研究課題/領域番号 |
23K21941
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補助金の研究課題番号 |
22H00669 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
野田 尚史 日本大学, 文理学部, 教授 (20144545)
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研究分担者 |
松崎 寛 日本大学, 文理学部, 教授 (10250648)
小河原 義朗 東北大学, 文学研究科, 教授 (70302065)
中俣 尚己 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (00598518)
阪上 彩子 奈良教育大学, 教育連携講座, 特任講師 (90780049)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 聴解 / 日本語学習者 / コーパス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本語学習者の聴解について(1)と(2)を明らかにするものである。 (1) 聴解困難点:聴解が苦手な学習者はどのような部分の聴解がなぜ難しいのか? (2) 推測技術:聴解が得意な学習者はわからない部分をどのように推測しているのか? 学習者が日本語を聞いてどう理解したかというデータを「思考発話法」によって収集し、それを「聴解コーパス」として公開する。また、データを様々な面から分析し、聴解教育では何を教えればよいのかを考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は,日本語学習者が日本語を聞いてどう理解したかというデータを「思考発話法」によって収集し,それを「日本語非母語話者の聴解コーパス」として公開するとともに,そのデータをさまざまな角度から分析して,日本語学習者の聴解困難点と推測技術を明らかにするものである。具体的には,聴解が苦手な学習者はどのような部分の聴解がなぜ難しいのか,また,聴解が得意な学習者はわからない部分をどのように推測しているのかを明らかにした上で,「聴解教育では何を教えればよいのか」を考察する。 本年度は,調査を行う際に調査協力者に示す書類とビデオのベトナム語版・インドネシア語版・ロシア語版を作成した。また,中国語話者・韓国語話者・ベトナム語話者・英語話者・ドイツ語話者・フランス語話者・スペイン語話者・ロシア語話者を対象に調査を行った。さらに,昨年度までに行った調査を含め,調査によって得られたデータの文字化・日本語訳・校閲を進めた。そして,「日本語非母語話者の聴解コーパス」(http://www.nodahisashi.org/jsl-rikai/choukai/index.html)に新たに19件のデータを掲載した。その内訳は,中国語話者・独話型7件,韓国語話者・独話型9件,ミャンマー語話者・独話型2件,ミャンマー語話者・対話型1件である。 研究成果としては,「日本語学習者の聴解困難点調査に基づく「わかりやすい日本語」の提案」や「基于学習者調査的日語学習型辞典編纂研究(学習者調査に基づく日本語学習用辞書の作成に関する研究)」などの雑誌論文を発表し,「日本語学習者の聴解困難点」や「聴解教育における教師の役割―日本語オンライン教材を使用した学習者の反応に基づいて―」などの学会発表を行った。その他,研究協力者である任ジェヒが雑誌論文を発表し,島田めぐみが学会発表を行い,福田倫子が図書の刊行を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査の準備については,昨年度までに調査方法の詳しいマニュアルが整備され,調査方法を調査協力者に理解してもらうためのビデオも完成していた。それらは日本語版の他,英語版・中国語版・韓国語版・ミャンマー語版が揃っていたが,本年度は新たにベトナム語版・インドネシア語版・ロシア語版を追加することができた。 日本語学習者に対する調査は,コロナ禍で,対面で行うことが難しい場合が多かったため,基本的にはオンラインで行った。オンラインであれば遠隔地にいる学習者に対しても調査を行うことができるため,十分な数の調査を行うことができた。 調査で得られたデータの文字化・日本語訳・校閲も,多くの専門家の協力を得て,予定どおり,順調に進めることができた。その結果,「日本語非母語話者の聴解コーパス」に新たに19件のデータを掲載することができた。 研究成果としても,昨年度までに収集されていたデータも使いながら,3件の雑誌論文の発表,4件の学会発表,1件の図書の出版を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,さまざまな言語を母語とする日本語学習者に対する調査を,国内の他,アジア,ヨーロッパを中心とした海外で進める。調査の種類としては,独話型調査と対話型調査を予定している。独話型調査は,各種アナウンス,会議での他者の発言,講義・講演などを聞いてもらい,それをどう理解したかを自分の母語で話してもらうものである。対話型調査は,日本語学習者である調査協力者本人が母語話者と雑談や相談をした後,相手の映像とともに録画・録音された相手の発話を聞いてもらい,それをどう理解したかを自分の母語で話してもらうものである。 調査によって収集されたデータは順次,文字化作業を行い,それを日本語に翻訳する。それらに対して十分な校閲を行った後,「日本語非母語話者の聴解コーパス」で公開するための整形作業を行い,公開していく。 そのようにして整えられたデータは,研究代表者・研究分担者・研究協力者が協力しながら,学習者の聴解困難点,学習者の推測技術,聴解教育への応用という3点を中心に分析していく。その際,学習者の日本語レベルをはじめ,背景知識,聞き返し・聞き流し,聴解能力の測定方法など,さまざまな観点からの分析も行い,聴解教材の作成や聴解教育への提案を行っていく。 また,この研究によって得られた成果を最終的に野田尚史(編)『日本語学習者の聴解困難点と推測技術』(ココ出版)として出版するために,原稿の執筆や,原稿に対するコメント付与,コメントを受けた上での原稿の改稿を進めていく。
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