研究課題/領域番号 |
23K21865
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補助金の研究課題番号 |
21H03853 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊良皆 啓治 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20211758)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | ニューロトレーニング / 発達障害 / ワーキングメモリ / 視線計測 / ADHD / マルチタスクゲーム / 注意機能 / 自閉症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、発達障害者の注意、集中の問題を改善するために、発達障害とワーキングメモリの関係を明らかにするとともに、ワーキングメモリを強化するニューロトレーニングを創出するものである。具体的には、脳波、心電図、顔の微小表情、視線の動き、微細な体動を計測、解析し、これらの情報を統合し注意や集中、感情の状態を可視化し、この情報を用いることで、最適な集中状態を維持し、ワーキングメモリを強化することができるニューロトレーニング法のデザイン、簡易トレーニングシステム開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、ワーキングメモリを強化するためのニューロトレーニング法を開発し、それをシステム化することとともに、脳波や脳血流、心電図など脳神経生理情報、加えて顔の表情や視線の情報を計測することにより、障害者の学習やトレーニング時の注意集中・認知・感情を可視化し、その時々の個人の状態をフィードバックし、精神状態のコントロール行えるようなシステムの構築を目指している。 これまで、ニューロトレーニング法として注意機能を向上させるためのマルチタスクを用いたVRシステム上でのマルチタスクゲームの開発を行った。このゲームの有効性を評価するため、このゲームを1日約20分間2週間のトレーニングを行い、認知機能スコアを算出する評価タスクにて測定した。その結果、トレーニンググループでは従来の計画を実行する認知機能である更新という項目と、過去に体験したことのある刺激かどうかを判断する認知機能である識別という項目がトレーニングをしないグループより有意に向上していた。また、脳活動の測定によって、抑制力や分割注意力の向上が示唆され、本マルチタスクゲームの効果が認められた。脳神経生理情報、加えて顔の表情や視線の情報を計測しフィードバックするシステムに関しては、計測環境は整え、現在、可視化によるフィーバックシステムの開発中である。 このマルチタスクゲームとは別の方法として、ワーキングメモリ強化に着目したタブレット上で動作する漢字学習アプリを開発し、漢字学習が苦手な高校生に対して効果の確認を行った結果、従来の紙ベースで学習するよりも若干の効果の向上が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、当初の計画であるニューロトレーニングの方法であるマルチタスクゲームに関しては、プロトタイプが完成した。このマルチタスクゲームを大学生の被験者を用いて評価した結果、ある程度の効果が示された。しかし、その効果は大きなものではなく、ゲームのデザインや難度など検討すべき点は残されており、現在改良を行っている。しかし、システム開発に精通していた大学院生が卒業したため、進捗が若干遅れているのが現状であるが、引継ぎはできており大きな問題はないと考えている。 もう一つの研究ポイントである、脳波や脳血流、心電図など脳神経生理情報、顔の表情や視線の情報を計測し個人の状態をフィードバックするシステムの開発に関しては、これら生理情報の計測環境は導入しているが、現在システムの構築を行っている状況であり、これはすぐにも実装でき実験が始められる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進については、まずすでに開発しているニューロトレーニングにおけるマルチタスクゲームの改善を行い、より高いワーキングメモリー機能の向上が可能となるようにすることである。これには、ゲーム遂行時の被験者の生理情報を的確に把握し、フィードバックできるようにすることである。生理情報計測の環境はすでに整っているので、それをどのように可視化するか検討してる段階である。 本ニューロトレーニングの対象としているのは、発達障害児や発達障害までは診断されないグレーゾーンとよばれている子供であるが、これらの対象者に対する評価実験に対してはこれからであり、現在、これらの実験に協力してくれる実験協力者を探している。
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