研究課題/領域番号 |
23K21923
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補助金の研究課題番号 |
22H00651 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平松 秀樹 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (20808828)
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研究分担者 |
岡田 知子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70292993)
橋本 彩 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (70741867)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | メコン川 / 環境文学 / タイ / ラオス / カンボジア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、メコン川流域国の文化を一つの動態と捉え、川の守護神にまつわる伝承・民話を取り上げ、文学が人間と環境の関係をどのように表象してきたかを考察する。 方法として、流域国であるタイ、カンボジア、ラオスの仏教寺院で川と信仰に関する思想体系の聞き取りを行い、各国図書館・公文書館、フィルムアーカイブで関連する仏教説話文献及び映像作品を収集分析する。その分析を通して川に生息する巨大捕食生物が守護神として崇拝を受ける物語表象の意味、および人々が自然環境に対し畏敬の念を払う精神風土の深層を明らかにする。そして、自然対人間という西洋二元論とは異なる考え方に基づく文化体系の存在を示し、克服モデルを提示する。
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研究実績の概要 |
本研究は、メコン川流域地域を一つの動態として捉え、共有される伝承・民話を各国別研究の境界を越えた一つの環境文学の対象素材として捉えて考察するものである。具体的には、メコン川流域国であるタイ、カンボジア、ラオスにおける川の守護神にまつわる伝承・民話を調査対象とする。そして、川に生息する巨大捕食生物が、災いの元凶として忌避されると同時に救いや慶福をもたらす守護神として護符や銅像となり民衆の崇拝を受ける物語表象の意味を明らかにすることを研究の目的とする。 本年度は、そうした表象の背景にある、上座部仏教徒である民衆の自然環境に対する信仰の容態、人間対自然という西洋的二元論では容易に測れない人と環境との相関性を示す環境観を解明するために、研究代表者および分担者それぞれが、タイ、ラオス、カンボジアにおいて資料調査・聞き取り調査を行った。 また本年度は、日本と現地の文学研究者、地域研究者、文化人類学者で構成する国際共同研究チームを編成し、文献調査とフィールドワークを組み合わせた学際研究を実施するために、オンライン共同研究会を開催した。初回に海外研究協力者も含めたメンバー間で課題認識の共有、本年度における研究目的・実施計画の確認、そして参加者全員での先行研究の検討を実施した。第2回以降においては、研究代表者・研究分担者は担当分野に関して、研究協力者は各国地域の環境と関わる伝承、文学、映像作品についての研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究代表者(平松)は、タイ・フィルムアーカイブおよびカンボジア・ボパナセンターにおいてメコン川の環境問題に関する映像資料の調査を実施した。またラオスの寺院において環境問題についての聞き取りを行った。 研究分担者(岡田)は、カンボジア国内のイスラムコミュニティにおける川の物語に関する事前調査、カンボジア人作家への環境文学に関するインタビュー、および関連資料の収集を行った。 研究分担者(橋本)は、ラオス人研究協力者とともにカンボジア・ボパナセンターやカンボジア若手映画人の事務所を訪問し、カンボジア映画人たちの現在の活動について話を伺うなどの調査を実施した。 以上のように、初年度であるものの当初の計画以上の現地調査を行うことができたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
第二年度においては、本年度に国内および現地調査によって得た知見、問題点をメンバー間で再度確認し、整理したうえで、引き続き現地にて資料・聞き取り調査を実施する。その成果発表として、11月にタイ・コンケン大学との共催により、コンケン及びノンカイ県において環境文学に関する国際シンポジウムを開催する予定である。
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