研究課題/領域番号 |
23K21934
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補助金の研究課題番号 |
22H00662 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
坊農 真弓 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (50418521)
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研究分担者 |
福島 智 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (50285079)
坂井田 瑠衣 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (90815763)
牧野 遼作 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授(任期付) (10780637)
落合 哉人 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 助教 (00962226)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 指点字コミュニケーション / 伝達 / 理解 / 言語研究 / 当事者研究 / 指点字通訳 / 盲ろう者 / 他者開始の修復の連鎖 / 間主観的理解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の目的は,指点字コミュニケーションにおける伝達と理解のメカニズムを明らかにすることである.方法として,指点字対話を書き起こす手法を開発し,データベース化することにより,連鎖分析や発話内容の研究環境を整備する.盲ろう者とは,視覚と聴覚に障害を持つ人々のことを指す.指点字とは,先に視覚を失い,その後聴覚を失った盲ベース盲ろう者が用いるコミュニケーション手段である.本研究課題では,指点字対話データに対し,会話分析・相互行為分析を実施する.分析結果を,盲ろう者当事者らと共有し,当事者研究の手法で本研究の発展の可能性を検討する.
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,指点字コミュニケーションにおける伝達と理解のメカニズムを明らかにすることである.方法として,指点字対話を書き起こす手法を開発し,データベース化することにより,連鎖分析や発話内容の分析を可能にする研究環境を整備することを目指している.研究代表者の研究室では2015年から現在まで,指点字を用いる盲ろう者の対話を映像収録してきた(収録・データの利用に際し,国立情報学研究所倫理委員会にて承認を受けている) .データの詳細は次の通りである. (データa)健常者と盲ろう者の指点字通訳を介した指点字対話(2時間程度x3セット)(図1参照) (データb)盲ろう者同士の指点字対話(2時間程度x1セット) 初年度の達成目標として,データ(a)の指点字通訳場面,データ(b)の指点字対話場面の両方について,指点字通訳介助者の協力を得て指点字アノテーションを施すことを挙げている.次に,(1) 他者開始の修復の連鎖,(2) 共有基盤,(3)関連する周辺現象に焦点を当てた分析結果を,国内・国際ジャーナルに投稿,研究書・一般書の出版を目指している.初年度の最大の研究成果は,エグゼビアから出版されるQ1ジャーナルの一つである『Lingua』に論文が条件付き採録(Minor revision)で受け入れられたことである.本論文はデータ(a)を対象としたもので,健常者と盲ろう者の指点字通訳を介した指点字対話において間主観的理解がどのように達成されるかを,会話分析の他者開始の修復の連鎖に焦点を当てて研究したものである.指点字通訳の国際ジャーナルへの発表は世界初であり,発表後の注目が期待される.最終修正は2023年5月中に実施され,2023年度内に公開予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度においてQ1カテゴリーの国際ジャーナルに論文の採録が決定したことは,当初の計画以上に進展していると評価できる理由の一つである.本研究成果の達成には,本科研の前身であった特定領域の基盤研究Bのデータや発見をそのまま継続利用できたことが大きく関わっている.データのアノテーションも予定通り継続して進めており,更なる発展が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究課題として残されているのは,指点字対話を書き起こす手法を開発し,データベース化することと,データ(c)の盲ろう当事者の当事者意識に関わる語りを収録・分析することである.データ(c)はデータ(a)とデータ(b)の分析結果をリフレクション(内省)するための資料として用い,指点字コミュニケーションに対する当事者の意識として,国内・国際ジャーナルに投稿,研究書・一般書の出版を目指している.アウトリーチ活動として,盲ろう当事者や盲ろう者支援者に本研究課題の研究成果を届けるためのワークショップ・セミナー等を国内外で実施する予定である.
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