研究課題/領域番号 |
23K21873
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補助金の研究課題番号 |
22H00601 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大河内 泰樹 京都大学, 文学研究科, 教授 (80513374)
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研究分担者 |
毛利 康俊 西南学院大学, 法学部, 教授 (20341373)
白川 晋太郎 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 講師 (30849302)
朱 喜哲 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (50844908)
入江 幸男 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 名誉教授 (70160075)
井頭 昌彦 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70533321)
川瀬 和也 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (90738022)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 推論主義 / ヘーゲル / ブランダム / プラグマティズム / 『精神現象学』 / 客観性 / 言語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ヘーゲル研究者と、分析哲学、プラグマティズム研究者の共同研究を通じて、R・ブランダム『信頼の精神』を検討し、その哲学的意義を明らかにすることで、ブランダムの標榜する推論主義を総体的に理解し、その現代哲学における射程を明らかにする。そのアプローチは以下の四つである。第一に、ブランダムの著書、特に『信頼の精神』をヘーゲル研究、分析哲学、プラグマティズム三つの文脈から批判的に検証する。第二に、推論主義哲学の理論哲学的な全体構造を明らかにする。第三に、推論主義哲学の隣接領域への応用可能性の検証を行う。そして第四に推論主義哲学を介したヘーゲル哲学のアクチュアリティについての検討を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は、 本研究の軸として位置づけられている、ブランダム『信頼の精神』 研究会(読書会)をオンラインにて計8回行い、おもに序論と第一部の検討を行った。研究代表者、研究分担者の他にも参加者をえ、日本におけるブランダム研究の主要な研究者が集う場をつくることができた。そこでは、ブランダムが『明示化』(1994年)で展開した義務論的規範性の理論と平行して位置づけられている真理様相の理論が体系的に展開されるとともに、ヘーゲルの意識論に重ね合わされていることが明らかになった。しかし、他方では真理様相論の実在性についての主張の根拠付けの不十分性についても議論が交わされた。これについては2023年度以降も引き続き検討していくこととなる。 10月(オンライン)と2月(京都大学)には研究報告会を行い、川瀬、白川、大河内、入江、毛利がそれぞれの関心から推論主義への接点を示すことで、問題意識の共有と、今後の共同研究の方向性について検討を行った。 5月22日に九州大学で開催された日本哲学会第81回大会では、川瀬、白川、大河内(司会)が参加するシンポジウム「プラグマティズムの再検討 新たなる〈主観性/客観性〉に向けて」が開催され、川瀬と白川が、それぞれブランダムも含めたプラグマティズムの最新の状況を踏まえて、主観性と客観性とがプラグマティズムの立場からどのように捉えられるのかを主題に報告を行った。その成果は、同学会の機関誌『哲學』に掲載された。 また、2023年度以降の国際研究にむけてすでに連絡を取り合っている海外の研究者意見交換をしながら、候補となる研究者のリストアップを行い、さらなる国際的なネット ワークの拡張に向けて準備をおこなった。また、2月にはミュンスター大学(ドイツ)のグートマン教授の講演会を開催し(京都大学)、法哲学における規範理論について意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
『信頼の精神』の検討会をほぼ毎月行うなど、かなり密な共同研究を行っているということができるだろう。この検討会での意見交換を通じて、それぞれの見解の共通点と違いを認識することを通じて、それぞれの研究にフィードバックすることが出来る機会となっている。検討はおおむね予定通り順調に進んでいる。また2回の研究報告会と海外からのゲストの講演会を開催したことで、本研究課題のメンバーのみならず、関心を持つ研究者を広く集め、議論することが出来た。 また、日本哲学会におけるシンポジウムと川瀬と白川によるその報告原稿ならびに論文、井頭による編著の刊行、朱による共著論文・著書、ドイツ語による大河内の共著など、初年度として顕著な成果を上げることが出来たと言える。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、本研究は大変順調に進捗しており、引き続き上記の読書会および研究会を継続することによって、同様の成果を上げていくことが出来ると考えている。2024年度に開催予定の国際会議に向けて、2023年度は、国際的ネットワークを拡張・強化していくことが必要であり、この点に力を入れて取り組む予定である。
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