| 研究課題/領域番号 |
23K21869
|
| 補助金の研究課題番号 |
22H00597 (2022-2023)
|
| 研究種目 |
基盤研究(B)
|
| 配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
| 研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 友幸 北海道大学, 文学研究院, 名誉教授 (40166723)
|
| 研究分担者 |
佐野 勝彦 北海道大学, 文学研究院, 教授 (20456809)
金子 守 筑波大学, システム情報系, 名誉教授 (40114061)
東条 敏 亜細亜大学, 経営学部, 教授 (90272989)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2027-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
| 配分額 *注記 |
7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2026年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
| キーワード | 言語行為 / エージェントコミュニケーション / 証明論 / ゲーム理論 / 動的様相論理 / 様相述語論理 / 人工知能 / 発話行為 / 動的様相述語論理 / 動的義務論理 / 項列様相論理 |
| 研究開始時の研究の概要 |
一般に発話は何らかの社会的文脈において行われ、当事者たちの関係や考えを様々に変化させる。こうした変化は、義務、権利、許可、禁止のような状況の義務論的構造にも、当事者たちの心的態度(知識、信念、願望、選好、意図など)にも及ぶ。これらの義務論的構造や心的態度は様相論理により特徴づけることが可能であり、近年発展しつつある動的様相論理により、その動的変化の分析が可能になる。本研究は、動的様相論理をインターフェイスとして、言語哲学、論理学(証明論)、人工知能、経済学、ゲーム理論からの多視点的・学際的なアプローチを総合し、状況(社会的文脈)を様々に変化せる発話のダイナミクスを解明しようとするものである。
|
| 研究実績の概要 |
山田はこれまで20年余りにわたって続けてきた言語行為の動的様相論理による分析の成果を英語で一冊の著書にまとめる作業を進め、すでに全14章とアペンディックス2章からなる第一次草稿を完成し、目下全体の文体の統一と、論述の再点検を行っているところである。さらに山田は、アムステルダム大学のSonja Smets教授と共に、国際誌 Review of Analytic Philosophy の特集号 “Logics of Communicative Interaction”(全二分冊)の編集を担い、第1分冊を本年度刊行した(同号に山田の査読付き論文を収録)。第2分冊は2025年度中に刊行予定である。 佐野は、「かくれんぼ」におけるステップ数を限った場合のプレイヤーの勝利条件を記述可能とする「かくれんぼの様相論理」に関して、そのハイブリッド論理拡張において意味論的に完全な公理化を与え、これを学術誌に発表、さらに国際ワークショップで招待講演を行った。また、多エージェント認識論理にアウェアネス概念を導入する拡張に関し、推件計算による証明論的手法でクレイグ補間定理の成立を示し、国際学会ICLA 2025で発表した。 東条は、多値論理による認識論理の代用(ISMVL発表)、ラベル付きシーケント計算によるLambek計算への応用、区別不可能性に基づくAwareness論理の構築に取り組んだ。また、国立情報学研究所応募プロジェクト(ROIS-DS) `Verifying Anonymity and Pseudonymity' にてベルゲン大学 Thomas Agotnes 教授と研究会を計4回開催した。 金子は、ブリストル大学のTai-Wei Hu教授との共同研究により、論理学・経済学・社会学・心理学などを横断する「認識的相互共感の論理」の構築を目指す研究をさらに進めた。
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者および各分担者は、それぞれの課題を概ね順調に進めており、昨年度に引き続き、扱う現象の範囲の拡張と分析枠組みの精緻化が着実に進展している。 代表者である山田は、執筆中の著作において、言語行為を動的様相論理により分析する研究を展開している。本研究では、指令・約束・依頼に加えて主張行為も、義務様相と認識様相を備えた動的命題様相論理の枠組みのもとで統一的に扱っている。さらに、動的述語様相論理への拡張、発語行為・発語内行為・発語媒介行為の相互関係の分析、発語行為が発語内行為として機能するための背景的条件の扱い、発語内行為の理解に伴う不確実性の論理的扱いといった、より基礎的な問題にも取り組み、理論的な深化を図っている。 佐野は、多エージェント認識論理に関して、これまでの分散的知識演算子の追加にとどまらず、新たにアウェアネス(awareness)概念を導入した拡張系においても、推件計算による証明論的手法が有効に機能することを明らかにした。また、様相述語論理における等号の扱いに関する準備的研究として、ハイブリッド論理の道具立てを用い「かくれんぼの様相論理」の意味論的に完全な公理化に成功した。 金子は、論理学・経済学・ゲーム理論・社会学・心理学を横断する学際的な研究テーマである「認識的相互共感の論理」の構築に向けて、ディスカッションペーパーを執筆し、オーガナイズした国際ワークショップにおいてフィードバックを受け、理論の洗練に努めた。 東条は、多値論理を用いることで認識・信念演算子を持つ論理と同様の分析が可能であることを示し、様相論理で多用されるラベル付き推件計算から構造規則を削除した一般化に向けた理論的考察を進めた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況が示しているように、成果は蓄積されつつあり、メンバー間でそれらの共有を進め、成果をさらに発展させることにより研究を深めることができる。 山田は、明確な意味と指示を伴いつつ何かを言う行為である発語行為、その際に遂行される指令、依頼、約束、主張などの、状況の義務論的構造を変化させる発語内行為、それにより関係者たちの考えや感情、選好、意図などに影響を及ぼす発語媒介行為の相互の区別と連関を包括的に特徴づける研究をさらに進める。また、充足様式の違いに阻まれて伝統的な真理条件的意味論がそのままでは発話の内容の体系的意味論を与えることができないという難点を、動的意味論への一般化により克服する可能性の検討を進める。 金子は、社会的文脈における人間達の相互認識の発展に関して研究を行ってきた。2025年2月にそれに関する論文を一篇完成し、筑波大学社会工学系のディスカッション・ペーパーとして登録している。今後、その論文を一般化し、ゲーム理論・社会学での文脈に適用する研究を行う。 佐野は、2024年5~6月にハイブリッド論理研究の大家である Partrick Blackburn教授の所属するロスキレ大学を訪問予定であり、等号に相当する記号を持つ論理体系(ハイブリッド論理、様相述語論理)の証明論的研究をさらに推進する予定である。これにより本研究の基盤となる動的様相論理の表現力を一段と高める可能性を探る。 東条は、Lambek 計算におけるラベル付与の諸問題の解決をめざすとともに、awareness の論理表現の研究を継続する。後者においては、可能世界の無区別関係によってもとの多数の可能世界から少数の可能世界の剰余セットを作り、無区別関係をもともとのアクセス関係と連結したオペレータによってexplicit knowledge を定義する研究を行う。
|