研究課題/領域番号 |
23K21928
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補助金の研究課題番号 |
22H00656 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
山越 康裕 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70453248)
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研究分担者 |
渡辺 己 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30304570)
塩原 朝子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30313274)
安達 真弓 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (70790335)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 記述言語学 / 発話単位 / 文 / 節 / 自然談話 / 音韻論 / 統語論 / 形態論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、言語構造が大きく異なるいくつかの言語を対象に、「文」がどのように規定されうるのかを明らかにすることを目的とする。「文」は話者が比較的自覚しやすい単位であり、かつ表記の上ではピリオドや句点といった記号で区切ることができる一方、言語学において明確に規定することが困難な単位である。とくに自然談話、つまり日常の話し言葉を観察すると、本来文末にあるべき要素が欠落していたり、節が複雑に連結した一つの長大な発話があったり、文法上は文が完結しているはずの箇所で音声的休止が入らなかったりと、判断が難しいデータにあふれている。そこで、自然談話の観察から「文」の規定が可能なのかどうかを探求する。
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研究実績の概要 |
2023年度は2022年度に引き続き、山越はシネヘン・ブリヤート語をはじめとするモンゴル諸語、塩原はオーストロネシア諸語、渡辺はスライアモン・セイリッシュ語、安達はベトナム語の、既存調査資料の分析・整理をおこなった。 さらに山越は統語法に見られる中国語由来の終助詞や動詞に関する分析を進め、その成果としてパリにて"Influence from Chinese through Language Contact: the Case of Shinekhen Buryat"という発表を、安達はベトナム語研究会にて「発話の区切り方:ベトナム語の場合」というタイトルで発表を、塩原はとりわけ口語インドネシア語の省略と節接続に基づく文の規定について検討し、その成果としてハワイ大学にて"Core role indexing strategies in Bare stem construction in Colloquial Jakarta Indonesian"という発表をそれぞれおこなった。塩原は研究発表後に関連事象を対象とした追加調査をインドネシアにて実施した。 さらに、メンバー各自の資料の分析・整理の成果として山越・塩原はそれぞれAsian and African Languages and Linguisticsにて成果を公刊した。渡辺はThe Languages and Linguistics of Indigenous North America: A Comprehensive Guide, Vol. 2にてセイリッシュ語族に関する研究動向を紹介した。 さまざまな制約があるなかで当初予定する現地調査は十分に行なえなかったが、メンバー各自がそれぞれ一定程度の成果を刊行することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による渡航制限は解消され、分担者の塩原は予定通りの現地調査を実施できたが、他のメンバーについては前年度同様に高齢の少数言語話者との接触はより慎重を期す必要があることや、その他家庭の事情から、2023年度についても十分な現地調査は実施できなかった。さらに山越は現地の政情不安から今後の渡航が困難となったことに加え、当初予定していた研究発表を病気によって取りやめたこともあり、成果発表についても想定より少ない数となった。ただし順調に言語資料を公刊していることをふまえ、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は最終年度にあたるが、メンバー個々の事情により現地調査の機会はかなり少ないことが予想される。そのため、既存の資料を用いた分析を継続する。このほか、4名が対象としている話し言葉だけでなく、文献言語において分析者がどのように「区切る」のかということに焦点をあてた研究会を開催することを予定している。すでに通言語的規定が困難であるという見通しをメンバー内では共有しているが、その一方でなぜ「文」もしくは「発話」で人間は言語を区切るのかという問題について考察を進める。
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