研究課題/領域番号 |
23K21921
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補助金の研究課題番号 |
22H00649 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 長崎県立大学 (2024) 長崎外国語大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
生田 和也 長崎県立大学, 国際社会学部, 准教授 (40736295)
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研究分担者 |
小宮山 真美子 長野工業高等専門学校, リベラルアーツ教育院, 教授 (30439509)
内堀 奈保子 日本大学, 危機管理学部, 准教授 (30632294)
大川 淳 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 准教授 (50755288)
高橋 愛 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (90530519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 19世紀アメリカ文学 / 可傷性 / 19世紀アメリカ文学 / アメリカ文学 / 19世紀アメリカ / ケアの倫理 / 文学批評 / ホーソーン / メルヴィル / エマソン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では19世紀アメリカ文学を「可傷性/脆弱性(vulnerability)」の観点から考察する。可傷性は21世紀になって学術的にも社会的にも多用されるようになった概念であるが、理性的・自律的な「リベラルな主体」が政治・社会・文化の中心と想定されていた19世紀のアメリカ合衆国にあって、同時代の文学作品には相互依存的で可傷性を持つ「傷つきやすい主体」が多数登場する。文学作品における可傷性/脆弱性の表象を考察することで、可傷性に基づいた新たな社会の在り方を希求する現代の学術的運動のなかで文学的想像力や文学研究が担う役割を示したいと考えている。
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研究実績の概要 |
各種の学会において本研究課題に関する学術企画を開催した。2023年6月には日本ナサニエルホーソーン協会第41回大会にて「『緋文字』再読ーー傷つきやすさを考える」と題したワークショップを開催し、大川が司会・発表を、生田が発表を行った。また2023年10月には日本英文学会九州支部第76回大会にて「19世紀アメリカ文学研究からケア倫理に応答する」と題したシンポジウムを開催した。この企画では生田が司会・発表を担当し、内堀が発表をした。2024年3月には1年間の研究活動の総括として研究会を開催した。 また複数の論文が学術書や学術誌に発表された。生田・大川・髙橋はナサニエル・ホーソーン作品の環境・皮膚表象・ジェンダーなどの観点から可傷性に関する論文を執筆し、それらの論文は『ロマンスの倫理と語り――いまホーソーンを読む理由』(共著)に発表された。内堀は『緋文字』のケア倫理に関する論文を、生田と大川は『緋文字』の可傷性に関する論文を、『フォーラム』(日本ナサニエル・ホーソーン協会学会誌)29号に発表した。髙橋は『国際研究集会成果報告論文集』に『大理石の牧神』に関する論文を発表した。 今年度は国際学会でも個人の研究発表が実施された。生田はAISNA(Associazi one Italiana di Studi Nord-Americani)の可傷性を基調テーマとした大会にてエマソンの「自己信頼」について発表し、髙橋はPAMLA(The Pacific Ancient and Modern Language Association)の大会にて「書記バートルビー」の可傷性について発表した。 さらに共同研究者との打ち合わせに加えて国内の他の科研費プロジェクトとの協力関係を構築し、2024年に本研究プロジェクトで開催予定の海外研究者招致企画の実施案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に基づいたワークショップ、シンポジウム、研究会の開催によって、「可傷性」という批評的観点を各種学会にて発信することができた。またナサニエル・ホーソーン作品における可傷性について代表者や研究分担者の研究に大きな進展があり、本研究課題に関して合計で7本の論文が学術書や学術誌に発表された。国際学会でも2本の個人発表がなされた。他の研究グループとの協力関係を構築しつつ、海外研究者の日本国内への招致企画の準備が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も共同研究者間での打ち合わせや研究会を定期的に行うことで、メンバーの意思統一を図り、本研究課題に関する研究をスムーズに推進する。また学術企画、学会発表、論文発表、研究会の実施、研究成果のウェブ上での告知を通して、研究成果の社会還元にも努める。特に本研究課題の3年目となる今年度は、日本国内の研究者と連携しつつ、海外研究者の日本への招聘企画の準備を進め、10月には本研究課題に関して国内の複数箇所で国際的な学術イベントを予定している。
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