研究課題/領域番号 |
23K21897
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補助金の研究課題番号 |
22H00625 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
北村 明子 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (40334875)
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研究分担者 |
荒谷 大輔 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (40406749)
兼古 昭彦 東京家政大学, 家政学部, 教授 (40626636)
村尾 静二 清泉女学院大学, 人間学部, 講師 (90452052)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 舞踊表現 / 身体論 / 舞台芸術 / 民族芸能 / 芸術人類学 / 舞踊舞台芸術 / コンテンポラリーダンス / 伝統儀礼 / 振付論 / 舞台芸術創造 / 舞踊 / 身体表現 / アジア共生 / メディア |
研究開始時の研究の概要 |
現代のアジアにおけるコンテンポラリーダンスの社会的機能を、過去、現在、未来に作動し続ける舞踊表現の対話の共有の場(コモンズ)という視点から検証し、舞台芸術創作・鑑賞の開いたコミュニケーション方法を見いだす研究である。舞踊表現という切り口から、アジアの現地で埋もれていた文化のあり方、価値観、生活様式を明らかにし、国際的継続性ある共生・対話の方法論を実証し、ケーススタディーとして提示する。このことによって、身体芸術表現の豊かさを、生活文化という新たな視点から見いだし、現代の多文化共生社会における、差異と共生を受容する生活様式の活性化へと導くことを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は,東南アジアのフィリピン,インドネシア各地域のアニミズム思想に基づく伝統音楽,舞踊,儀礼について,フィールドリサーチを行った。具体的には,ミンダナオ島のマラナオ族の伝統舞踊についての文献調査とフィールド調査,ルソン島山岳地域のカリンガ族のゴングに関わる儀礼,演奏法や地域共同体との関連性についてのフィールド調査,そして,イフガオ地域のシャーマニズムと,民話についてのフィールドリサーチを推進した。また,各地域の伝統儀礼について,次世代への伝承と伝統儀礼から派生する現代の事業の多様性についても,各専門家や芸術家に対するインタビュー調査を行った。さらに,現地の先行研究論文と現地のインタビューにより,フィリピンにおける先住民族文化の様々な問題点,そして,地域共同体における伝統芸能の身体技法の役割や重要性などを確認することができた。インドネシアではバリ舞踊,ワヤン・クリ,仮面舞踊トペンの伝承の現在についてのフィールド調査を行った。また,中央アジアの伝統舞踊,音楽,芸能の現在についてのフィールドリサーチをする機会があり,それぞれの起源や派生,形式,伝承方法,などについて,東南アジアとの比較研究を行うことができた。 現代の舞踊表現という切り口からは、マニラにおけるコンテンポラリーダンスの現在について,オンラインによる研究会,及び,フィリピン大学の舞踊団の代表者,また,個別の振付家らとの現地での対面にて,各振付家,舞踊家らの活動における問題意識や振付作品を創作する環境などについてのインタビュー調査を行った。国内では,フィリピンからアニミズムリサーチを実施するパフォーマーの招聘を行い,日本国内の舞踊家,音楽家,専門研究者らとの交流と実践的リサーチとしてワークショップやクリエーションを実施し,その実践研究の成果を発表した。また,フィールド調査記録映像と舞台芸術映像表現の融合を試作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地フィールド調査については,国内の事前準備の際,現地の専門家らの助力から,伝統芸能者,ほか,土地の共同体の人々との連携と協力を得ることができ,共同体内部の視点を含めたフィールドリサーチとインタビューを順調に推進することができた。一方で,研究対象場所の一つであるマニラの劇場の改修工事のため,都心部のリサーチの発展は延期としたが,その分,ルソン島,山岳地域のさらなるフィールドリサーチと分析を予想以上に進めることができた。またマニラ都心部のリサーチについては,舞踊のみならず,現代の音楽と伝統的要素を融合して活躍する音楽家らのインタビューを実施することができた。東南アジアのリサーチ視点を再検証する上で,中央アジア,カザフスタン,ウズベキスタンの芸能者について,オンラインで広くリサーチを進めることができたことは予想以上の進展であった。このことにより,東南アジア,フィリピンの先住民族文化の様相の特異性を明確に把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の山岳地域のリサーチの成果を踏まえ,2024年度は,山岳地域に近い,都心部バギオ市や,首都マニラの舞踊,音楽について,現代と伝統の融合を図る専門家,芸術家らのリサーチを進める。また,海洋地域であるミンダナオ地域における土地の芸能のフィールド調査や,インドネシアのボルネオ地域における伝統芸能についての国内調査を進める。さらに,地域共同体における芸能の役割や意義を参照にし,劇場における舞台作品発表という形式を超えた,現代の身体芸術表現の動向の可能性について,考察を行う。
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