研究課題/領域番号 |
23K21889
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補助金の研究課題番号 |
22H00617 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高岸 輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80416263)
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研究分担者 |
津田 徹英 青山学院大学, 文学部, 教授 (00321555)
藤原 重雄 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (40313192)
加須屋 誠 京都市立芸術大学, 芸術資源研究センター, 客員研究員 (60221876)
鈴木 親彦 群馬県立女子大学, 文学部, 准教授 (60803434)
井並 林太郎 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部企画室, 研究員 (80747329)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 14世紀 / 中世 / 絵巻 / 絵師 / IIIF / 仏教説話画 / 高階隆兼 / 真宗美術 / 人文情報学 / 肖像画 |
研究開始時の研究の概要 |
日本美術史において体系的な把握が立ち遅れていた十四世紀を再考すべく、作品と史料の両面から絵画制作組織の位置づけを探る。特に絵巻・絵伝類の制作を中心に、新たな史料の博捜、浄土系各宗派の作品の調査分析、詞書の書風解析、IIIFのデジタル画像を活用した様式比較方法の開発を進め、高階隆兼をはじめとする主要な絵師の活動と彼らをパトロネージした公家、武家、寺社との関係について見通すことを目指す。
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研究実績の概要 |
京都国立博物館で開催された「親鸞―生涯と名宝」展(2023年3月25日~5月21日)の関連企画として、仏教美術研究上野記念財団主催のシンポジウム「浄土真宗を中心とした祖師信仰とその造形」(4月23日)が開催され、井並林太郎「十四世紀浄土真宗の絵画と絵師・工房」、津田徹英「中世真宗の肖像彫刻の制作について」の口頭発表および髙岸輝の司会による座談会が行われた。そして12月に同財団より研究報告書が刊行された。親鸞の教団を継承した覚如らは、14世紀において絵巻・肖像を大量に制作し、真宗周辺で専属的に活動する絵師や仏師の集団が形成された。津田は肖像における画像と彫像の交流の問題、井並はこの集団に属する個別の絵師の様式について試論を展開し、座談会において14世紀における美術史の転換期の様相が把握された。 鈴木親彦編『共振する人文学とデジタルアーカイブ』が刊行され、同書で髙岸は「カタログ・レゾネからデジタル・アーカイブズへ」と題してボストン美術館の絵巻調査を中心にIIIFを活用した人文情報学手法の見通しを示した。 このほか、藤原重雄による「舞楽図障子絵」「洛中洛外図屏風」に関する史料的探究、津田による14世紀の「遊行上人縁起絵巻詞書断簡」の分析が行われている。髙岸による高階隆兼の逸失作例に関する論文は、15世紀の『看聞日記』に記された三つの絵巻の典拠が13世紀半ばの『古今著聞集』にあったことを明らかにし、隆兼が数十年前の絵巻の模写を通じて古典復古的な画風を形成していったことを新たに指摘した。 絵巻や肖像などの作品研究、絵師と流派の研究、人文情報学手法の導入、の三つの側面から、14世紀の美術史を包括的にとらえる試みが継続的に進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、髙岸・津田・井並が参加した『浄土真宗を中心とした祖師信仰とその造形』(仏教美術研究上野記念財団)の研究報告書、および、鈴木編・髙岸分担執筆の『共振する人文学とデジタルアーカイブ』(勉誠社)の二点が本科研の成果の一部として刊行された。各分担者による個別の作品・絵師研究とあわせて順調に進んでいるものと評価される。
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今後の研究の推進方策 |
三年目の最終年度を迎えるにあたり、2024年7月に東京にて研究分担者が集合し、本研究の成果集約について検討を行う。また、新型コロナウィルスの影響でこれまでの2年間、十分に行えなかった海外での作品調査、および海外での研究成果の口頭発表を実施する予定で、6月には髙岸がドイツ・ハイデルベルク大学で行われる国際シンポジウムにて、高階隆兼に関する基調講演を行うことが決定している。
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