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Multidisciplinary Scienceとしての本草学の再構成

研究課題

研究課題/領域番号 23K21908
補助金の研究課題番号 22H00636 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
研究機関大阪大学

研究代表者

伊藤 謙  大阪大学, ミュージアム・リンクス, 講師 (00619281)

研究分担者 劉 建輝  国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (00321620)
深尾 葉子  大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (20193815)
三島 美佐子  九州大学, 総合研究博物館, 教授 (30346770)
安井 眞奈美  国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40309513)
磯田 道史  国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (00375354)
船越 幹央  大阪大学, ミュージアム・リンクス, 教授 (90260348)
下林 典正  京都大学, 理学研究科, 教授 (70235688)
中澤 慶久  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (70575414)
北島 宣  京都先端科学大学, バイオ環境学部, 客員研究員 (70135549)
仲野 義文  島根県立大学, 地域政策学部, 客員研究員 (80926121)
波瀬山 祥子  大阪大学, 総合学術博物館, 技術補佐員 (50942588)
橋爪 節也  大阪大学, 総合学術博物館, 教授 (70180817)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
キーワード本草学 / 文理融合研究 / MultidisciplinaryScience / 生薬学 / メタバース / 博物学 / 分野横断 / 大学博物館
研究開始時の研究の概要

江戸時代の長崎貿易を通じた文物の流入は、日本独自の芸術と科学の発展を促した。絵画では中国南宗画や洋式の要素を取り入れた独自の流派が生まれ、科学では西洋博物学の影響を受けた本草学が確立された。本研究は、江戸から明治にかけての本草学者の知のネットワークを解明し、歴史・文化を多角的に分析する。また、本草学と物産学の関係を探り、芸術・歴史・科学を統合した研究を通じて、現代の本草学研究プラットフォームの構築を目指す。

研究実績の概要

江戸時代において、日本は独自の文化的・科学的進展を遂げ、その中でも特筆すべきは「本草学」という学問分野の創出である。これは、アジアで発展した学問体系に加え、西洋から伝来した博物学の影響を受け、独自の発展を遂げたものであり、植物、動物、鉱物など自然界の事象を系統的に研究する学問である。江戸時代の本草学は、芸術、歴史、農学、薬学、科学といった幅広い分野にわたっており、これらの知識を総合することで、より深い理解を可能にする分野横断的研究、すなわちMultidisciplinary Scienceのアプローチが必須であった。本研究は、申請者がこれまでに行ってきた研究を基盤として、江戸時代から明治時代にかけての本草学者たちが構築した広大な知識ネットワークを詳細に解析する。これにより、当時の日本の歴史や文化を新たな視点から帰納的に解明しようとするものである。本草学者たちが収集・編纂した博物図譜をはじめとする芸術資料にも焦点を当てることで、文化資源としての価値を再評価する。
また、本草学の視点から見た地域社会の構造を考察し、物産学がどのようにしてその地域の実情に根差し、どの程度の影響を与えていたのかを明らかにする。具体的には、地域ごとの特産物をどのように利用し、また、それが如何にして地域の経済や文化に寄与していたのかを研究する。これにより、本草学が持つ学問としての広がりと深さを、実物資料と結びつけたリアリズムの視点から捉え直すことを目的とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は主に下記を実施した。
①本草学における“医薬学”の研究:歴史的生薬標本の基原を精査することにより、生薬の基原が現代と比べ、どのように変遷してきたのかを調査すると同時に、国内外に存在する歴史的生薬標本についても、その存在を明らかにしていく。前年度から継続して、国内における歴史的標本の調査を実施した。
②本草学における“地質・鉱物学”の研究:地質・鉱物学研究においては、江戸期の重要な産業技術である“冶金”を軸に、本草学の中に含まれている地質・鉱物学分野を考察する。本年度は、継続して、石見銀山の鉱物標本についての分析および関連する産地のフィールドワークを実施した。加えて、本科研メンバーは石見銀山の地元の大田市の教育委員会委員として、地元教育への実装も行っている。なお、本科研の代表者である伊藤は複数の共同研究者と共に『世界を動かした日本の銀』を出版し、一般社会へのアウトリーチにも力をいれた。
③本草学における“農学”の研究:農学研究では、日本においては古事記に登場するほどの長い栽培の歴史を有し、日本人独自の分類研究が世界的に認知されている“柑橘類”に焦点をあてた研究を実施する。本年度は、国内での柑橘関連資料の精査、地域の農業文化と本草学との関りにも焦点を当てた。特に本科研メンバーは継続して、和歌山県の世界農業遺産登録に向けた委員会の有識者として参画している。
④博物図譜および絵画資料の研究と“次世代博物図譜”の創生:今年度は、博物資料を展示するメタバースミュージアム複数制作した。これについては継続的なポリッシュアップを経て一般へのアウトリーチに活用する予定である。本科研の成果を公表する場として相応しいメタバース空間上での展覧会のあり様について検討する。

今後の研究の推進方策

本年度は主に下記を実施する。
①本草学における“地質・鉱物学”の研究:地質・鉱物学研究においては、江戸期の重要な産業技術である“冶金”を軸に、本草学の中に含まれている地質・鉱物学分野を考察する。石見銀山の鉱物標本についての分析および関連する産地のフィールドワークを継続的に実施する。
②本草学における“農学”の研究:農学研究では、日本においては古事記に登場するほどの長い栽培の歴史を有し、日本人独自の分類研究が世界的に認知されている“柑橘類”に焦点をあてた研究を実施する。本年度は、国内外での柑橘関連資料の精査を進める。加えて、地域の農業文化と本草学との関りにも焦点を当てる。特に、和歌山の柑橘産業の社会実装(世界農業遺産登録など)に尽力していく。
③博物図譜および絵画資料の研究と“次世代博物図譜”の創生:博物図譜に焦点をあてた研究を展開する。メタバース空間上での展覧会のアップデートを継続する。
④本草学の西洋とアジアの国際交流および受容史の研究:本草学は時代の変遷と共に、アジア以外の西洋の科学をも受容しており、その受容史について研究を実施する。海外特に欧州に存在する本草学資料の調査を実施する。
⑤各研究の統合による“現代の本草学”の再構成と恒常的アウトリーチの実施:上記で実施してきた研究を『現代の本草学』としての再構成を実施し、現代の新しい分野横断的学問体系の構築を目指す。本科研プロジェクトでは、バーチャル展覧会をアウトリーチの1つに位置づけている。成果を公表する場となるバーチャル展示のアップデートを継続し、密度の高いアウトリーチ活動による研究成果の社会還元を実施する。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (30件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 3件、 招待講演 18件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 江戸幕府成立期の鉱山支配2024

    • 著者名/発表者名
      仲野義文
    • 雑誌名

      石見銀山遺跡テーマ別調査研究報告書・鉱山比較研究

      巻: 5 ページ: 117-132

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Naturally Occurring Imidazole Peptides, Carnosine and Anserine Inhibit the Degranulation of Mast Cells and Basophils by Modulating Intracellular Signaling2024

    • 著者名/発表者名
      K. Ito et.al.
    • 雑誌名

      International Journal of Peptide Research and Therapeutics Aims and scope

      巻: 30 号: 3 ページ: 25-36

    • DOI

      10.1007/s10989-024-10604-y

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Asagiite, NiCu<sub>4</sub>(SO<sub>4</sub>)<sub>2</sub>(OH)<sub>6</sub>·6H<sub>2</sub>O, a new member of the ktenasite group from the Nakauri mine, Shinshiro City, Aichi Prefecture, Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Nishio-Hamane, D., Yajima, T., Shimobayashi, N., Ohnishi, M. and Niwa, T.
    • 雑誌名

      Journal of Mineralogical and Petrological Sciences

      巻: 118 号: 1 ページ: n/a

    • DOI

      10.2465/jmps.230711

    • ISSN
      1345-6296, 1349-3825
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 近世期における温泉津港の商品流通について2022

    • 著者名/発表者名
      仲野義文
    • 雑誌名

      石見銀山遺跡テーマ別研究調査報告書5

      巻: 5 ページ: 1-10

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 大岡春卜と十八世紀上方狂歌壇との交流ー鯛屋貞柳像を中心にー2022

    • 著者名/発表者名
      波瀬山祥子
    • 雑誌名

      待兼山論叢 芸術学篇

      巻: 56 ページ: 1-25

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 京都水尾産ユズ種子を加工した原料がヒト皮膚線維芽細胞の増殖に及ぼす効果2024

    • 著者名/発表者名
      北島 宣・須田明里・顧 然・賓関 淳・坊 安恵・春木智恵子
    • 学会等名
      園芸学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 東アジアに起源する日本の在来カンキツの食文化2023

    • 著者名/発表者名
      深尾葉子
    • 学会等名
      東アジア日本研究者協議会 第七回国際学術大会(会場:東京外国語大学)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 黄砂はどこからくるの?私たちはどう対処すればいいの?~地域研究者から見た領域横断的観察2023

    • 著者名/発表者名
      深尾葉子
    • 学会等名
      大阪大学21世紀懐徳堂主催 大阪大学公開講座
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 広島県能美島の花崗岩ペグマタイト産プロト鉄直閃石.2023

    • 著者名/発表者名
      大西 政之・下林 典正・浜根 大輔・篠田 圭司・延寿 里美
    • 学会等名
      日本鉱物科学会2023年年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 日本の国石 翡翠の話2023

    • 著者名/発表者名
      下林典正
    • 学会等名
      京都府私立中学高等学校理科研究会 地学部会研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 昔の暮らし方から見た日本の姿2023

    • 著者名/発表者名
      仲野義文
    • 学会等名
      一般社団法人日本家政学会第6回家政学夏季セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 石見銀山からみえる人権問題について2023

    • 著者名/発表者名
      仲野義文
    • 学会等名
      部落解放同盟島根県連合会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] フランス、オランダにおける四国のゆずの輸入と活用、および展開について2023

    • 著者名/発表者名
      深尾葉子
    • 学会等名
      公開シンポジウム:日本の柑橘はどこから来たのか?
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 柑橘研究を端緒とした地方創生のトライアル-田中長三郎研究から始まる社会実装の試み-2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤謙
    • 学会等名
      公開シンポジウム:日本の柑橘はどこから来たのか?
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] トキジクノカグノコノミと橘、柑子、柚子2023

    • 著者名/発表者名
      北島宣
    • 学会等名
      公開シンポジウム:日本の柑橘はどこから来たのか?
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] カンキツの多様性と東アジアの在来カンキツ2023

    • 著者名/発表者名
      北島宣
    • 学会等名
      公開シンポジウム:日本の柑橘はどこから来たのか?
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] カンキツの多様性とわが国におけるカンキツの歴史2023

    • 著者名/発表者名
      北島宣
    • 学会等名
      アロマセラピー・プラクティショナーズ・ユニオン例会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] わが国におけるカンキツの起源と無核性ブンタンの育成2023

    • 著者名/発表者名
      北島宣
    • 学会等名
      ひがしこうち香酸柑橘研究会講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] カンキツ分類学者・田中長三郎の足跡 ―橘本神社と台湾大学―2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤謙
    • 学会等名
      第六回東アジア日本研究者協議会国際学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 知のハブとしての大学博物館 ‐MOU資料部の活動‐2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤謙、石橋隆、藤浦淳、 波瀬山祥子、橋爪節也、永田靖
    • 学会等名
      大阪大学豊中地区研究交流会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 持続可能な石見銀山に向けて2022

    • 著者名/発表者名
      仲野義文
    • 学会等名
      石見銀山遺跡世界遺産登録15周年記念事業パネルディスカッション
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 薬草に関する歴史資料報告書の解説2022

    • 著者名/発表者名
      仲野義文
    • 学会等名
      第10回 全国薬草シンポジウム2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] だれでも観光でSDGsを守れるんだ!2022

    • 著者名/発表者名
      仲野義文
    • 学会等名
      世界遺産ワークショップin石見銀山
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 徳島バイオコミュニティー構想 香酸系柑橘を用いた地域活性2022

    • 著者名/発表者名
      中澤慶久
    • 学会等名
      徳島大学SDGs公開シンポジウム2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 淀川河岸・三川合流地帯のヨシ原から考える ―歴史と自然の回復―2022

    • 著者名/発表者名
      深尾葉子
    • 学会等名
      シンポジウム:「淀川河岸・三川合流地帯のヨシ原から考える ―歴史と自然の回復―」
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] コンペ案を中之島の景観に合成して見えたこと2022

    • 著者名/発表者名
      波瀬山祥子
    • 学会等名
      シンポジウム:歴史の可能性を可視化する
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ユズの起源と伝播の推定および日本古典における「橘」の問題点2022

    • 著者名/発表者名
      北島宣
    • 学会等名
      第六回東アジア日本研究者協議会国際学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 安満遺跡の稲作の歴史と渡来人文化2022

    • 著者名/発表者名
      北島宣
    • 学会等名
      シンポジウム:淀川河岸・三川合流地域のヨシ原から考えるー歴史と自然の回復ー
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [図書] 世界を動かした日本の銀2023

    • 著者名/発表者名
      磯田道史・近藤誠一・伊藤謙
    • 総ページ数
      208
    • 出版者
      祥伝社
    • ISBN
      9784396116750
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] つなぐ世界史2023

    • 著者名/発表者名
      仲野義文、他
    • 総ページ数
      266
    • 出版者
      清水書院
    • ISBN
      9784389226022
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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