研究課題/領域番号 |
23K21951
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補助金の研究課題番号 |
22H00679 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
小野 尚美 成蹊大学, 文学部, 教授 (10259111)
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研究分担者 |
泉 恵美子 関西学院大学, 教育学部, 教授 (10388382)
田縁 眞弓 京都光華女子大学, こども教育学部, 教授 (60646769)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | Learning by Storytelling / 小学校英語指導法 / リテラシーの視点 / Emergent Literacy / LBS指導法 / 文字の音と意味の関係 / 絵本のstorytelling / LBS指導モデル / 絵本のストーリーテリング活動 |
研究開始時の研究の概要 |
本年度の研究は、従来の計画に加えて、低学年から高学年児童まで絵本を使った音韻認識訓練をすることで、その後の絵本のstorytelling活動での理解度がどうなるかを調査していく予定である。昨年度愛知県立大学の池田周教授からご助言をいただき、音韻認識を高めるための訓練について理解を深めることができ、その知識を基に音韻認識を目的とした絵本を作成した。その新たな絵本を使って教える効果についても測っていくことにする。また、本年度は、LBS指導法を使って小学生児童に英語を教える方法についてのWorkshopを開催することで、この指導法に関心のある多くの教員に説明していくことを目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度には、7月8日に公立小学校で実施したLBS指導法の効果測定結果について、研究代表者の小野は、泉惠美子教授、研究協力者の赤枝康隆先生、宮武夏貴先生と共に「絵本を活用したLearning by Storytellingの実践―3つの公立小学校での試みー」という題で、日本児童英語教育学会(JASTEC)第43回全国大会にて口頭発表を行った。この発表は、令和4年度に行った第1回目の公立小学校の2年生と3年生を対象としたLBS指導法による授業の成果報告であった。授業後の児童による振り返りを2回取り、その内容を分析したものである。3つの小学校の児童は、絵本を活用したLBS指導法による英語学習を楽しむことができたが、中には、2回とも絵本の理解が困難だと感じている児童もいた。そのような児童は、他の科目でも学習に躓いていることが分かった。また、この指導法を実施するためには、小学校の管理職の理解が必要であり、既存のカリキュラムの中に組み込む方法について工夫する必要があるという結論となっている。 また、8月20日には、小野は、田縁眞弓教授と研究協力者の星原光江先生と共に「絵本を使って行う小学3年生児童のための英語によるストーリーテリング活動におけるリテラシー発現の重要性」という題で、韓国で開催されたアジアTEFLにて口頭発表を行った。この発表では京都府内の小学3年生に対し"In the Autumn Forest"の絵本をLBS指導法を使って教えたときの児童の振り返り分析結果を報告した。こちらの小学校でも、概ね児童らは、絵本のストーリーテリング活動を通して内容理解ができたようである。一方、教員がなるべく、児童から絵本に関する意見、既存の知識や感想を引き出しながら授業を進めることの重要性も明らかになった。 本年度に予定していた通り、各々の研究協力校での2年目の研究授業が実施できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、公立小学校と私立小学校にて続けてLBS指導法で英語を教える授業を行うことが出来ている。令和4年から始めた2年生と3年生はそれぞれ3年目のLBS指導法で絵本のストーリーテリング活動を経験している。公立では、1年のうち限られた期間に実施しているが、学年が進むにつれて、児童らは絵本を使った英語学習に慣れ、理解度も増している。また動機付けについても前向きな姿勢で取り組んでいることが分かる。一方、幼稚園の英語学習にもLBS指導法を取り入れ、"Takoyaki Boy"を使って教えたところ、園児らも絵本を通して英語を取り込みながら、学んだことを使って英語で劇をして発信することができた。 英語による読みの訓練をさらに向上させるために、令和5年の後半から音韻認識訓練を目的とした絵本の作成を行い、令和6年の前期にかけて、その絵本を使って音韻認識訓練を行いながらLBS指導法による英語学習をしている。絵本の文脈を借りながら、アルファベットの音の違いを認識する訓練をすることはとても効果があることが分かった。ワークシートの実施に加え、音韻認識訓練を取り入れることでボトムアップ指導の内容が充実してきた。令和6年には引き続き、音韻認識を目指す絵本も教材の中に含んで教える予定である。 令和5年7月に「LBS研究会"Learning by Storytelling"指導法~絵本からはじまる英語学習~」を立ち上げ、作成したホームページを通して多くの教育関係者が関心を持ってくださっている。、その指導法について具体的な教え方を学びたいという声が多くなってきたため、令和6年度には、LBS指導法のためのワークショップを3回開催することにした。小学校教員と英語教育関係者との交流は、今後のLBS指導法の内容の向上に役立つと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年の研究では、予定通り、2年前に2年生と3年生だった児童(公立小学校及び私立小学校)に対しLBS指導法を使って引き続き英語を教えていき、連続してLBS指導法を使って英語を教えた場合、児童の理解度や動機付けはどのようになっていくかを調査していく。そのために、児童らによる振り返りの内容を分析し2年前と1年前の振り返りの内容と比較しながら、理解度と動機付けの様子を観察していく。また例年通り、1年間の研究授業が終わったときには、研究分担者と研究協力者とともに会議を持ち、LBS指導法による授業のやり方について意見交換をしていく予定である。また、幼稚園でのLBS指導法の効果についても引き続き行う。 公立小学校と私立小学校でのLBS 指導法の効果については、国内外の学会で口頭発表を行い、より多くの小学校教員及び教育関係者との意見交換をしながら改善していく。またこの指導法による教え方の理解を深めるために、この指導法に関心のある小学校教員及び教育関係者を対象にワークショップを開催する。令和6年度には3回のワークショップを開催することにしており、令和7年度にもワークショップを開催する予定である。 令和5年の後半から始めた、音韻認識訓練を絵本を使った行う方法については、高学年の教材である"TORO's Story"を読む前に行うのか、読んだ後に行うべきか、比較してその効果の違いを見ていくことにする。 指導法の中のワークシートもその目的別により多くのものが出来上がっている。当初の計画通り、令和7年度の最終年に向けて、LBS指導法の教材集の作成と研究のまとめを目的とする報告書を執筆する予定である。そのために令和6年度中から、教材集作成と報告書のまとめのための準備を開始することにする。
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