| 研究課題/領域番号 |
23K21874
|
| 補助金の研究課題番号 |
22H00602 (2022-2023)
|
| 研究種目 |
基盤研究(B)
|
| 配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
| 研究機関 | 岩手保健医療大学 |
研究代表者 |
清水 哲郎 岩手保健医療大学, 看護学部, 客員教授 (70117711)
|
| 研究分担者 |
会田 薫子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任教授 (40507810)
田代 志門 東北大学, 文学研究科, 教授 (50548550)
鈴木 晴香 (日笠晴香) 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 准教授 (50724449)
秋葉 峻介 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (80861012)
石井 真紀子 岩手保健医療大学, 看護学部, 准教授 (30305263)
大井 慈郎 岩手保健医療大学, 看護学部, 准教授 (10757959)
相澤 出 岩手保健医療大学, 看護学部, 准教授 (40712229)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
| 配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
|
| キーワード | 臨床倫理 / 高齢者ケア / 意思決定支援 / 倫理的人間関係 / ポスト健康寿命期 / 社会の倫理 / 高齢者 / 共同意思決定 / 自律 / ACP / 意志決定支援 |
| 研究開始時の研究の概要 |
1999年度以来行ってきた臨床倫理の理論と実践に関する研究開発の完成と、その成果に基づく社会貢献活動の充実を目指し、次の活動を行う。 ① 倫理に関する《皆一緒》と《人それぞれ》の理論を哲学的に深化させ、人間関係の倫理全体を統一的に説明できる見方を提示する。 ②「ポスト健康寿命期」を「老いによる人生の最終段階」と捉え、この時期の高齢者のウェルビーイングの実現に資するため、〈本人・家族の意思決定支援〉および〈人生のよさ〉についての検討を深める。 ③ 研究成果を臨床現場さらには社会全体へ提言と貢献につなげるべく、ウェブサイト〔臨床倫理ネットワーク日本〕上で成果を公開し、オンライン・セミナーを実施する。
|
| 研究実績の概要 |
① 《皆一緒》と《人それぞれ》の理論の哲学的検討 医療における人間関係の倫理を《皆一緒》と《人それぞれ》のブレンドとして理解することから、社会のメンバー間の倫理一般を同様に理解する可能性を探った。そもそも日本は国民皆保険制度など医療を行政(社会)が行う事業としており、医療の倫理のベースとして見出された人間関係が、社会のメンバー間に要請される人間関係を医療に適用したものに他ならないのは当然である。この点で日本は、医療の一部のみを社会の事業とする米国とは、社会のメンバー間に要請される人間関係が異なっている。そこで、米国社会におけるリベラリズムおよびポスト・リベラリズムの思想を《皆一緒》と《人それぞれ》のブレンドとして見直し、これに対峙しつつ、日本社会の人間関係を適切に言い表し、これからの社会のあり方のモデルとして提言するという目標が見えてきた。
② ポスト健康寿命期(=老いによる人生の最終段階)にある高齢者のウェルビーイングの条件の明確化 高齢者ケアをテーマとする学会の「高齢者の人生の最終段階における医療・ケアに関する立場表明2025」の立案を行う会議において、研究分担者会田はとりまとめ役を務め、代表者清水も参加して、本研究の考え方をベースとして「人生の最終段階」、「人生と生命」、「共同決定プロセス」、「QOL」等の適切な理解を志した。
③ 研究成果の臨床現場への還元および社会に向けての提言による社会貢献 臨床倫理セミナーを全国各地のグループと協働し、研究成果を臨床に還元する機会として計7回実施した(金沢、諏訪、札幌、佐久、仙台、大阪、久留米)。高齢者ケアに関わる「心積りノート」をeBook化して本研究プロジェクトのサイト上で公開し、老いによる人生の最終段階について市民が考える際に役立つようにした。本研究の成果の普及を目指すeラーニングのコース開設に向けて準備作業をした。
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
①《皆一緒》と《人それぞれ》の理論の哲学的検討 上記「研究実績の概要」に記した通りである。ただし、課題はより微妙である。例えば《人それぞれ》について、対応する英文として "live and let live" (あなたは〔自由に〕生きなさい! かつ、他者が〔自由に〕生きることを妨げないように!)を提示した場合、米国流リベラリズムも同意するだろうが、「自律尊重 respect for autonomy」とも言う。しかし、この二つの表現は同内容ではない。「自由に生きよ」と言われて自由に生きようとする時に、その本人が「他者も自由に生きるように配慮せよ」ということと、「あの人もこの人も皆それぞれが、自分で自分の道を自主的に選んで歩むことを尊重せよ」ということの間の差異を今後明確にする等々の作業が必要である。
② ポスト健康寿命期(=老いによる人生の最終段階)にある高齢者のウェルビーイングの条件の明確化 ここは「高齢者のウェルビーイングの条件の明確化」というところが未だはっきりしておらず、「やや遅れている」と自己評価する。ここは、参加した「高齢者の人生の最終段階における医療・ケアに関する立場表明2025」が臨床家の理解を示しており、これを分析することでまとめられよう。
③研究成果の臨床現場への還元および社会に向けての提言による社会貢献 対面での臨床倫理セミナーは新型コロナ感染症の影響から立ち直って増えたが、オンラインによるセミナーや懇話会ができなかった点は「遅れている」と自己評価する。また、本研究課題終了後も研究および社会貢献を続け、eラーニング実施をはじめとする活動を継続するための準備を進め、年度末近くに「一般社団法人臨床倫理研究所」を立ち上げ、R7年度に本研究費による活動の社会貢献部分を同法人が引き継げるようにした点は、「当初の計画以上に進展」と言えよう。
|
| 今後の研究の推進方策 |
①《皆一緒》と《人それぞれ》の理論の哲学的検討 医療という場面における臨床倫理から始まった本研究の理論的活動は、現代社会における社会のメンバー間の関係について私たちの社会は何を要請しているか、または何を要請するのが適切かという問いに向かうようになった。折しも米国の現政権が国内外で始めたことが、リベラリズムを切り捨て、ポスト・リベラルのあり方について一定の方向をもっており、また、国際関係において諸国間の正義という理念を捨て、現実的な力関係により事が動いていくことを事実として認める(是とする)あり方をしているようだということが見えてきた。これは国内では《皆一緒》と《人それぞれ》のブレンドとして倫理を分析することを許すとしても、国際間では、《皆一緒》および《人それぞれ》=live and let live の "let live" 部分を認めない、ないしは認めるとしても社会的要請(倫理)としてではなく、「自らの利益のためには相手のニーズ、相手の都合に配慮するほうがよい」という理由で認めるものとなろう。これにどう対峙するかを本研究の試金石として今後検討したい。
② ポスト健康寿命期(=老いによる人生の最終段階)にある高齢者のウェルビーイングの条件の明確化 R6年度はこの点の理論的深化が不十分であったので、今後この点を補う検討を行い、さらに本人の人生の選択を支援するあり方を明確にしたい。
③研究成果の臨床現場への還元および社会に向けての提言による社会貢献 これまでの本研究グループの研究成果は本研究課題終了後も継続して、臨床現場への還元や社会的提言として社会への普及を図る必要がある。そのために年度末に「一般社団法人臨床倫理研究所」を立ち上げ、R7年度に本研究費による活動と同法人がまず担当する社会への還元活動を有機的に結びつけ、研究終了後も同法人が自立して活動していけるようにしたい。
|