機能計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生体深部において単体の細胞体からの蛍光を観察できる刺入型生体埋植イメージングデバイスの実現を目的とする。 刺入型イメージセンサは、レンズレス構成による小型、軽量かつ低い侵襲性で、刺入断面の明視野あるいは蛍光像を得ることができる。特に他の手法では観察が難しい脳深部における脳機能観察への応用が期待される。 本研究では、導光板によるフロントライト構造と角度選択画素を搭載した特殊イメージセンサの設計と試作を行う。観察対象領域への効率的な励起光照射と、画像処理による仮想的な結像技術により、薄型で低侵襲という特徴を損なうこと無く空間分解能の改善を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、イメージセンサの画素上に励起光照射を行う構造を配置し、非常に薄型の蛍光観察デバイスを実現することにある。 永久レジストであるSU-8を用いてフォトリソグラフィ法によって作製した構造を鋳型として、より自家蛍光の低いNOA63を母材として用いたフロントライト構造を作製した。放射される青色励起光の光路を確認するために、フロントライト構造の上に液体を保持すことができる構成として、緑色蛍光色素溶液を満たすことで光路を蛍光観察した。その結果から、従来とほぼ同様に観察対象への光の照射ができることを確認した。また、自家蛍光についても当初の目論見通り低減されることを実証した。 フロントライトの基板としては、厚さ50μmや30μmの非常に薄い低蛍光ガラス板を用いるが、このガラス上に安定的にパターン形成し、剥離する必要がある。これに対し、UV易剥離テープを利用することで、ガラスを破損することなくデバイス作製を行う手法を開発した。 また、角度選択画素については、従来角度選択性が低かったが、イメージセンサを作製する際の金属配線層のうち、最下層レイアウトを変更することで、面内角度および傾き方向の両方について角度選択性が向上できることを確認した。また、これによって従来の構成では難しかった複数の入射角を区別できる見通しを得た。角度分解能が向上することにより、観察対象が従来よりもイメージセンサからの距離が遠い場合にも高精細な画像復元を行うことができると期待される。また、効率よく評価を行うための角度感度分布の簡易計測法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、微小なデバイス上に非常に薄く自家蛍光強度の低いフロントライト構造を搭載することが必要であり、実装手法の確立が大きな課題の一つであった。これに対し、本年度の研究成果により、実装を確実に行うことができる見通しが得られた。 また、角度選択画素については、従来、角度分解能が低いために画像処理の適用による空間分解能の改善効果が限定的であったが、本年度得られた角度選択特性の向上により、これを改善できるものと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの成果を元に、特性を改善した生体への刺入が可能なデバイスを作製する。また、励起光の偏光の制御を行い、励起光除去性能の向上による蛍光観察性能の改善を図る。更に、従来のデバイスと比較して空間分解能及び蛍光検出感度の改善効果を検証する。 角度選択画素については、最適化を行いフロントライト構造を含めてイメージセンサ表面から100um程度までにおいて細胞体レベルの空間分解能の実現を目指す。
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