研究課題/領域番号 |
23K21876
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補助金の研究課題番号 |
22H00604 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
奥田 太郎 南山大学, 社会倫理研究所, 教授 (20367725)
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研究分担者 |
森山 花鈴 南山大学, 社会倫理研究所, 准教授 (40635702)
MERE WinibaldusStefanus 南山大学, 社会倫理研究所, 教授 (40836029)
篭橋 一輝 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (60645927)
辻本 耐 南山大学, 社会倫理研究所, 研究員 (30908463)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2026年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 補完性 / 自律 / 連携 / 介入 / 意思決定 / 補完性原理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「平時はともかく危機的状況にあっては中央集権的意思決定が望ましい」とみなす通俗的理解の一面性を批判的に明らかにしつつ、危機対応における事前・渦中・事後の3つのフェイズに連続的な視座から適切な介入を行うには、分散的意思決定が望ましいことを実証的かつ理論的に示す。その際、危機的な事態における個人と集団のありように着目し、関連する規範的原理の「補完性原理」を援用する。本研究は、適切な介入を可能にする自律と連携の「間」のあり方を哲学・倫理学的に探求するとともに、行政学、国際法学、経済学、心理学といった領域の実証的研究との相互フィードバックを学際的に展開する社会倫理学的研究となる。
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研究実績の概要 |
実証研究班Aでは、COVID-19感染拡大下において実施した調査のうち、緊急事態宣言期間とその前後の不安の変化と、その不安が人々によるリスク評価に及ぼす影響に注目し、そのデータについて詳細な分析を行った。分析の結果、緊急事態宣言が発令されている時期の方がそうでない時期と比較して不安が高く、緊急事態宣言が発令されている時期とそうでない時期によって不安がリスク評価に及ぼす影響が異なっていた。この結果は、日本で発令された法的な拘束力のない緊急事態宣言であっても、ウイルスに対する恐怖や不安といった情動や予防行動の前段階であるリスク評価といった心理的側面に影響を及ぼすことを示唆するものであり、危機的状況での中央集権的意思決定体制導入が個々人の自律のあり方に及ぼす影響の一端を捉えることができた。 他方、実証研究班Bでは、5月に「持続可能な森林管理を考える」国際ワークショップをハイブリッド形式で開催し、また、オーストラリアにおけるランドケアの中で立ち現れる自律性と補完性に関して、タスマニア州、ヴィクトリア州、西オーストラリア州、クイーンズランド州、オーストラリア首都特別地域で展開されるランドケア活動の関係者(ローカルグループ、ランドケアネットワーク、NPO、政府系組織等)にヒアリング調査を行った。調査の結果、ローカルグループの活動の自律性に貢献する要因として、活動にヴィジョンを与えるような人物の存在、財政的/経済的基盤を安定させようとする力、ローカルグループの活動の自律性(自治と民主的意思決定)を尊重するという補完性原理の特徴が色濃く現れた財政的・技術的な支援規範が浮かび上がってきた。 原理研究班AとBでは、インドネシアのバドゥイ族への調査、茨城県水戸市における地域活性化活動の視察等を通じて引き続き現時点での原理の適用可能性を探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の主要メンバーの多くが、2022年度以上に深刻な時間的制約に囚われてしまい、年度内に予定していたことを十分に進めることが難しかった。そうした中で、実証研究班Bは、前年度に引き続き、オーストラリアでの調査を十分に実施することができた。また、いくつかの研究論文の作成を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の主要メンバーの公私の事情は2024年度も継続することとなるため、時間的制約の厳しい中、本研究課題に取り組む必要がある。研究期間のうち3年目となる2024年度において、当初の計画では、論集『自律と補完性の社会倫理学(仮)』の目次案を立て、日本語での執筆者選定を行うことになっており、多様な領域の研究協力者との連携により研究計画が滞りなく進められるよう試みる。
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