研究課題/領域番号 |
23K21893
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補助金の研究課題番号 |
22H00621 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
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研究分担者 |
児嶋 由枝 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70349017)
菅原 裕文 金沢大学, 人文学系, 准教授 (40537875)
辻 絵理子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (40727781)
武田 一文 筑波大学, 芸術系, 助教 (90801796)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | ビザンティン美術 / クレタ島 / キリスト教図像学 / カッパドキア / ナクソス島 / 聖堂装飾プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
ビザンティン美術の中心地は首都コンスタンティノープルだが、トルコ支配のために聖堂壁画はほとんど失われている。しかしこの欠落を補うのが島嶼部(クレタ、キプロス、シチリア、ナクソス)の美術である。これら島嶼部に残る図像は、奇妙なことにカッパドキアやマニ(ペロポネソス半島)といった辺境の図像と共通する。かつて広大な領土を誇ったビザンティン帝国の美術の全貌を把握するために、島嶼部や辺境の図像を手掛かりとするものである。
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研究実績の概要 |
2022年夏にクレタ島(ギリシア)とカッパドキア(トルコ)の聖堂調査を行った。前科研(基盤B、2021年度繰越分)との合算であったが、両科研の課題は重なる部分があるため、調査の成果を両科研で明確に区分することは困難である。クレタ島、カッパドキア両地において、多くの聖堂壁画を撮影し、装飾プログラムを記録・記述した。 いくつかの目立った成果を記す。クレタ島KastelliのChristos Aphentis聖堂は、13世紀と考えられている古典主義的なフレスコ壁画を有している。クレタが常に辺境として特異な装飾プログラムを採るとは限らず、このような古典的システムを採用する聖堂があることを確認できた。Ano ViannosのAgia Pelagia聖堂には、幼児キリストを背負う聖クリストフォロスのイコン的図像が存在する。この図像はポスト・ビザンティン期にイタリアの影響で成立したと考えられてきたが、14世紀の作例が存在することがわかった。 カッパドキアではBahcheriのIcheridere no.1 (通称Karanlik Kilise)(9世紀)の壁画が特筆に値する。北壁に稚拙な「アブラハムによるイサクの犠牲」を描くほか、西壁には「天国に迎えられる10人の乙女」が配されている。この図像がビザンティン聖堂に描かれることは非常に稀で、北マケドニア、レスノヴォ修道院以外に類例を知らない。9世紀のカッパドキアと、14世紀のバルカン半島。両者に直接の影響関係があったとは考えられないから、やはり共通の手本として首都コンスタンティノープルを考えなければならない。こうした時空ともにかけ離れた類似プログラムを蒐集することで、ビザンティン美術の空白が埋まってゆくであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍のために海外調査が実施できない可能性も考えて代替計画を立てたが、幸いクレタ島とカッパドキア両地で調査を行い、想定以上の成果を上げることができた。両地の現地住民の協力が得られたことが大きく与っている。クレタ島Agios Vasileios村の村長は、Panagia Spiliotissa修道院と交渉をして、Agios Ioannis Prodromos聖堂の特別調査をさせてくれた。またクレタ島Odigitria of Gonia修道院の修道士Theologos師は調査に同行し、いくつもの聖堂を見出してくれた。こうした人間関係上の幸運が、今回の調査を予想以上に実り多いものとしてくれたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も夏に海外調査を行う予定である。しかしここ最近の航空券の値上がり、現地ホテル等の物価上昇が、予算を圧迫していることは事実である。根本的な対応策は困難であるが、調査の規模(人数、期間)を小さくし、節約に努めなければならない。
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